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サーチナ: スポーツウォッチのスペシャリスト
スイスの伝統的な時計メーカーであるサーチナは、堅牢なスポーツウォッチとして特に有名です。そのラインナップにはダイバーズウォッチやレーシングクロノグラフなどがありますが、同時にムーンフェイズや第2タイムゾーンを搭載する上品な3針時計も提供されています。
スポーティー、エレガント、ダブルの安心度
サーチナは1888年に、スイスのグレンヒェンで創業しました。当時「Kurth Frères S.A.」の社名で運営されていた同社の名は、高品質で堅牢な時計の製造において素早く世に知られるようになりました。この会社哲学は、ラテン語の ”certus (安全)” に因んで付けられた「サーチナ (Certina)」で現在まで受け継がれています。
この哲学をよく表しているのは、1959年に発売されて以来常に発展されてきたDSコンセプトです。「DS」とは ”Double Security” を意味し、サーチナの時計が特に衝撃に強く、高い防水性を備えている証となっています。サーチナによって製造される時計の防水性は、現在まで100m (10気圧) です。サーチナ DS、DS-2 スーパー PH500M、DS ダイアマスターなどの定番時計は、ヒマラヤ山脈の頂上でも、深海の海底でも、プロボクサーのモハメド・アリの手首でも、最も厳しい環境にさえ耐えうる時計として今日までその名を誇っています。
サーチナはこれらのヴィンテージ時計を、アクア、アーバン、スポーツ、ヘリテージの4つのコレクションに分類しています。アクアとスポーツの両シリーズには DS アクションダイバーなどのダイバーズウォッチや、モータースポーツからインスパイアされたクロノグラフ、DS ポジウムなどがラインナップされています。ヘリテージコレクションでは、歴史的なサーチナコレクションの復活版が提供されています。アーバンコレクションでは、オフィスでもオフタイムでも身に着けられる、スポーティーナドレスウォッチが見られます。
サーチナの時計には、スイスの時計機構製造会社ETAのムーブメントが採用されています。その種類には機械式の自動巻きのムーブメントやクォーツ機構があり、いくつかには第2タイムゾーンやムーンフェイズ表示、またクロノグラフ機能などのコンプリケーションが搭載されています。サーチナ時計の大半のケースの素材にはスポーツウォッチにおいて定番であるステンレスが使用されており、さらにブラックやゴールドのPVDのコーティングが施されているモデルもあります。
サーチナ時計を買う理由
- 高級なスポーツウォッチを低価格で
- ダブルセキュリティシステムでより堅牢
- スイス製の高級なクォーツ・自動巻き機構
- レディース・メンズモデル
サーチナ時計の価格一覧
モデル / Ref. | 価格 (約) | 特徴 |
DS-3 スーパー PH1000m, 919.1 | 49万円 | ヴィンテージモデル、1000m防水、日付 |
DS-2 クロノオリンピックス 8601 800 | 48万円 | ヴィンテージモデル、クロノグラフ、日付 |
DS イーグル クロノグラフ C023.727.37.051.00 | 20万円 | クロノグラフ、日付 |
DS-2 クロノグラフ フライバック C024.618.11.051.02 | 10万円 | フライバック クロノグラフ、日付、プレシドライブクォーツ機構 |
DS アクション GMT パワーマティック 80, C032.429.38.051.00 | 10万円 | 第2タイムゾーン、日付、80時間パワーリザーブ |
DS-8 ムーンフェイズクロノグラフ C033.450.11.051.00 | 9万円 | クロノグラフ、ムーンフェイズ、日付 |
DS ポジウム クロノグラフ GMT C034.654.11.047.00 | 8万円 | クロノグラフ、第2タイムゾーン、プレシドライブクォーツ機構 |
DS アクションダイバー パワーマティック 80, C032.407.11.091.00 | 8万円 | 300m防水、日付表示、80時間パワーリザーブ |
DS-1 パワーマティック ヒマラヤ C029.807.16.031.60 | 6万円 | 日付、80時間パワーリザーブ |
サーチナのヴィンテージ時計
サーチナの時計は非常に長持ちします。このことは、Chrono24にて数多くのヴィンテージモデルが提供されていることにも影響しています。1930年代、40年代、50年代のモデルや、60年代、70年代、80年代の定番腕時計などを多数見つけられます。
1930年代、40年代、50年代の腕時計をお探しの場合、異なる数々の3針モデルからお選びいただけ、中には「Kurth & Frères」の古い社名が刻まれたタイムピースも見られます。これらの時計には手巻き機構が搭載されており、スモールセコンドやポインターデイトが設置されたモデルも頻繁に見かけられます。ケースサイズは現代では小型とされステンレス製サーチナ時計は、約2万5000円でご購入いただけます。イエローゴールドケースのモデルには、7万円以上の価格が付けられます。
DSの初期モデルをお探しの場合、もっと高い価格を見込んでいただく必要があります。1960年代のDSモデルは、時計の状態によって約16万円~33万円でご購入いただけます。クッション型ケースのバイコンパックスクロノグラフ、DS-2 クロノオリンピックスには、平均して約48万円の価格が付けられます。1000 m (100気圧) の防水性を持つDS-3 スーパー PH1000m、919.1などのダイバーズウォッチはそれよりさらに高く、状態の良い中古品は約49万円になります。
サーチナは1970年代に、ややエキゾチックな雰囲気を持ったいくつかの時計を発表しました。DS ダイアマスターとバイオスターエレクトロニックの両モデルがこれらに属します。DS ダイアマスターは、ラドーと共同で開発され、傷に強いタングステン素材のケースが使用されています。また、バイオスターモデルには人体のバイオリズム表示が備えられています。これらの両モデルはChrono24にて約7万円で提供されています。
古き定番時計の復活版
サーチナはヘリテージ コレクションにおいて、ここ数年クラシックなモデルのリニューアル版を市場へ送り出してきました。2018年に発表されたDS PH200M パワーマティック 80はその一つです。ブラック文字盤、その表面に見られるホワイトの蓄光バーインデックス、針の形、ブラックのベゼルリングとホワイトのミニッツスケールは、1967年にリリースされたオリジナルモデルとまったく同様に仕上げられています。また、風防の素材にも古いモデルと同じヘサライトが使用されています。
当時のモデルとの相違点は、サテン仕上げが施されたやや大型なステンレスケース、赤い秒針、そして新しいETAムーブメント Cal.C07.111の使用です。パワーマティック 80と呼ばれる自動巻きムーブメントはETA2824-2をベースとしており、80時間までのパワーリザーブを保ちます。レザーストラップもしくはNATOストラップで手首に着用されるDS PH200M パワーマティック 80の価格は約7万円です。ステンレス製のミラネーゼブレスレット付きのモデルは、約8万円でご購入いただけます。
ヘリテージコレクションでは、1960年代始まりの初代のDSモデルがお好きな方にもいくつかのモデルを提供しています。DS-1 パワーマティック 80 ヒマラヤは、1960年に標高8167mのヒマラヤ山脈ダウラギリの登山に出発した国際的な探検部隊の装備として活躍したサーチナ DSをモチーフにして作られています。この時計もETA パワーマティック 80によって駆動されています。ケース径は現代のサイズに合わせて40mmになっています。全体的なデザインは、当時のモデルに良く似せられています。
この時計は、シルバーの文字盤とステンレスブレスレット、もしくはホワイトの文字盤とゴールドのミニッツスケール、ゴールドの針、並びにブラウンのレザーストラップの2種類で提供されています。ホワイト文字盤のモデルは約6万円で提供されており、シルバー文字盤のモデルはそれより約1万円強高くなります。
ダイバーズウォッチとレーシングクロノグラフ
アクアコレクションの時計は水に強く作られています。DS アクションダイバー パワーマティック 80はクラシックなダイバーズウォッチです。その防水性は300m (30気圧) で、逆方向回転のダイバーズウォッチが備えられており、針とインデックスには蓄光塗料が塗布されているため、暗い場所でも高い視認性が確保されています。パワーマティックムーブメントは80時間のパワーリザーブを保ち、3時位置に日付表示を備えています。サーチナはケース径43mmのこのステンレスウォッチの文字盤、並びにベゼルリングをブラック、ブルー、グリーンで提供しており、さらにステンレスブレスレットかラバーストラップからお選びいただけます。価格は約8万円~9万円になります。グレーの文字盤のチタンモデルはそれより若干高く、約11万円で販売されています。
ダイバーズウォッチとドレスウォッチの要素を組み合わせた時計をお探しの方は、DS アクション 固定ベゼルをご覧ください。ダイビングベゼルの代わりに、この時計には固定式のステンレス製のプリッシュ仕上げのベゼルが備えられており、これがこのDS アクションモデルにクラシックで優雅な印象を与えています。ダイバーズモデルとのもう一つの相違点は、時計に搭載されているムーブメントです。サーチナはこのモデルに高精度のクォーツ機構である、ETAのプレシドライブF07.412を採用しています。この機構はスイスクロノメーター検定協会COSCによってクロノメーターとして認定されており、通常のクォーツ機構に比べて8倍までの精度を誇ります。DS アクション 固定ベゼルはブラック、ブルー、グレー、シルバーのサンバースト仕上げの文字盤で提供されており、ステンレスブレスレット、もしくはレザーストラップによって手首に着用されます。このモデルは約5万円でご購入いただけます。また、ベゼルにレッドゴールドのPVDコーティングが施されたモデル、並びにチタンモデルもご入手いただけます。コンビのDS アクション 固定ベゼルのモデルもチタンモデルも、約6万円の価格でお買い求めいただけます。
DS アクション GMT パワーマティック 80とDS アクション デイデイト パワーマティック 80は、アクアコレクションにおけるさらなる人気のモデルです。両モデルは、自動巻きのパワーマティック ムーブメントで駆動されています。DS アクション GMTでは第2タイムゾーンを表示でき、DS アクション デイデイトの3時位置には日付と曜日が表示されます。GMTモデルは約10万円で、デイデイトは約7万円でご購入いただけます。
サーチナ スポーツ
スポーツ コレクションには、多数の高精度なクロノグラフがラインナップされています。DS ポジウム クロノグラフ 1/100秒やDS-2 クロノグラフ 1/100秒などのモデルでは、1/100秒の正確さでタイムを計測することが可能です。これを実現しているのは、ETAによるクォーツ式のプレシドライブシリーズの機構です。サーチナは同コレクションにおいて、このプレシドライブシリーズ内でもフライバック-機能や特別なラップタイム機能、あるいは第2タイムゾーン機能を備えるムーブメントを使用してます。3針モデルに搭載されているプレシドライブ機構はクロノメーターとして認定されています。
DS ポジウムのデザインは、DS-2 シリーズの時計とは全く異なります。ポジウムの腕時計にはモータースポーツとの関連性が強く表れており、時計の表示はレーシングカーのダッシュボードとよく似ています。DS-2モデルは1960年代のオリジナルモデルを連想させるデザインで仕上げられています。
ポジウム シリーズ、並びにDS-2 シリーズの3針モデルの価格は約5万円で、クロノグラフは約11万円でご購入いただけます。
DS イーグル クロノグラフは、コレクション内でもやや特殊なモデルです。この時計は最新のデザインで仕上げられており、ケースと一体化したラバーストラップ、バイクのクーリングフィンのを連想させるリューズガードが特徴的です。この時計は自動巻きのクロノグラフムーブメントETA C01.211によって駆動されています。この機構はレマニア5100をベースとしており、合成樹脂の脱進機を備えています。また、パワーリザーブは45時間になります。ケース径45.8mmのこの時計には、約21万円の価格が付けられます。
サーチナ アーバン - スポーティーなドレスウォッチ
スポーティーで、かつ上品。それが、アーバンコレクションのモットーです。同シリーズには数多くの3針時計がラインナップされており、そのサイズはレディース用とメンズ用で提供されています。駆動には自動巻き機構や、クロノメーター級のクォーツ機構が使用されています。モデルの一つにはDS カイマノがあり、パワーマティック 80、もしくはクォーツ式のプレシドライブ機構が搭載されています。メンズモデルのケース径は39mmで、レディースモデルのサイズは31mmです。DS カイマノはモデルによって、約4万円~7万円でご購入いただけます。
このコレクションには、興味深いコンプリケーションを搭載する時計もいくつか提供されています。その一つであるDS-8 ムーンフェイズには、COSC認定を受けたプレシドライブ機構が搭載されており、その3時位置には日付表示が、そして6時位置にはムーンフェイズ表示が設置されています。ケース径41mmのメンズモデルの文字盤の色の種類にはブラック、ホワイト、グレーがあり、価格は約6万円になります。レディースモデルの直径は32.5mmで、文字盤にはマザーオブパールが使用されています。価格は同じく約6万円になります。
DS-8 クロノグラフ ムーンフェイズには、クロノグラフ機能、ムーンフェイズ表示、日付表示と複数のコンプリケーションが同時に搭載されています。このモデルもETA プレシドライブによって駆動されており、41mmサイズのステンレスモデルはレザーストラップ、もしくはメタルブレスによって手首に着用されます。このモデルは約9万円の価格でご購入いただけます。レディースモデルのDSには、ファーストレディークロノグラフ ムーンフェイズという名が付けられています。このモデルの直径38mmのステンレスケースには、ゴールドのPVDコーティングが施されたモデルも提供されています。価格は約8万円になります。
サーチナ誕生の歴史
サーチナの起源は1888年にまで遡ります。アルフレッドとアドルフ・クルトの2兄弟はスイスのグレンヒェンに「Kurth Frères S.A」という名の工房を設立し、他の時計メーカーのために供給するムーブメントの製造を始めました。両兄弟は、その後まもなくこの工房を工場へと発展させ、自社の時計を製造するようになり、1906年には「Grana (グラナ)」というブランド名で時計を提供するようになりました。このブランド名は、同社の拠点であるグレンヒェンのラテン語名「Granacus」から派生しています。
1939年に、同社は「Certina (サーチナ)」という会社名に変更しました。その約5年後にはサーチナ ラボーラの名の下に、防水性、耐磁性、耐衝撃性を備える腕時計がリリースされました。1949年以降、同社はサーチナの名前のみで知られています。
サーチナの歴史における大きなマイルストーンに、DSコンセプト (ダブルセキュリティ) の開発があります。この構造ではゴムのリングによって時計機構がケースから切り離されているため、時計は打撃に対して強くなりました。また、リューズに複数のガスケットが使用されているため、非常に強い防水性を誇ります。DSコンセプトの開発メーカーとして、サーチナはスポーツウォッチ分野にて高い名声を誇っています。
サーチナは1983年以降、スウォッチグループの先駆けであるSMH (スイス マイクロエレクトロニック・時計工業 AG) に属しています。同社は、グループ内でも高品質の時計を低価格セグメントデ提供するメーカーとして活躍しています。