2024年01月15日
 6 分

2024年に発表が期待される5つのアニバーサリーモデル

Thomas Hendricks
2024年に発表が期待されるアニバーサリーモデル

2024年に発表が期待されるアニバーサリーモデル

2024年、時計業界ではチューダー、セイコー、タグ・ホイヤー、オメガから、5つのアニバーサリーモデルが発表されるのではと期待されている。また、すでに発売された新作についても併せて紹介したい。

オメガ

まずはオメガからスタートしよう。2024年はパリオリンピックの開催を記念し、1つ、あるいは2つのオリンピック関連の時計に出会えるかもしれない。可能性が高いのは、オリンピック公式タイムキーパーであるオメガによるものだ。スピードマスターの東京オリンピックリミテッドエディションはファンから好評を博し、実際には2021年に開催された “2020年オリンピック” を記念する少し変わったモデルとなった。2024年には、オメガから少なくとも1つはオリンピックウォッチが発表されるはずだ。

The Olympic Games start in the end of June in Paris - any guesses what Omega will create for this festivity?
オリンピックは7月の終わりにパリで開幕する。オメガがそれに合わせて作る新作はどんなものになるだろうか?

セイコー

アニバーサリーモデル発表の可能性が低そうではあるが、興味深いのがセイコーである。1964年、セイコーがオリンピックの公式タイムキーパーだった際、同社初のクロノグラフであるセイコー クラウン クロノグラフがリリースされた。回転ベゼル付きのワンプッシュクロノグラフには、5717と5719の2つのリファレンスがあり、手頃な価格で質の良い時計を提供しているセイコーの歴史のひとつと言える。

2024年はこの時計の60周年記念にあたるのだが、セイコーはすでにオマージュと言える限定モデルを2019年にSBEC005として発表している。 そして、2020年にはもうひとつのオマージュである3つのSARXモデルが、それぞれ1964本限定で発売されている。このように、直近5年間のうちにすでに1度ならずも2度も復刻版が発売されている。しかし今現在、セイコーでこれらのモデルの購入はできないため、別のモデルを発表してもいいのではないかと筆者は個人的に思っている。

Seiko Prospex Limited Edition SRQ029J1
セイコー プロスペックス リミテッドエディション SBEC005

一方で、すでに発表されているアニバーサリーウォッチがひとつある。2024年1月12日に発売されたにプレザージュは、1924年に初めて発売した「SEIKO」の名を冠した腕時計にオマージュをささげたモデルであり、サイズは35mm径、1000本の限定生産。琺瑯ダイヤル、24時間のサブダイヤル、72時間のパワーリザーブ、可動式の引き通しストラップを備えた、100年前のセイコーのブランド要素が散りばめられている。

チューダー

70年前の1954年、チューダーは同社初のダイバーズウォッチ、チューダー オイスター プリンス サブマリーナ Ref. 7922を発表した。チューダー サブマリーナは、今では長いことコレクターズアイテムとして人気の高い時計である。チューダー サブマリーナの復活は間違いなく瞬く間にヒットとなり、チューダーにさらなる商業的成功をもたらすだけでなく、世界中の時計愛好家を喜ばせるだろう。そして今年、チューダー サブマリーナが発表されるのだろうかという疑問が湧くが、おそらくその可能性は低いだろう。

チューダーにはすでに人気のダイバーズウォッチがある。正確に言えば、ブラックベイとペラゴスという今注目の両コレクションにラインナップされているダイバーズウォッチたちだ。このことから、チューダー サブマリーナが加わると、ダイバーズウォッチが多すぎる印象になってしまう。また、現代時計界において、チューダーとロレックスの2つのサブマリーナが存在するということはないだろうと感じている。

さらに、チューダーはすでにサブマリーナ 7922の復刻版を出している。昨年発表されたブラックベイ 54はリューズガードのない37mm径のダイバーズウォッチだ。ブラックベイ 54の “54” はチューダー サブのローンチされた1954年を意味するものでもある。では、2024年に新しいブラックベイ 54が発表されるのかと言えば、それはいいところに気付いたのではないだろうか…。

Tudor's Black Bay 54 from 2023.
2023年製 チューダー ブラックベイ 54

タグ・ホイヤー

タグ・ホイヤーは、2023年にスキッパーと “グラスボックス” カレラを復刻させたことで、時計愛好家たちから高く評価されている。今年同社には、若干意見が分かれるかもしれないが、アーカイブから2つの時計を復活させるチャンスがある。

50年前の1974年、ホイヤーはシルバーストーン クロノグラフをリリースした。この時計はモナコの5年後にデビューしたもので、モナコをよりスッキリと控えめなデザインにしたものだった。1974年の発売当初、3つの文字盤バリエーションがあり、80年代には別のモデルが登場した。

これこそが、タグ・ホイヤーが2010年にブランドの150周年を記念して復活させたもので、ブルーダイヤルのCAM2110とブラウンダイヤルのCAM2111がある。もし同社が今一度この時計を復活させるとしたら、それは限定版になるのだろうか、それとも非限定版なのだろうか。そして復刻することで、タグ・ホイヤーの勢いはより加速するのだろうか。

そして今回、最後にとっておきのモデルを紹介したい。現在、市場に出回る中で、最も素晴らしく最も手頃な価格のネオヴィンテージモデルのひとつが、タグ・ホイヤー カレラ リ・エディション 1996だ。この36mm径クロノグラフは1964年のカレラに敬意を表するもので、レマニア社のクロノグラフキャリバーが搭載されている。カラーバリエーションは、シルバーのCS3110とブラックのCS3111があり、昔のホイヤーのロゴを備え、トリチウム夜光塗料の施された針とアワーマーカーが美しいエイジングを見せ、ヴィンテージの魅力を高めている。

Vintage vibes with the TAG Heuer Carrera CS3111.
ヴィンテージの雰囲気を持つタグ・ホイヤー カレラ CS3111

カレラ リ・エディションは約30年前に発表されたもので、オリジナルはもうすぐ60周年を迎える。タグ・ホイヤーにとって、アニバーサリーモデルをリリースする良い機会だと思うだろう。もしかしたらタグ・ホイヤーは、高い評価を得た “グラスボックス” カレラの復刻で波に乗っていることから、再び別モデルではあるが復刻版を出すことにためらいを感じているかもしれない。また、カレラは初代もリ・エディションもどちらも36mmサイズで、最近のトレンドの小さ目サイズと言える。しかし、36mm径は実際のところちょうどいいのか、あるいは小さ過ぎるのだろうか。ぜひ読者の意見を聞いてみたいところだ。


記者紹介

Thomas Hendricks

私はもともと時計を見て育ったわけではありません。しかし、大学を卒業してから数年後、私はオンラインポータル「Watchonista」でライター兼マーケターとして就職。同僚は私に向かって冗談半分で「誰も後戻りできない時計の世界へようこそ!」と言いました。現在はChrono24でプライベートクライアントアドバイザーとして、人生の大事な節目に完璧な時計を探す人々のお手伝いをしています。

記者紹介

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