2024年04月12日
 5 分

Watches and Wonders 2024:ロレックスとチューダーの新作

Donato Emilio Andrioli
W&W-Novelties-III-Rolex-2-1

Watches and Wonders 2024:ロレックスとチューダー

ロレックスとチューダーがWatches and Wonders 2024で2024年の新作を発表した。本日の時点でロレックスとチューダーのカタログに掲載されているすべての新作と、新作発表の総まとめをご紹介しよう。

チューダー:新作は少数精鋭

まずはチューダーから始めよう。例年同様、チューダーは素晴らしい演出のプロモーション動画を用意していた。これこそ筆者のイメージする2024年の時計のプレゼンテーションというものだ(他のブランドも見習うべき出来映えだ)。それで、実際の時計はどうなのだろう?

レディースとしては、クレア ドゥ ローズからブルーダイアル、ローマンインデックス、5列リンクブレスレットの新作が登場する。そして最も注目を集めたのは、2024年もやはりブラックベイ・ラインである。ブラックベイ 58 18Kでは、イエローゴールドのケースにT-fitクイックアジャストクラスプ付きのゴールドブレスレットが装備される。これまではNATOストラップとレザーストラップのみの展開だった。現行のブラックベイではレッドベゼルだけでなく、ブラックバージョンも入手可能となった。驚くことに、この新しいブラックバージョンは直前の前モデルよりもはるかにモダンな印象となり、特徴的なゴールドの要素が排除されている。

Kommt unerwartet: Eine schwarze Tudor Black Bay ohne Gilt-Elemente.
予期せぬ登場:ゴールドの要素が排除された黒いチューダー ブラックベイ

ピンク文字盤のブラックベイ クロノはWatches and Wonders 2024の数日前に発表された。珍しい色の組み合わせで、チューダーは来るべきトレンドのひとつを予告したのかもしれない。

今年チューダーが発表した新作は数こそ多くなかったが、最後のひとつ、チューダー ブラックベイ 58 GMTでファンの夢を叶えてみせた。この新しいパイロットウォッチは金色の装飾と黒と赤の 「コーク」ベゼルを備えた新しいケース・ルックだが、直径39mmは変わっていない。チューダーがこの時計で成功を収めるのは間違いない。

Die neue Tudor Black Bay 58 GMT mit Coke-Lünette.
コークベゼルを備えた新しいチューダー ブラックベイ 58 GMT

ロレックス:アイコニックモデルと意外性の出会い

数日前、ロレックスはすでに新作のティザー動画で、予想外のニュースがあるだろうとほのめかしていた。果たして結果はその通りだったのか?それとも、肩透かしに終わったのだろうか?

昨年発表されたロレックス パーペチュアル1908に新しいアイスブルーの文字盤が加わった。控えめなドレスウォッチがロレックスの得意分野ではないことは確かだが、新しいプラチナバージョンの登場がポートフォリオを多彩なものにしている。一部の時計ファンがティザー動画を見てゴールドのデイトジャストだと思ったものは、ジュビリーブレスレットを備えたゴールドのスカイドゥエラーだった。新しい要素は、ゴールドのスカイドゥエラーに初めてジュビリーブレスレットが採用されたという点だけだった。新作デイデイトやダイヤモンドがセッティングされたベゼルの新作デイトナは、どちらかというと脇役的な立ち位置だろう。

Die Rolex GMT Master II erstrahlt in einer grau-schwarzen Lünette.
ロレックスGMTマスター IIはブラック&グレーのベゼルで輝く。

これに対して、GMTマスター IIの新色ブラック&グレーのバージョンは熱狂的に歓迎されることだろう。数年前に生産終了となったブラックのGMTマスター IIが復活を遂げたのである。ただし、新バージョンのベゼルは黒ではなくブラックとグレーのコンビだ。オイスターブレスレットの代わりにジュビリーブレスレットを選べるオプションも新しい。

そして、アイコニックモデルも予想外の新しいスタイルでお披露目された。ロレックス シードゥエラー ディープシーにイエローゴールドが登場したのだ。文字盤はブルー、ベゼルはブルーセラミック、裏蓋はチタンである。このような生粋のツールウォッチをゴールドで出すというのは、ロレックスの大胆な試みだ。この時計が最終的にファンにどのように受け止められるかは別として、少なくとも小さな驚きであることは間違いない。

Rolex zeigt mit der Sea-Dweller Deepsea in Gold Mut.
ロレックスはゴールドのシードゥエラー ディープシーで勇気を見せた。

まとめ:大半はモデルのマイナーチェンジで注目すべきハイライトはひとつ

さて、チューダーとロレックスの新作をどう評価すべきだろうか。チューダーが新色のメタス認証ブラックベイを発表しても誰も驚きはしないだろう。しかし、新作ブラックベイのブラックバージョンには金色の要素がないという事実は、確かに意外な展開である。また、ブラックベイ 58 18KにゴールドのブレスレットとT-フィットクラスプが採用されることも、待望とは言わないまでも、ちょっとした驚きとなりそうだ。そして2024年、時計界にセンセーションを巻き起こすであろう新作は、チューダー ブラックベイ 58 GMTだ。この時計によって、時計愛好家は長い間待ち望んでいたものを手に入れたことになる。

一方、ロレックスのモットーはモデルの継承と維持である。新作デイデイト、ダイヤモンドをちりばめたデイトナ、新しいカラーバリエーションのスカイドゥエラーといった時計は、時計愛好家の間で熱狂の嵐を巻き起こすことはないだろうが、ロレックスが勇気を出して一歩を踏み出したことは確かである。ゴールドのシードゥエラー ディープシーは好みが分かれる時計であることは間違いない。しかし、予想だにしなかった新作であることは確かだ。今年のロレックスには大きな目玉はなかったが、GMTマスター IIの新しいカラーバリエーションは多くの時計ファンを喜ばせるに違いない。この時計はかつてのブラックのGMTマスター IIを彷彿とさせる。極めて人気が高いモデルで、今回ある意味カムバックを果たした。ただし、ベゼルはブラックではなくブラック&グレイだ。

少々残念なことに、昨年も今年もサブマリーナには何の栄誉も与えられなかった。歴史的にも非常に重要な腕時計であるサブマリーナの誕生から70周年を迎えるが、ロレックスはこの伝説的ダイバーズウォッチの特別モデルを企画してはいないようだ。


記者紹介

Donato Emilio Andrioli

チューダー ブラックベイ41という機械式時計を始めて買って以来、機械式時計の虜になってしましました。特に、古くて感動的な歴史を持つアイコン時計が大好きです。

記者紹介

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