低金利の現代において、ますます多くの人々が預金口座に資産を貯蓄しておくよりも投資した方がいいと考えるようになっている。近年、高級品コレクションの市場は著しく成長しており、多くの人々が投資としてヴィンテージウォッチを収集しようか検討をはじめている。
ロレックスに続き、パテック フィリップは投資の対象としてコレクターに最も人気のあるブランドである。ヴィンテージのパテック フィリップ時計の市場は特に人気で、販売やオークションでは多くの金銭がやり取りされている。この記事では3つのモデルに焦点を当てる。それらは後に大ブレイクする秘密の時計というわけではないが、あらゆるコレクターにとって最適な選択ではあるだろう。
ヴィンテージ パテック フィリップ時計の成功は、いくつかの要因に基づいている:
クラフトマンシップ: パテック フィリップの真の美しさは、非常に美しいムーブメントと高度な技術によるディテール、そして時計の仕上げにある。ムーブメントのほぼすべての部品はハンドメイドで仕上げられており、文字盤のデザインは他に類を見ず、すべての個々の要素は最上級に洗練されている。
エクスクルーシブ: その理由は、パテック フィリップの時計が非常に複雑できめ細かく、1本の時計を製造するのに無数の時間を必要とするからだ。そのため、このブランドは高い需要があるにもかかわらず大量生産をしていない。
投資価値: 歴史的に見て、パテック フィリップの時計の価値は大きく上昇している。ヴィンテージモデルもいくつかの現行モデルも、時とともにその価値を上げ、興味深い投資先となっている。
それぞれの時計の物語: すべてのパテック フィリップ時計は同ブランドのアーカイブに登録されている。つまり、すべての時計のヒストリーをたどることができ、製造日時と販売された場所を検索することができる。パテック フィリップの時計は多くの有名で影響力を持つ人々によって所有されている。それらすべての時計に隠されている個別の物語を想像してみてほしい。
ブランド価値: 最高水準のクラフトマンシップが、パテック フィリップ時計の何世代にもわたる使用を保証している。時を超えるデザインは老若男女問わず時計ファンに評価され、時計通はパテックを身に着けることの意味を知っている。パテック フィリップを所有しているならば、それはあなたが特別な時計を所有していることを知っていることに他ならない。
パテック フィリップ クロノグラフRef.5170G-010
パテック フィリップ5170 クロノグラフは、その美しさと簡潔さで感銘を与える。この時計は非常に伝統的なクロノグラフで、その他の機能を持っていない。しかし、それはこの時計が特別ではないことを意味しない。ディープブラックの文字盤を組み合わせた1940年代デザインの極致が、この時計に真のスタイルと洗練さを与えている。クロノグラフは実際のところスポーツウォッチであるが、パテック5170はよりフォーマルなクロノグラフと言える。もちろん、カジュアルな機会に着用していくこともできるが、この時計が本当に輝くのはスーツとネクタイに合わせた時だ。
5170は39.4mmのホワイトゴールドケースを持っており、現在の多くのクロノグラフよりかなり小さい。そして、この直径とスリムケースが時計に軽快な装着感と洗練されたスタイルを与えている。その外観は、非常にスタイリッシュでシンプルなレイアウトを持つブラックダイヤルによってさらに特徴付けられ、同じ時計のホワイトダイヤルモデル(Ref.5170G-001) との差が際立っている。ホワイトダイヤルモデルは文字盤の縁に追加のパルススケールを持ち、サブダイヤルのデザインはより細かくクラシック。それに対し、ブラックモデルは見ていてより心地よく、高い可読性を備えている。
この時計に搭載されているのは自社キャリバーCH 29-535 PSである。このムーブメントが発表される前は、レマニアムーブメントが同社のクロノグラフのベースに使用されていた。パテックのすべてのムーブメントと同様に、このキャリバーのデザインと仕上げの水準も傑出している。
パテック フィリップ ノーチラスRef.5980/1A-001
パテック フィリップ ノーチラスのレガシーは、このブランドの価値認識に多大な貢献をした。とりわけノーチラスとアクアノートは、パテック フィリップのカタログのよりモダンな側面を表している。有名な時計デザイナーであるジェラルド・ジェンタによってデザインされたノーチラスは、1976年に初めて発表され、高級スポーツウォッチとして分類することができる。
ノーチラス クロノグラフ(Ref.5980) は、形と機能の両方における究極のスポーツウォッチだ。この時計は2006年に発表された。また、この年にはすべてのノーチラス ラインアップが再導入され、ノーチラスの30周年記念を祝した。それから10年以上経った現在、この時計はノーチラスシリーズの中でも特別なポジションを占めている。なぜなら、それはパテックによる非常に人気の高い高級スポーツクロノグラフであるからだ。
このマスターピースは非常に優れた自社キャリバーCH 28-520によって駆動している。この40.09mmのムーブメントは、発表された2006年当時まったく新しい機構で、ムーブメントを巻き上げる大きな21Kゴールドのセンターローターによって特徴付けられている。その他の特筆すべき細部はブレゲひげゼンマイと、毎時2万8800回で振動し4本のアームを持つジャイロマックステンプだ。このムーブメントはパテック フィリップの最上級の時計製造技術を提示している。
この時計のもう1つの注目すべき点は、非常に優れた文字盤だ。基本的な文字盤は標準的なノーチラスと同じで、時計の中心から6時位置にまで広がる1つの大きなサブダイヤルを備えている。このサブダイヤルはクロノグラフ機能のすべて、つまり秒・分・時間を記録する。これはクロノグラフ機能をひと目で表示するだけではなく、3つのサブダイヤルを使用せずにシンプルなデザインを生み出す巧みな方法であり、サブダイヤルを文字盤の主要素にするのとは正反対のやり方だ。それは時計に個性を与え、現在の時計市場で最も重要な位置を占める高級スポーツクロノグラフのパテック フィリップモデルを特徴付けている。
パテック フィリップ クロノグラフRef.5070
1998年、Ref.5070は約40年ぶりにこのブランド初のベーシック クロノグラフとして発表された。パテックは1960年代のRef.1463以来、クロノグラフを製造してこなかった。1998年の発表当初、Ref.5070はブラックの文字盤を持つイエローゴールドモデルで販売され、ケース径は42mmであった。現在このサイズは普通と言えるが、1998年当時は非常に大きかった。この記事で紹介する3つの時計の中で、Ref.5070は群を抜いてコレクターに人気のあるモデルである。
Ref.5070のデザインは、1950年代に登場したパテック フィリップのユニークなパイロット・スプリットセコンド・クロノグラフ、Ref.2512を基にしている。レマニアベースのキャリバーCH 27-70とともに、パテック5070は現代におけるウォッチメイキングの真のアイコンと言える。パテック フィリップはこのムーブメントを自社製造していないが、この機構はすぐに「市場にある中で最も伝統的で美しくデザインされたクロノグラフムーブメント」として名を馳せた。もちろん、パテックの時計師はこのベース機構に大幅な改善と最高の仕上げを施した。前述のRef.5170には自社製のパテック フィリップ ムーブメントが搭載されているにもかかわらず、多くのコレクターはRef.5070の方を好んでいる。
5070にはブラックの文字盤を持つイエローゴールドモデルの他に、シルバーの文字盤を持つホワイトゴールドモデルまたはローズゴールドモデルも提供されている。また、より希少で特別な時計がお好みであれば、メタリックブルーの文字盤を持つ10周年記念プラチナエディションが気に入るかもしれない。このモデルは少数しか製造されなかったため、コレクターに非常に人気がある。
パテック フィリップの時計をコレクションするということは、潤沢な資金の用意が必要ということを意味する。この記事で紹介した3つの時計は時計愛好家によく知られた時計であり、現在の販売価格は500万円から630万円以上する。これは元々の価格に比べ格段に上がっているわけではないが、技術的水準の高さを鑑みて将来的に価格が上昇する可能性はある。これらの時計の評価は、おそらく現在の市場に比べて高まっていくだろう。結局のところ、投資は知識と感性の両方を必要とするのだ。
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