2022年も残すところあと僅か。今年の高級時計の価格推移を振り返ってみるには最高のタイミングだ。2022年は多くの時計が価値を下げ、ここ数年の高い成長率とは比肩できないが、それでも中には非常に高いパフォーマンスを見せた時計もいくつか存在する。本記事では2022年に価値を大幅に上げ、かつてないほどの人気を集めている時計を5本リストアップした。ネタバレになるが、この5つのモデルの中にロレックスはない。ここで紹介するのはすべて個性的で独特なモデルであり、中には本物のコレクターズアイテムとして通用するものも含まれている。
ジラールペルゴ ロレアート
永遠の「アンダードック」が人気モデルに変身
ジラールペルゴ ロレアートは長い間非常に過小評価されており、時計愛好家の中ではせいぜい隠れたおすすめとしか見なされていなかったが、2022年に本物の人気モデルへと変身を遂げた。時計コレクターが突然アイコニックなジラールペルゴ ロレアートの美を発見したのか、それともジェラルド・ジェンタがデザインした有名で手の届かない名機に似ているからなのかは分からないが、はっきりしているのは、2022年にこの永遠の「アンダードック」が本当に驚くべき価格上昇を見せたということだ。ジラールペルゴ ロレアートの価格に僅かな値上げがあったのも確かだが、全体として市場価格は年初から約15%以上も上昇した。とりわけ、2022年が動乱の時期であったことを鑑みれば、これは非常に素晴らしいパフォーマンスであると言える。
ワッフルダイヤル、個性的なベゼル、一体型ブレスレットを備えたスポーティーなオールラウンダーはお好みだろうか?人気のブルーの文字盤を搭載した未着用品の現在の価格は、最低でも200万円ほどとなっている。
A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1と1815
流行は高貴な時計!
外観が上品だからなのか、貴金属製であるからなのか、それとも見過ごされていたからなのか、価格上昇の理由は色々考えられるが、上品なドレスウォッチは2022年に非常に人気を集め、間違いなく流行の兆しを見せている。とりわけA.ランゲ&ゾーネ ランゲの2本の時計は素晴らしいパフォーマンスを記録し、ランゲ1は15%以上、そしてA.ランゲ&ゾーネ ランゲ1815は25%以上の価格上昇を見せた。どちらのモデルもシンブルで削ぎ落とされており、控えめで、素晴らしい仕上げ品質によって見る人を納得させる。これこそが高貴なドレスウォッチのあるべき姿なのである。しかし、このゴールド製の高級時計の美を手に入れようと思ったら、相応に大きな予算が必要となる。A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1の価格は約215万円、A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1815の価格は約280万円からとなっている。
ショパール サンモリッツ
時計?それとも宝飾品?
次に紹介する2022年に大きな価格上昇を見せた高級時計は、宝飾品のような外観をまとい、女性も男性も同じように身につけることができるアンティーク時計、ショパール サンモリッツだ。この時計はショパール アルパイン イーグルを少々想起させるが、宝飾品らしさでは明らかに勝っている。2022年、この個性的な時計は約17%の価格上昇を見せた。今年はショパール アルパイン イーグルも人気とパフォーマンスに関して同じく大きな飛躍を見せており、サンモリッツの価格上昇はおそらくアルパイン イーグルの成功によるところが大きいのではないかと思われる。サンモリッツの価格は初心者にも手が出しやすく、コンビモデルとダイヤモンド装飾が施されたモデルが28万円から35万円ほどで手に入るが、より大きなケース径を持つクロノグラフモデルには約130万円の市場価格が付けられている。しかし、39mmのケース径、ブルーの文字盤、ステンレス製のケースとブレスレットによって、クロノグラフモデルは男性にも興味深いモデルとなっている。ショパール サンモリッツは本当に個性的な時計であり、一見の価値があることは間違いない。
ブレゲ クラシック
伝統的でクラシック
ブレゲ クラシックはその名前が物語っているように、非常に伝統的でクラシックな外観をまとっている。この上品なドレスウォッチはイエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドなどの貴金属を素材としており、この記事で紹介したA.ランゲ&ゾーネ ランゲの時計2本と同じく控えめなデザインが魅力的なモデルだ。クラシックに仕上げられた文字盤は非常に美しく、ブルー・スティールの針がアクセントとなっており、何度でも見たくなってしまう。この特別な時計が2022年に約15%の価格上昇を達成したのは注目すべきことだ。ブレゲ クラシックはどこでも目にするような時計ではないのである。全般的に今年はブレゲにとって実り多い一年であった。前年比で約9%の価値上昇は、どちらかというと見過ごされており、主に時計通の中で知られているブランドにとって、これは素晴らしいパフォーマンスだ。
ペルレ タービン
個性派モデル
2022年にペルレ タービンが約14%の価格上昇を記録したことには、正直なところ少々驚きを感じずにはいられない。ペルレ タービンは本記事で間違いなく最も個性的な時計で、一般的におそらく多くの人がまだあまり見たことのない時計である。このモデルでもその名前が時計の特徴を表しており、ペルレ タービンの文字盤はまるで飛行機のタービンのように見える。個人的にこの独特な文字盤デザインは非常に好みで、新鮮かつ大胆であるだけでなく、伝統的な高級時計界において風変わりなステートメントでもある。この時計が欲しい人は、力強い手首を持っているか、大きな時計を好きでないといけないだろう。というのも、ペルレ タービンはかなり大型な時計であり、サイズはモデルに応じて44mmから48mmとなっている。価格は上昇したものの、本記事の他の時計と比べると非常に格安で、モデルに応じて43万円ほどから手に入れることができる。筆者はこの時計をリシャール・ミルに代わる手頃な選択肢になり得ると考えているのだが、どうだろうか?