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カルティエ – 時代の一歩先を行く
ラグジュアリー、技術力、伝統。カルティエは他に類を見ない、創造性に満ちた完璧なフォルムの腕時計を生み出すブランドとして有名です。160年以上の歴史を誇るカルティエは、時計分野の先駆的存在であり、世界初のパイロットウォッチも、カルティエが開発しています。
腕時計の発明家
カルティエは、時計業界におけるパイオニア的な存在であり、世界で初めて腕時計を量産したブランドの一つです。当時、時計と言えば懐中時計のことを指す時代でした。
また、カルティエは、模範的なデザインを確立したブランドでもあります。20世紀初期、カルティエは初の角型の文字盤を持つ腕時計を発表しました。1904年にブラジル人パイロットである、アルベルト・サントス=デュモンのために特別に設計されたモデルであるサントスは、現在では同ブランドで一番有名な腕時計です。また、タンクもそれと肩を並べるモデルです。長方形ケースのこの時計は1917年の発表以来、時の経過と共に進化を遂げ、今では同ブランドを象徴するものとなっています。カルティエの愛用者には、アンディ・ウォーホル、ジャック・シラク、イヴ・サン=ローラン、カルバン・クライン、エルトン・ジョンなどの有名人が名を連ねています。
他にも、パシャ、バロンブルー、パンテールといった人気コレクションがあり、複雑機構を搭載したプリヴェもあります。また、ハイジュエリーやアンドンプターブル ドゥ カルティエといったコレクションには、数多くのジュエリーウォッチが揃っています。宝石がふんだんに使われたジュエリーウォッチには、世界有数のジュエラーとしてのカルティエの伝統が表現されています。また他ブランドと違い、コレクションの多くが女性向けという特徴もあります。
また、近年は自社製ムーブメントをメインに使用していますが、ETA社のクォーツムーブメントやキャリバーも利用しています。
カルティエ時計の価格一覧
モデル / Ref. | 価格(約) | 素材 / Cal. |
パシャ ドゥ カルティエ / HPI00365 | 1800万円 | ホワイトゴールド、ダイヤモンド、エメラルド / 手巻き式 |
バロンブルー / HPI01062 | 2300万円 | ホワイトゴールド、ダイヤモンド / クォーツ |
サントス デュモン XL / WGSA0050 | 620万円 | プラチナ / 手巻き式 |
パンテール / HPI01297 | 450万円 | イエローゴールド、ダイヤモンドベゼル / クォーツ |
タンク ルイ カルティエ / W1529856 | 160万円 | イエローゴールド / クォーツ |
タンク ソロ / W5200003 | 38万円 | ステンレススチール / クォーツ |
カルティエの価格
カルティエは、1980年代、90年代のクォーツムーブメントで女性用の場合、Chrono24では約15万円以下で購入することができます。反対に上位の価格帯では、1000万円を超えるようなダイヤモンドなどの宝石をあしらった高額のジュエリーウォッチが揃います。最上位モデルや希少価値のあるモデルの場合、価格は5000万円前後まで上昇します。
しかし、多くが約50万円から200万円という価格帯で、定番のステンレス製タンクやコンビカラーのサントス、またはパシャ クロノグラフがこの価格帯に含まれています。イエローゴールドやピンクゴールド製のモデルとなると、価格は340万円以上になります。
投資としてのカルティエ
カルティエの時計はここ数年比較的価値が安定しています。また、なかには価値が上がったモデルもあります。例えば、タンク ソロ XL Ref. W5200028では、2021年3月から2024年3月までの3年間で約13%価値の上昇が見られています。その他、バロン ブルー Ref. W69012Z4では、同期間に約30%もの価値上昇を記録しています。
押さえておきたいカルティエのモデル一覧
- カルティエ サントス – 世界初のパイロットウォッチ、角形ケース
- カルティエ タンク – ブランドを象徴する角型ケースと文字盤
- パシャ ドゥ カルティエ – リューズがチェーンで固定されたラウンド型ドレスウォッチ
- バロン ブルー – リューズがケースと一体化したラウンド型ドレスウォッチ
- パンテール – 宝石がちりばめられたジュエリーウォッチ
カルティエ レディース時計について
カルティエは女性向けに幅広いラインアップを展開しています。男性向け時計と違いケースサイズは小さめで、装飾に宝石が使用されていることもあり、美しいジュエリーと言えるものも数多くあります。
また、搭載されているムーブメントという点でも違いがあります。小型から中型サイズのケースの時計には、基本的にクォーツムーブメントが採用されています。反対に、大型のケースサイズの時計の多くには、自社製の自動巻きムーブメントが使用されています。
人気のレディース時計一覧
- タンク フランセーズ
- パンテール ドゥ カルティエ
- バロン ブルー
- パシャ
- パンテール
カルティエ メンズ時計について
カルティエは男性用時計においても、長きにわたる伝統を持つブランドです。1904年に登場したカルティエ サントスは世界初のパイロットウォッチであっただけでなく、世界初の男性用腕時計でもありました。サントスは今日においても同ブランドで最も人気のあるコレクションです。
また、タンクも男性用の定番時計として挙げられます。特徴的な角型ケースにアールデコ調の文字盤が組み合わされており、100年以上に渡りカルティエのコレクションの一つであり続けています。男性用には、一般的にしっかりとした手首に合うLM、XLサイズが選ばれています。
この他にも、パシャやバロン ブルーも男性に人気のモデルで、特にクロノグラフやトゥールビヨンが人気を集めています。
人気のメンズ時計一覧
- サントス ドゥ カルティエ
- タンク ルイ カルティエ
- パシャ クロノグラフ
- バロン ブルー
タンク – 100年間続く人気
タンクは第一次世界大戦の最中の1917年にプロトタイプが製作され、1919年に発売されました。その角型デザインは、当時初めて実戦で使用された戦車にインスピレーションを得たもので、最初のプロトタイプはアメリカの外征軍総司令官ジョン・J・パーシング将軍に寄贈されています。
タンクのモデル全てに共通するのは、角型のケースで、両サイド部分が同時にラグとしても機能しているというところです。文字盤も同様に角型で、存在感あるカルティエ独特のアールデコ調のローマンインデックスが施されています。また、ブルースチールのソード針もタンクの目印の1つです。
フランセーズ、マスト、ルイ カルティエ – タンクを代表するモデル
この数十年の間に、タンクにはたくさんのサブモデルが誕生しています。その中には、ケースが平行四辺形のタンク アシンメトリックや、横長で同じ名前の家具を想起させるタンク ディヴァンといった珍しいモデルもあります。
1919年のオリジナルデザインに近いものを選ぶのであれば、タンク ルイ カルティエがおすすめです。イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドの3素材で展開されており、ダイヤモンドがあしらわれたモデルもあります。小さめの女性向けサイズにはクォーツムーブメントが、男性向け大きめサイズには機械式の自社製ムーブメントが搭載されています。
また、タンク フランセーズは特に人気があり、モードな印象の角ばったデザインは一目でそれとわかるデザインをしています。ゴールドやステンレス製ケースに合わせたリンクブレスレットも、フランセーズの特徴です。
タンク ソロやタンク マストはカルティエタンクシリーズの中でもエントリーモデルであり、古くからのタンクデザインに近く、ステンレス製とゴールド製があります。サイズはSMからXLまで展開しており、女性、男性ともに選ぶことができます。また、クォーツや自動巻きムーブメントに加え、光発電で動くムーブメントを搭載したモデルもあります。
タンク ルイ カルティエ ミニ – 定番モデルがミニサイズで登場
Watches and Wonders 2024で、カルティエは定番モデルを小型にしたタンク ルイ カルティエ ミニを発表。イエローゴールド製で、サイズは幅16.5mm、ラグトゥラグは24mm。 ケースと文字盤はタンク ルイ カルティエを踏襲したデザインですが、一つだけ違う点は、スペース上の理由から新作のミニには典型的なレイルウェイ ミニッツトラックが付いていない点です。ストラップにはアリゲータレザーストラップが付き、内部にはクォーツムーブメントが搭載されています。
カルティエタンクの特徴
- 角型ケースと文字盤
- ケースサイドのバーはラグとしても機能
- 存在感あるアールデコ調のローマンインデックス
- リューズにカボション
- ブルースチールのソード針
サントス – パイロットのための時計
1904年以来続くコレクションであるカルティエ サントス。同ブランドは、この腕時計を有名なブラジル人飛行家、アルベルト・サントス=デュモンのために設計しました。デュモンは1906年、世界初のモーターで動く航空機の飛行に成功しました。この時デュモンは彼のために開発された時計サントスを着用しており、腕時計のおかげで両手で飛行機の操縦桿を操作しながら時刻を確認することができました。これが、時計の歴史上初のパイロットウォッチ、カルティエ サントスのデビューとなったのです。
角型ケースと文字盤、アールデコ調のローマンインデックス、ベゼル打ち込まれた独特なビスはサントスの特徴でもあります。同モデルには現在、定番のサントス デュモンやモダンなデザインのサントス ドゥ カルティエがあり、どちらも男性向け、女性向けのサイズに加え、ステンレス製、ゴールド製の素材で展開しています。またサントス ドゥ カルティエにはバイカラーまたはケースがDLCコーティングされたモデル、サントス デュモンにはプラチナ製ケースのモデルと、それぞれのモデル別に用意されています。
ムーブメントにおいては、サントスでも変わらず小さいサイズにはクォーツムーブメント、大きいサイズには自社製ムーブメントが採用されています。
特別なサントスモデル
Watches and Wonders 2024で、カルティエはサントスに新しい2つのモデルを発表してます。ステンレススティール製サントス ドゥ カルティエ デュアルタイムは、2つのタイムゾーンを同時に表示することができ、6時位置のサブダイアルに2つ目のタイムゾーンが表示されます。 また、3時位置には日付が表示されます。
2つ目はサントス・デュモン リワインド。プラチナ製ケースにダークレッドの文字盤を備え、一見すると普通のサントス デュモンのように見えますが、よく見ると時刻が逆回転で刻まれています。これは自社製キャリバー230MCによるもので、この珍しい時計は限定200本。まさにコレクターズアイテムと言えるでしょう。
カルティエ サントスの特徴
- 角型ケースと文字盤
- アールデコ調のローマンインデックス
- ビスがあしらわれた独特でフラットなベゼル
- レディース用・メンズ用サイズ
- ステンレス、ゴールド、プラチナの3種類展開
- 自社製の機械式ムーブメント、クォーツムーブメント
パシャ ドゥ カルティエ – チェーンで固定されたリューズとアラビアインデックス
カルティエは1980年代の半ばにパシャをコレクションに加え、それ以降数多くの女性向け、男性向けモデルを発表してきました。その中には、クロノグラフやスケルトンモデル、またムーンフェイズやトゥールビヨンを搭載したモデルがあります。パシャの全モデルに共通する特徴に、ケース本体とつながっているチェーン付きリューズが挙げられます。また、文字盤の3時、6時、9時、12時位置の4つのアラビア数字とレイルウェイ ミニッツトラックもパシャの特徴と言えます。
カルティエの他のモデルと同様に、パシャもサイズ展開が豊富で、素材もステンレス、ゴールド、コンビタイプから選ぶことができます。加えて、ダイヤモンドを施したモデルもあり、文字盤が宝石で埋め尽くされたアイスアウトモデルもあります。
青いカボションを備えるバロン ブルー
バロン ブルーは名前の通り丸みを帯びたケースの形で、リューズにはブルーサファイアかスピネルカボションが使用されています。また、リューズはケースと一体化されており、小さなリングに囲まれています。このリングはリューズのプロテクターとしての役割を持ち、同時に個性的なデザインとなっています。
バロン ブルーにも女性向け、男性向けのモデルがあり、素材もステンレス製、ゴールドやローズゴールド製、またコンビカラーモデルなど、多くのバリエーションで展開されています。また、全体にダイヤモンドが施された特別モデルもあります。
バロン ブルーでは一番小さいサイズの28mmを除いた全てサイズのモデルに自社製ムーブメントが搭載され、最上位モデルにはフライングトゥールビヨンが搭載されています。
バロンブルーからインスピレーションを得たバロン ブラン
バロン ブルーから派生したモデルであるバロン ブランは、同じようにラウンド型ケースに一体化されたリューズというデザインですが、リューズは4時方向に設置され、一粒ダイヤモンドが装飾されています。ケースサイズは26mmと30mmの2サイズで、女性向けとして展開されています。
バロン ブルーの特徴
- ラウンド型ケース
- ケースと一体型したリューズプロテクター
- ステンレススチール、ゴールド、コンビモデル
- レディース・メンズ用のサイズ
- クォーツムーブメントと機械式ムーブメント
豹がモチーフのカルティエ パンテール
1914年代に初めて登場して以来、パンテール(豹)はブランドを象徴する動物であり、これまでに数多くのジュエリーのモチーフとなってきました。現在もカルティエのラインナップでは、パンテールと名のついた多くの作品を目にすることができます。
パンテール ドゥ カルティエは中でも最も知られコレクションで、外観のデザインはサントスと似ていますが、サントスよりも小さく、クォーツムーブメントが搭載されています。また、ブレスレットにはしなやかなラインが美しい5連のリンクブレスレットが採用されています。
パンテール ドゥ カルティエも他コレクションと同様に、ステンレス、ゴールド、コンビモデルで展開されています。また、ダイヤモンドモデルも揃っており、中にはベゼル、ケース、ブレスレットに至るまでダイヤモンドがあしらわれたモデルもあります。
カルティエ パンテール ジュエリーウォッチ
カルティエは、ブランドを象徴する動物である豹をモチーフに、パンテール ウォッチ、レヴェラシオン ドゥヌ パンテール ウォッチ、アニマルモチーフのパンテール ダンテル ウォッチ、アンドンプターブル ドゥ カルティエ ウォッチといったジュエリーウォッチを展開しています。
カルティエ プリヴェ – 数量限定特別モデル
カルティエのプリヴェコレクションには、タンク アシメトリック、タンク サントレ、タンク トノーのスケルトン仕様の限定モデルなど、カルティエのクラシックの中でも特に精巧にデザインされたモデルが揃っています。
Watches and Wonders 2024では、このコレクションに新たにトーチュ モノプッシャー クロノグラフが発表されています。亀の甲羅を彷彿とさせるバルブのようなデザインは、1920年代にカルティエが発表していたモデルを再解釈したもの。搭載されているのは、自社製キャリバー1928 MCで、サファイアクリスタルのケースバックからはその動きを垣間見ることができます。
カルティエはモノプッシャークロノグラフに加え、2針モデルのトーチュも発表しています。どちらもプラチナとイエローゴールド製で、それぞれ200本の限定発売です。
ラグジュアリーブランドとしてのカルティエ
160年の歴史と伝統を誇るフランスのジュエリー、時計ブランドであるカルティエ。1847年、創業者であるルイ=フランソワ・カルティエは、28歳の時に師のアドルフ・ピカールからパリの宝石工房を受け継ぎブティックをオープン、瞬く間にブランドの地位を確立したのでした。
1874年には、息子であるアルフレッドを共同経営者に迎え時計部門を増設。その後、孫のルイ、ピエール、ジャックに引き継がれカルティエは世界的ブランドとしての礎を構築しました。ルイは拠点であるパリ店、ピエールはニューヨーク支店、ジャック・はロンドン支店をそれぞれ担いました。
カルティエは早くから時計作りに着目しており、懐中時計がまだ主流だった1800年代終わり頃や1900年代初頭に、その分野を牽引する存在でした。そして1888年、カルティエはダイヤモンドを施した女性用の腕時計を発表。しかし発売当初は、長袖に手袋というファッションが流行していたため、売れ行きは芳しくなく、その後にようやく手首を飾るアクセサリーとして腕時計が注目されるようになったのでした。
王の宝石商
カルティエのジュエリーは世界中の王侯貴族から注目され、王室の御用達ジュエラーとして認定されるようになりました。特に宝石がふんだんに使用されたティアラは王妃や侯爵夫人に愛用され、ロシア皇帝の孫娘であるマリア・パヴロヴナ、ベルギーのエリザベート王妃、スペインのヴィクトリア・ユージェニー王妃が着用していました。
さらに、カルティエは英国王室の当時のウェールズ公であり、後の国王エドワード7世に「王の宝石商、宝石商の王」と称賛され、その特別な関係は現代も変わらず、ケンブリッジ侯爵夫人であるキャサリン皇太子妃はウィリアム皇太子との結婚式でカルティエのティアラを着用しました。そのティアラは、今は亡きエリザベス女王とマーガレット王女が着用したものでした。
近代のカルティエの歴史
1960年代半ばまで、長きに渡り同族経営されていたカルティエ。しかし、ルイ=フランソワ・カルティエの曾孫であるジャン=ジャック・カルティエ、クロード・カルティエ、マリオン・カルティエ・クローデルの3人が同ブランドの株式を売却したことにより、カルティエ・パリ、カルティエ・ロンドン、カルティエ・ニューヨークの3つに分かれます。その後、1970年代にロベルト・ホックと投資家グループによって、世界中のカルティエがカルティエ・モンドSAの下に統合されました。現在カルティエは、ヴァシュロン・コンスタンタン、ジャガー・ルクルト、A.ランゲ&ゾーネと同様にリシュモングループに属しています。
カルティエのムーブメント
1900年代の初頭、カルティエはヴァシュロン・コンスタンタンやジャガー・ルクルトのムーブメントを多くの時計に搭載していました。またオーデマ ピゲやモバードのムーブメントが使用されることもありました。
その後、1970年代より大部分をETA社製のムーブメントへと移行し、2001年にスイス、ジュラ山脈のほとりにある町、ラ・ショー・ド・フォンにブランド独自のアトリエを創設。2009年、同ブランド初の自社製ムーブメントを発表しました。現在では、ほとんどの時計に自社製ムーブメントが使用されています。
カルティエの歴史におけるポイント
- 1847年 ルイ=フランソワ・カルティエが工房を創立
- 1888年 初の腕時計の販売を開始
- 1904年 サントスを発表
- 1917年 タンクを発表
- 1931年 防水性を持つ腕時計を発表
- 1985年 パシャをシリーズ化
- 2007年 バロン ブルーを発表
- 2009年 初の自社製ムーブメントを開発