2023年05月30日
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【2023年】ロレックス ペプシの価格推移

Donato Emilio Andrioli
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人気のペプシベゼルを搭載したロレックスGMTマスター IIはロレックスの全ラインナップの中でも象徴的で、とりわけ人気のある時計だ。2022年という激動の年に、ロレックス ペプシの価格を見て来たが、今再び検討する価値があるのかどうか、皆様と一緒に考えてみたい。

Wie hat sich die Rolex Pepsi im Preis entwickelt?
ロレックス ペプシの価格推移はどうなっているか。

ロレックス GMTマスター ペプシ:アイコニックなパイロットウォッチ

しかしその前に、ロレックス ペプシの歴史について簡単に触れておこう。青赤ベゼルが時計愛好家に絶大な人気を誇る理由のひとつがその歴史にあるのだろう。パンナム航空が大西洋横断便の運航を開始した時、責任者たちは少なくとも2つのタイムゾーンを同時に表示できる腕時計を探していた。そして誕生したのが、ロレックスGMTマスターである。青と赤のベゼルは単なる装飾ではなく、昼と夜を意識させるためのちょっとしたことながら素晴らしいディテールだった。

パイロットや搭乗員だけでなく、NASAや空軍の飛行士の間でも絶大な人気を博し、ポップカルチャーでもその人気はとどまるところを知らなかった。ジェームズ・ボンド映画や人気ドラマ『私立探偵マグナム』シリーズ、あるいはコッポラ監督の大作『地獄の黙示録』でマーロン・ブランドが腕につけていたベゼルのないものなど、ロレックス ペプシはスクリーンの中でも生き生きと存在していた。マグナムシリーズの主役トム・セレックは、私物のロレックス ペプシを今でも着用している。

GMTマスターは、1983年以降GMTマスター IIとしてロレックスのカタログに掲載されており、ロレックスのラインナップに欠かせない存在である。だがペプシベゼルは2007年に一度終わりを迎えた。新しい6桁リファレンスが登場したことで、赤青のクラシックなモデルは長い間姿を消したのだ。「Lunette Noir(黒いベゼル)」や、後にはいわゆる「バットマン」といった、ペプシに代わるには十分すぎるほどのモデルが登場したが、新バージョンのペプシが登場する気配はなかった。だがそれも2018年のバーゼルワールドまでだった。当初はジュビリーブレスレットのみだったが、ステンレス製ペプシのカムバックは爆発的なヒットをもたらした。この時計をめぐる熱狂は凄まじいもので、それが今でも続いている。ロレックス ペプシが近年目覚ましい価格推移を見せたのも不思議ではないのだ。

Die erste Rolex GMT Master aus 1954
1954年製ロレックスGMTマスター ファーストモデル Ref.6542。リューズガードがない、ベークライトベゼルのモデル。

ロレックス ペプシ:アンティークか現行モデルか

現行のロレックスGMTマスター IIペプシが2018年に巻き起こした熱狂的な人気は、それ以前のペプシモデルにも恩恵を与えている。そこで、ロレックス ペプシの最新の価格推移を見る前に、アンティークリファレンスについても話しておいた方が良いだろう。というのも、これらリファレンスは現行モデルとは外観がまったく違うからだ。もちろん、現代の6桁ロレックスのような完成度と手触りの良さをアンティークモデルに求めることはできないし、技術的に見ても現代のものほど優れているわけではない。例えば、傷のつきにくいセラミック製の堅牢なGMTベゼルの代わりに、アルミニウム製ベゼルで我慢しなくてはならない。イージーリンクシステムのような洗練された機能もなく、ムーブメントに最新技術は使われていない。新しいロレックス ペプシではクラスプを留めること自体が素晴らしい体験とも言えるのに対し、アンティークモデルのブレスレットはカチャカチャ音がする金具に過ぎない。

しかし、アンティークGMTには、現代のロレックス ペプシにはない、信じられないほど人を惹きつける魅力がある。たとえば、当時の時計は6桁リファレンスに比べて、やや小さくて控えめなだけでなく、本質的にはるかにツール感があった。そのこと自体は筆者にとって、アンティークよりも現代のモデルを好む妨げにはならないのだが、ロレックス ペプシの場合は違う。アルミニウム製のベゼルであるがために、青と赤の色の経年変化を楽しむことができる。特に1675016700では、トリチウム文字盤のリファレンスのインデックスが黄ばむことで、全体がふたつとないチャーミングなキャラクターを持ち、今日でも抗しがたい魅力を放つ。今では多くの時計に人工的なパティナ(古色)がつけられているが、それには意味があるのだ。トリチウムを使用していた昔と違って、ここでは微量の放射性物質の心配をする必要はない。

ロレックス GMT-Master
16700 ()
ケース素材
ステンレス
文字盤
ブラック







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リファレンス16710も同様で、両者の長所を兼ね備えている。最後のアンティークペプシである同機はツールらしい外観、アルミベゼル、そして古いGMT時計のエッセンスをいまだに持っているが、サファイアガラスと、ルミノバを塗布してもはやパティナがつくことのないインデックスで、現行の126710BLROのファンにとっても充分にモダンなものになっている。一方、アンティークの魅力を好まず、すべての点で完璧を求める人には、6桁のペプシ・リファレンス以外に選択肢はないだろう。

Dank ausgebleichter Lünette und vergilbten Indizes üben viele Vintage-Referenzen der Rolex Pepsi eine unglaubliche Faszination aus
色褪せたベゼルと黄ばんだインデックスが、ロレックス ペプシの多くのアンティークリファレンス(ここではRef.16700)を、信じられないほど魅力的にしている。

ロレックス ペプシを今購入する価値はあるか?

では、現行ロレックス ペプシの価格推移を見てみよう。新しい6桁リファレンスの発表以降止どまることを知らなかった熱狂的人気が2022年にピークを迎えた後、今再び参入する好機が到来しているかもしれない。新品のジュビリーブレスレット付きロレックス ペプシの平均価格は、2022年3月時点で約360万円だったが、その後下降を続け、現在は再び2020年の水準をわずかに上回る程度にまで下がっている。ただし、ロレックス ペプシ 126710BLROはこの2年間だけでも、メーカーによる価格調整・値上げが何度か行われていることを忘れてはならない。現在、ジュビリーブレスレット付きのこのリファレンスはメーカー希望小売価格が129万6900円で、2020年当時よりもかなり高くなっている。

ロレックス GMT-Master II
126710BLRO ()
ケース素材
ステンレス
文字盤
ブラック







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全体として、ロレックス ペプシの価格はここ数ヶ月の大幅な落ち込みを経て通常の価格帯に戻り、今後数年間は再び着実に価値を高めていくと思われる。新品のロレックス ペプシの平均価格約290万円は、現在のメーカー希望小売価格の2倍以上であるとしても、これ以上手頃な好機は今後訪れないだろう。高級時計の購入はとにかくエモーショナルなものだ。もし本当にその時計が欲しくて予算があるのなら、今が絶好の機会かもしれない。予算オーバーなら、ロレックス ペプシの魅力的なアンティークリファレンスを選ぶという選択肢もある。これらのモデルも一気に新品並みの価格に達する可能性はあるが、それでもかなり安く手に入れることができる。いずれにせよ、ロレックスの代表的なアイコンウォッチのひとつを皆様のコレクションに加えることができるのだ。

ロレックス GMTマスターが表す人物像。是非こちらもご一読ください。


記者紹介

Donato Emilio Andrioli

チューダー ブラックベイ41という機械式時計を始めて買って以来、機械式時計の虜になってしましました。特に、古くて感動的な歴史を持つアイコン時計が大好きです。

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