2024年02月23日
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ブライトリング:価値が安定しているモデル

Jorg Weppelink
ブライトリング:価値が安定しているモデル

ブライトリング:価値が安定しているモデル

ブライトリングは1884年から続く、時計製造において長い歴史を持つブランドであり、アイコニックなパイロットウォッチをいくつも生み出したことで知られている。ナビタイマー、クロノマット、スーパーオーシャン、プレミエ、そしてトップタイムなどはブライトリングの歴史の中で数ある有名なコレクションのうち、ほんの一部にすぎない。歴史と伝統を持つブランドではあるが、その時計の価値は安定しているのだろうか。価値が安定していて、今後上昇する可能性を持つ時計を見つけるのは、特に今日の時計市場では難しくもある。今回は、ブライトリングの中でも、安定した価値を持つモデルについて紹介したい。

ブライトリング クロノマット B01 42

最初に紹介するのは、ブライトリング クロノマット B01 42。2020年にリリースされ、高い評価を受けたモデルだ。1980年代のクラシカルなクロノマットスタイルを想起させる4つのライダータブがついたベゼルに独特の “ルーロー” ブレスレットを備えている。ケースサイズは42mm径で多くの人の手首にフィットし、COSC認定を受けた高精度の自社製クロノグラフムーブメントが搭載されている。

価格に関しては、2020年に初めてリリースされた際は定価約100万円だったが、現在は約120万円である。Chrono24マーケットプレイスを見ると、二次流通市場では現行のクロノマットモデルが定価をかなり下回る価格で販売されていることがわかるが、驚きなのは、新しいクロノマット B01 42の価格が昨年初め以来、約6万円も上がったことだ。そして過去3年間を見てみると、平均で約15万円も価格が上昇している。このことを考慮に入れてると、価格がこの先も上昇し続けるかどうか、興味深いところだ。初代のクラシックなクロノマットを見事に再現したこの時計は、確かに注目に値するモデルだ。

Breitling Chronomat B01 42 with “Blackeye Silver” Silver Dial & Black Subdials on a Rouleaux “Bullet” Bracelet
シルバーの文字盤とブラックのインダイヤル、ルーロー “ブレット” ブレスレットが備わった、ブライトリング クロノマット B01 42 “ブラックアイ”

ブライトリング ナビタイマー Ref.806 1959 リ・エディション

価値が安定している2つ目のモデルは、2019年発表のブライトリング ナビタイマー Ref.806 1959 リ・エディションだ。1959本限定で発売されたこの特別モデルは、クラシックな1950年代後半のナビタイマー Ref. 806へ敬意を表したもの。オリジナルは1954年にデビューした、回転計算尺とトリコンパックスデザインを採用したパイロットクロノグラフである。これらの機能が組合せれたデザインは他にはなく、現在でもすぐに見分けのつくデザインとなっている。

Breitling Navitimer Ref. 806 1959 Re-Edition
ブライトリング ナビタイマー Ref.806 1959 リ・エディション

オリジナルのナビタイマーはブラックの文字盤で、コレクターたちの間では “オールブラック” モデルとして知られている。ナビタイマー Ref. 806 1959 リ・エディションはこういった初期のナビタイマーへのオマージュであり、細部に至るまで忠実に再現され、高い評価を受けた。1959年のオリジナル版との最大の違いは、最新の素材と自社製ムーブメントB09が採用されている点だ。2019年の発売時の定価は約100万円で、Chrono24マーケットプレイスで価格は当初下がったものの、その後は上昇している。昨年、価格はまた若干下がったが、それ以降は140万円前後で、定価を超えている。筆者は、価格は今後もさらに上昇していくと予想している。

ブライトリング スーパーオーシャン Ref. 2005 “スローモーション” クロノグラフ

この記事で最後に紹介する3つ目のモデルは真のクラシックと言えるブライトリング スーパーオーシャン Ref. 2005 “スローモーション” クロノグラフであり、一目でそれとわかるブライトリングのアイコンウォッチのひとつである。シックなブラック&ホワイトの文字盤にブラックのベゼルを持つ。そして、“スローモーション” ダイバーズ クロノグラフと呼ばれるこの時計は、独特なクロノグラフ針を備えている。通常中央のクロノグラフ針は秒を刻むのに対して、この時計では分を刻む。その背景には、水中で潜水している間は秒の経過ではなく、分の経過を追う必要があるという考えがあったからだ。

スーパーオーシャン スローモーションは1964年に発売され、以来人気の定番モデルとなった。その理由は、デザイン、ムーブメント両方の点において、少々風変わりだということにある。特にムーブメントは、この時計の復刻版が近いうちに生まれることはないという理由でもある。オリジナルのRef. 2005に匹敵するようなムーブメントを改良するのは簡単ではなく、だからこそコレクターたちから愛されている。現在、価格は約180万円〜270万円に位置している。しばらくの間、この価格帯をキープするだろう。真のクラシックを探しているなら、スーパーオーシャン Ref. 2005がおすすめかもしれない。

Breitling Superocean Vintage Superocean Ref. 2005
ブライトリング ヴィンテージ スーパーオーシャン Ref. 2005

ブライトリングの時計は良い投資対象か?

時計市場はここ1年〜1年半の間に大幅に変わった。ほとんどのブランドとモデルで価格が下落したが、真の定番ヴィンテージモデルについては、その価値は今後数年は安定していると言えるだろう。さらに、限定版や特別モデルは、数が限られているために価値は徐々に上がるはずだ。標準的なブライトリングの場合、価格はめったに上がらないが、しっかりとリサーチをして、クラシックなアイコンモデルや限定版などはチェックしておくと良さそうだ。そうしていく中で、価値が上昇する可能性があるモデルを見つけられるかもしれないが、すぐに利益が出るというわけではない。今回は、将来的に価値が上がる可能性のあるモデルについて紹介したが、ブライトリングには素晴らしい時計が数多くある。もしブライトリングの時計を持っているなら、どんどん身に着けて時計との時間を楽しんで欲しい。

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記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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