2024年06月06日
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イタリアの時計ブランド トップ5

Donato Emilio Andrioli
Panerai-2-1

イタリアの時計ブランド トップ5

必ずしもスイス製である必要はない。時計愛好家なら一度はじっくりと見てみたい、魅力的で伝統あるブランドはイタリアにもある。今回は皆様をイタリア時計の世界にご案内したい。イタリアの時計ブランドの特徴についてお話ししながら、現在時計界で活躍するおすすめのブランドを5つご紹介しよう。

イタリア時計の歴史

時計製造の長い歴史を誇れる国は、なにもスイスだけではない。イタリアにも時計作りの長い伝統があり、その歴史は16世紀にまでさかのぼる。当時からイタリアの時計職人たちは、時間を示すだけでなく、デザインも芸術的で精密な機械式時計を作り続けて来た。何世紀にもわたり、イタリアの時計製造技術は発展を続け、世界的に有名なブランドをいくつか生み出した。その中から特に魅力的な5つのブランドをこれからご紹介するが、その前にひとつ大事な質問に答えておきたい。

イタリアの時計ブランドの特徴とは?

イタリアの時計ブランドの特徴は、創造性、デザインに対する情熱、ディテールへのこだわりだ。伝統的なクラフツマンシップと現代的な技術を融合させ、ユニークで高品質な時計を生み出している。イタリアの時計は、その豊かな文化と歴史的遺産に裏打ちされた、エレガントでスタイリッシュなデザインで知られている。これからご紹介する時計ブランドがそれを証明してくれているはずだ。

Eine Uhr, die Sie so sicherlich kein zweites Mal sehen werden. Bulgari Octo Finissmo
こんな時計には2度とお目にかかれない。ブルガリ オクト フィニッシモ ウォッチ

イタリアの時計ブランド トップ5

パネライ

このトップ5で一番最初に紹介するにふさわしいのは、最も有名なイタリアのブランド、パネライだ。1860年、時計師ジョバンニ・パネライがフィレンツェのアッレ・グラツィエ橋付近に時計店を開いたのが始まりで、その30年後には曾孫のグイド・パネライに引き継がれた。1938年、イタリア海軍からダイバーズウォッチの製作を依頼されたことで会社は大躍進を遂げる。当初はノウハウがなかったため、時計はロレックスに発注し、後からラジオミール夜光塗料を塗布した自社製の文字盤を取り付けていた。1950年からは、放射性の高いラジオミールに換えて、危険性の低いルミノールを使用するようになり、そのまま時計の名称もルミノールに変更された。以降、特徴的なクッション型の時計ケースには、半月型のリューズプロテクターが付けられるようになった。1993年にルミノールとルミノール マリーナが少量生産で販売されると、瞬く間に憧れのラグジュアリーアイテムとなった。パネライは1997年からリシュモングループの傘下に入っている。パネライ ルミノールのような時計は今でも非常に人気が高い。

Unverkennbar im Look: Panerai Luminor
個性的な外観のパネライ ルミノール

ブルガリ

厳密に言えばブルガリは純粋な時計ブランドとは言えないだろう。1884年にローマで創業した同社は主にジュエリー、ファッション、香水、革製品で知られ、カルティエやティファニーと並ぶ世界最大級の宝飾品メーカーなのである。しかし、ブルガリのラグジュアリーアイテムには1980年代から時計も仲間入りしている。セルペンティコレクションはレディース、 そして八角形のオクトはメンズコレクションのフラッグシップと言えるだろう。ジェラルド・ジェンタによって創作されたオクトは、そのユニークなデザインが素晴らしいだけでなく、自社製ムーブメントも搭載している。時計はスイスで製造されているため、ブルガリの時計には「Swiss Made」の記載がある。

Der Name ist Programm: Die Bulgari Octo Finissimo kommt hauchdünn daher.
名が体を表す、ブルガリ オクト フィニッシモ。

スクワーレ

このブランドについて書くにあたってイタリアのことわざ ”Tutto il mondo è paese“ を思い浮かべずにはいられない。「世界はひとつの村=世界は広いようで狭い」という意味だ。というのも、スクワーレ(Squale)はイタリアの時計ブランドではなくスイスで設立されたのだが、このダイバーズウォッチに特化したブランドは今回のイタリア時計のトップ5に絶対に入れるべき会社なのである。第一には、本社はスイスでもイタリア語圏のキアッソにあること。第二には、1970年代にイタリア海軍の公式サプライヤーだったことがその理由だ。正式に創設されたのは1959年だが、創業者であるチャールズ・フォン・ビューレンは、1940年代末にはすでに「ビューレン」の名前で時計を作っていた。60年代から70年代にかけて、スクワーレはケースを他のメーカーに供給しており、その中には、ドクサ、ジン、タグ・ホイヤー、さらにはブランパンといった有名メーカーも含まれていた。1974年からは自社で時計も製造するようになった。1521 50アトモスはスクワーレのアイコンウォッチと言えるだろう。このモデルには現在さまざまなバージョンがあり、5時位置にリューズを配した伝説的な「フォン・ビューレン」のケースを採用している。スクワーレ・ブランドは1982年以降、イタリアのマッジ家が所有している。つまり、このブランドにはイタリアの息吹が隅々にまで行き渡っているのだ。

Squale steht für professionelle Taucheruhren
スクワーレはプロ仕様の本格的ダイバーズウォッチを得意とする。

ユーボート

ユーボート(U-Boat)はイタリアの時計ブランドで、パネライのように、大型で特徴のある時計で知られている。1942年にイタリア海軍のために堅牢な時計を設計したとされるイルボ・フォンタナの孫、イタロ・フォンタナによって2000年に創設された(イルボが設計した時計の生産は実現しなかった)。ユーボートの時計は、その工業デザイン、堅牢性、独特の美学が特徴だ。パネライとの類似性は否定できないにしても、ユーボートウォッチは独自にデザインされている。パネライと同様、アクションスターのシルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーもこのブランドの大ファンだ。ほとんどのユーボートウォッチは直径が大きいことを考えると、それも当然と言えるだろう。

Durchmesser von 47mm sind bei der italienischen Uhrenmarke U-Boat an der Tagesordnung
イタリアの時計ブランド、ユーボートでは直径47mmは標準だ。

アノーニモ

筆者が個人的に選ぶイタリア時計ブランドのトップ5を、時計界では皆様がまだ耳にしたことがないだろう名前で締めくくりたい。アノーニモ(Anonimo)だ。1997年に設立されたばかりの比較的若い時計ブランドである。アノーニモの歴史はパネライと密接な関係がある。リシュモンによる買収の過程で、パネライの生産拠点はイタリアからスイスに移されたのだが、その後パネライの元社員たちが設立したのが新会社アノーニモ・フィレンツェなのだ。この時計ブランドもパネライの影響を否定できず、コレクションはツール的で堅牢なダイバーズウォッチで構成されている。筆者は特に、パネライのルミノールを彷彿とさせるナウティーロが気に入っている。

Die Anomino Nautilo erinnert lose an die Panerai Luminor
アノーニモ ナウティーロはパネライ ルミノールをほのかに彷彿とさせる。

筆者お気に入りのイタリア時計

以上、魅力的なイタリア時計ブランドを5つご紹介した。そして、イタリア人である筆者ならどれを選ぶか。ブルガリのオクト フィニッシモは類稀な時計ではあるが、私ならパネライを選ぶ。パネライの歴史の大ファンであり、オメガ、ブライトリング、チューダー、ロレックスといったメゾンのダイバーズウォッチとはまったく違う時計作りをしているからだ。もしパネライのラインアップから一つだけ選ぶとしたら、アイコニックなパネライ ルミノールを選びたい。


記者紹介

Donato Emilio Andrioli

チューダー ブラックベイ41という機械式時計を始めて買って以来、機械式時計の虜になってしましました。特に、古くて感動的な歴史を持つアイコン時計が大好きです。

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