セイコーは、広い時計業界の中でユニークな地位を確立しているブランドだ。セイコーは時計作りを担う会社として、グランドセイコーやクレドールを擁し、すべての人の予算に合う時計を作っている。高品質のクォーツ式時計からハイエンドの機械式時計まで、すべてがそろっているのだ。この記事では、セイコーが特別である理由について、深く掘り下げていきたい。
1.時計製造の長い歴史を持つ
セイコーといえば、すぐさまクォーツ式時計を思い浮かべる人が多いだろう。実際、1970年代からクォーツ時計は同社の主力製品だった。しかし、セイコーはそれだけではない。同社はまた、歴史ある高品質の機械式時計において素晴らしいコレクションを誇る。その歴史は1882年、服部金太郎が、東京、銀座に時計店を開いたところから始まった。1924年、セイコーの名を冠した初の腕時計が登場し、それは最高の時計づくりを掲げ同社の偉大な歴史の幕開けとなった。
2.技術革新の代名詞

1920年代以来、セイコーは技術革新に重きを置くことで、スイスの時計産業と一線を画してきた。同社は、セイコーというものを定義し、かつ時計業界に革命をもたらしたアイコニックな時計を開発し続けて来た。
例えば、1956年に発表されたセイコー マーベルは、ブランド初の自社製ムーブメントを搭載していた。続いて1959年、巻き上げ効率を高める “マジックレバー” 方式の機構を搭載したセイコー ジャイロマーベルが登場。1960年には、世界最高の腕時計を作るという目的で、初代グランドセイコーを発表した。
その後、1964年には日本初のクロノグラフ、1965年にはセイコー初のダイバーズウォッチを発表。そして1969年、セイコーから2つの世界初が生まれる。伝説の世界初自動巻きクロノグラフ時計、セイコー キャリバー 6139と、革命を起こした世界初のクォーツ式時計、セイコー クォーツ アストロンである。
その後の何十年もの間、セイコーの技術革新は続き、1988年にキネティックムーブメント、1999年には初のスプリングドライブムーブメントを発表した。最新のイノベーションであるアストロン GPSソーラーは、2012年に発表された。この時計は、ソーラーパワーをエネルギー源とし、GPS信号を利用して、現在地に基づいて自動で時刻を修正する。これは、現在セイコーを真にユニークなブランドとする、数々の画期的なイノベーションの最新例だ。

3.時計のすべてのパーツを自社製造
セイコーの人気のもうひとつの理由は、価格に関係なく、機械式時計に込められた誇りとクラフツマンシップだ。約7万円強のセイコー プロスペックス タートル、約50万円のキングセイコー KSK、約120万円のグランドセイコー ハイビート GMT、どの時計を買うにしても、一つひとつが細部にまでこだわりと誇りを持って作られている。セイコーの時計は、ケースからムーブメント、文字盤、ブレスレットに至るまで、すべてのパーツを自社で製造している。時計業界では、自社で一貫製造を行うマニュファクチュールであることがますます重視されている中、セイコーは長年この方法を貫いてきた。日本のセイコー関連施設を訪れる人々は、そこで目にする卓越した職人技と時計作りへの比類ない真摯な姿勢に感銘を受け、尊敬の念を深めて帰るものだ。
4.手頃な価格設定
セイコーは、手頃な価格の時計を製造するという点でも、長い伝統を保っている。ほとんどのスイスブランドが高級品ばかりを提供する一方で、セイコーはリーズナブルな価格のものからグランドセイコーやクレドールなどの高級モデルまで、高品質な機械式時計を提供している。セイコーの最も手頃な価格の時計は、約7万2000円以内で購入可能な素晴らしいオプションが多くそろう、セイコー 5スポーツだ。伝説のダイバーズウォッチ、セイコー SKX007にインスパイアされたSKXシリーズから、ミリタリーにインスパイアされたデザインのフィールドシリーズまで、優れた選択肢がそろっている。セイコー プロスペックスは、プロフェッショナルダイバーズウォッチのブランドとして始まり、現在では海や陸での使用に適したさまざまなツールウォッチを展開している。価格は約7万2000円から始まり、最高約50万円までのモデルがある。よりスタイリッシュなドレスウォッチをお好みなら、さまざまな選択肢のあるセイコー プレザージュがおすすめだ。カクテルタイムは約7万円前後からスタートし、日本の熟練職人による特別な文字盤が特徴のクラフツマンシップシリーズは30万円以下で入手可能だ。セイコー アストロンは、最先端技術を駆使した時計として知られ、価格は約30万円〜58万円である。最後に、セイコーは2022年にキングセイコーの名を復活させ、多くの時計ファンを喜ばせた。現在、グランドセイコーは独立したブランドとなっているが、セイコーはキングセイコーをサブブランドとして復活させることに将来性を見出したのだ。このコレクションには、1960年代のキングセイコーのクラシックなデザインにインスパイアされた最新のムーブメントを搭載したモデルがある。KSKモデルの価格は約30万円弱から始まり、最高で50万円ほどである。これらの価格を見て分かるように、セイコーはあらゆる予算に対応できる。セイコーの時計のほとんどは、スイスブランドのものに比べると非常に安価であり、同社のハイエンドの時計は、同じような価格帯のスイス産時計と同じように優れている。
5.すべての人にぴったりな時計が見つかる
最後に、セイコーの最大の強みの一つとして、その幅広さにある。同ブランドは、1950年代のクラシックなシルエットからモダンで近未来的なデザインまで、幅広い予算とバラエティに富んだスタイルの時計を提供している。セイコーも多様な商品展開の重要さを理解しており、特に若い顧客層に人気のセイコー 5スポーツでは、さまざまなアーティストやアスリート、デザイナーとコラボレーションを行ってきた。セイコー プロスペックスは、ダイバーズウォッチにおけるセイコーの先駆的な功績を高く評価する時計愛好家たちから特に愛されており、キングセイコーは、世代を超えて受け継がれる卓越したヴィンテージモデルに価値を見出す人々を魅了している。何よりもセイコーが特別なのは、年齢を問わず、セイコーファンのそれぞれが時計と個人的なつながりを持っているからという点にある。筆者もセイコーファンほ一人として、このことは身をもって知っている。セイコーは、筆者が機械式時計に興味を持つきっかけとなったブランドであり、そのことは決して忘れることはないだろう。