2022年10月13日
 8 分

「Swiss Made」時計の裏にあるものとは?

Barbara Korp
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今日身につけている時計はどこで作られたのか?この質問にあなたが「スイス」と答える可能性は比較的高い。結局、スイスが正真正銘の時計国家であるという名声は正しいのである。この人口900万人に満たない国では年間約3000万本の時計が製造されており、ロレックスやオーデマ ピゲ、パテック フィリップなど、スイス製の高級時計は非常に多い。「スイス製時計」または「Swiss Made」は単なる製造国表記というより、むしろ品質特性であり、スイス製機械式時計は最高の時計製造技術、技術的革新、そして高い精度の代名詞となっているのだ。クォーツ時計においても「Swiss Made」は信頼性を保証しており、例えば他のプラスチック製時計より少々高い値段を支払ってもスウォッチを買う人は多くいる。それは、長く愛用できることを期待しているからだ。  

しかし、「スイス製時計」にスイス製の部品がどれくらい使用されているか考えたことがあるだろうか?「Swiss Made」時計の何割が実際にスイスで作られているのだろうか?また、どの大手ブランドがスイスで生まれただけでなく、そこで製造も行っているのだろうか?本記事ではこれらの疑問に答えていきたい。  

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク トゥールビヨン スイスウォッチメイキングの最高峰
オーデマ ピゲ ロイヤル オーク トゥールビヨン スイスウォッチメイキングの最高峰

時計が「Swiss Made」を名乗るためにルールがある理由は?  

スイスで組み立てられる時計をすべて「Swiss Made」と呼ぶことはできるのかといえば、できない。それでは単純すぎるだろうし、誰もが「Swiss Made」を名乗ろうとし、その名声を享受しようとするだろう。しかし、そのような乱用は優れた時計の生産国としてのスイスの素晴らしい名声を傷つけるだけでなく、経済的にも大きな損失となる。スイスにおいて時計はチョコレートに次いで2番目に重要な輸出品であり、時計業界は重要な雇用主なのだ。これは守られなければいけない。そのため、スイス連邦政府はいつ時計を「スイス製時計」として呼んでよいか、または「Swiss Made」として売り込んでよいかを定めたルールを制定した。それによって時計の高い品質、およびそれによって引き続き外国におけるスイス製時計の高い需要が保証されることになる。 

ルールの概要:   

  • スイスの部品 

スイスで製造された部品がムーブメントの価格の50%以上を占めていること。ムーブメントを含む時計全体では、製造コストの60%以上がスイス国内で支払われていること。これによって、外国製のムーブメントがスイス製時計に搭載されることが防がれる。   

  • スイスの特性 

時計に重要な特性を与えるすべての工程がスイス国内で行われていること。具体的には、すべての時計がスイス国内で組み立てられることを意味している。事前に組み立てられたコンポーネントもわずかだけ認められている。この例外があるのは、個別に手に入らない部品も一部あるからだ。さらに、最終検査もスイス国内で行われなければならない。   

  • スイスのルーツ 

時計において重要なのは、具体的な部品だけではない。技術開発も重要な役割を演じている。結局、時計を買うということは、そのコンプリケーション、そしてウォッチメイキングの一部を買うということなのだ。そのため、設計やプロトタイプ製造を含む時計の開発全体もすべてスイス国内で行われる。このルールによって、すべての時計にスイスの発明精神を見られることが保証されている。  

  • スイスのプライド 

プライドは法で定められていないが、これもスイス時計に見ることができるものだ。なぜなら、厳しいルールによって時計メーカーは、時計が「Swiss Made」表記を使用するための現行の条件を満たしているかどうかを定期的にチェックしなければいけないからだ。もちろん、これらの要件はすべて余分なコストを生み出すが、それでも時計メーカーは喜んで甘受する。なぜなら、スイス時計の素晴らしい名声を守り、購入者が長く愛用できる時計を提供することは、時計メーカーにとっても利益となるからだ。 

パテック フィリップ レディース ノーチラス この時計もすみからすみまでスイス製だ
パテック フィリップ レディース ノーチラス この時計もすみからすみまでスイス製だ

市場で世界をリードしているスイス時計メーカーは? 

ロレックス 

王冠はただのブランドシンボルではなく、ロレックスは実際にスイス最大の時計メーカーである。これはまったく驚くことではない。というのも、ロレックスはずっと前から高級時計の代名詞となっているのだ。アカデミー賞やウィンブルドン選手権など、ロレックスは多くのビッグイベントでもスポンサーを務めており、とても存在感がある。これほどまでに多くの有名人に愛用されている時計ブランドは他に皆無だ。ジョン・F. ケネディはロレックス デイデイト、バラク・オバマはロレックス チェリーニを着用していた。ポール・ニューマンはロレックス デイトナを世界的に有名にし、スティーブ・マックイーンはロレックス サブマリーナを愛用していた。スポーツ界の伝説的スターたちもロレックスを愛しており、例えばロジャー・フェデラーはロレックス デイトジャストを、タイガー・ウッズはロレックス シードゥエラーを腕に巻いている。   

それでも、ロレックスがこのリストでここまではっきりと首位であることには驚かれるかもしれない。残念ながら売り上げに関する正確な数字は公表されていないため、推定に頼るしかないが、これは素晴らしい像を描いている。年間約100万本の時計がビールとチューリッヒの工場から出荷されており、その売り上げはなんと80億スイスフランであると推定される。これはマーケットシェアの約28%をロレックスが占めているということだ。  

ロレックス サブマリーナ デイト 史上最も人気の高いスポーツウォッチの1つ
ロレックス サブマリーナ デイト 史上最も人気の高いスポーツウォッチの1つ

カルティエ

カルティエがこのリストの第2位であるかどうか、断言はできない。カルティエも正確な売上高を公表していないからだ。しかし、このブランドにおいて生産数が増加し、同時に需要も増えたことは間違いない。これはシリル・ヴィニュロンの功績として見なしていいだろう。カルティエのCEOは焦点の矛先をオートオルロジュリーから標準モデルへと移したことで、タンクやサントス、バロン ブルーなど、定番モデルを再び人気商品へと押し上げた。 

カルティエがとりわけアクセサリーで有名であった時代は過ぎ去った。現在は時計ブランドとしての地位を確固たるものにしており、現在年間60万本製造されている時計のファンは増え続けている。それは、2022年のアカデミー賞授賞式で多くの有名人がカルティエ タンクを身に着けていたことによっても証明されている。妹のビリー・アイリッシュとともにアカデミー賞歌曲賞を受賞したフィニアスは、ピンクゴールドのタンクを着用していた。そして、ジェイク・ジレンホールはイエローゴールドのタンク シノワーズを、2019年に主演男優賞を受賞したラミ・マレックはタンク マスト XLを腕に巻いていた。また、カルティエ サントスも人気上昇中で、自社製キャリバーを搭載し、現代的にアップデートされたことで、再び多くの男性の心をつかんでおり、ロレックス時計に代わり得る最高の選択肢として見ている人もいる。少なくとも、一度は試してみるべき、興味深い歴史を持つ素晴らしい時計であることは間違いないだろう。 

El Cartier Tank Chinoise vuelve a estar muy solicitado.
カルティエ タンク シノワーズ かつてないほどに人気再熱

オメガ

ロレックスに追いつくという目標にはまだ達していないが、これは時計愛好家にとってメリットでもある。オメガは待ち時間なしでも手に入れることができる高品質な時計を作っているのだ。オメガのカタログにはムーンウォッチとして有名になったスピードマスター プロフェッショナルなどの定番モデルもあれば、現行のジェームズ・ボンドウォッチのような興味深い新作モデルもラインアップされている。時計の技術的特性は素晴らしく、オメガの時計が月面に降り立ったということだけでなく、一部のモデルの耐磁性能は時計業界をリードしている。 

とりわけ、オメガがマーケティングにおける今年最大の成功の一部を担っていたことは、素直に認めるしかないだろう。ムーンスウォッチの発表のことだ。コレクターはそれによってスピードマスター ムーンウォッチの価値が下がることを危惧していたが、このオメガの一手はむしろ多くのメディアプレゼンスをもたらし、それによってムーンウォッチに対する関心を高めることになった。さらに、オメガはこのコラボレーションによって時代と共に歩むことができ、そのためこのブランドの将来について心配する必要はないということも証明した。 

Omega Seamaster Diver James Bond 007 No Time To Die: el reloj oficial de Bond.
オメガ シーマスター ダイバー ジェームズ・ボンド 007 ノー・タイム・トゥ・ダイ 公式ボンドウォッチ

まとめ

あなたがこのトップ3モデルに夢中になったか、それともフォルティスやティソ、オリスなど、あまり人気のないスイス時計ブランドにチャンスを与えたいと思ったかはわからない。しかし、いずれにしてもスイス製時計がスイス製部品で構成された、スイスのクラフトマンシップの賜物であることは間違いない。  


記者紹介

Barbara Korp

時計が単なるアクセサリー以上のものであることを発見した時、私はすっかり時計にハマってしまいました。時計技術の美しさに心を奪われてしまったのです。それと同時に、ほとんどのモデルが私の手首には大きすぎることに失望を感じました。しかし、諦めるという選択肢はなく、その結果、小さなケース径を持つ時計に対する関心が発展することになりました。

記者紹介

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