時計の値段は、セレブと関係があると飛躍的に上昇することがある。これは特に有名なセレブのコレクター(スポンサーではなく) と関係する時計に当てはまる。エリック・クラプトンならなおさらの事だ。時計コレクターの間では、この伝説的なイギリス出身のギタリストがパテック フィリップとロレックス(両方ともヴィンテージと新品)に特別な関心を持っており、高級腕時計のファンであることはよく知られている。「エリック・クラプトン 時計」とググってみれば、知るべき情報がネットで検索できる。
ミスター・クラプトンはれっきとしたコレクターであり、転売目的で時計を収集していない。つまり、彼が自身のコレクションから時計を販売することは滅多に無いということだ。それが理由で、2012年にプラチナのパテック フィリップRef.2499が約3億9000万円で売れた。彼の一本が弊社のマーケットプレイスで販売されていることになぜ私たちがこれほどまでに興奮しているのか、これでお分かりただけると思う。クラプトンが所有した時計は現在、イギリスの中古ディーラーであるXupesで販売されている。そしてこれはパテック フィリップ175周年記念5975R-001 である。続きを読んで、この素晴らしいタイムピースの詳細について知ろう。
個人宛てのインビテーション
パテック フィリップ の熱狂的なファンであれば、同社が2014年に創業175周年を記念したことはご存じであると思う。私は幸いにもニューヨークで開かれたパーティーに参加することができ、興奮したのを覚えている。だが、パテック フィリップから個別に限定版のタイムピースを購入できるインビテーションを受け取った際にはもっと興奮するだろう。このようなインビテーションは、ごくわずかなパテック フィリップのエリート客に限定されている。ご想像通り、この種の名誉を与えられるには、かなりビッグな人物でなければならない。
クラプトンがインビテーションを得て、この時計をパテック フィリップから直接購入したのか、またはもっと後に他のコレクターから譲り得たのかは不明である。時計コミュニティーでの彼の地位を考慮すると、私たちは前者であると賭けている。だが、パテックはこういったことは極秘にしているので、確実に知ることはできない。
Ref.5975 アニバーサリー シリーズ
パテック フィリップ創業175年を記念して、同社は完全に異常と言えるRef.5175グランドマスター チャイムを含む一本限定のシリーズを作り出した。このシリーズからのモデルが再び市場に現れる可能性は非常に低く、例えまた浮上しても7〜9桁の値段が付けられるはずだ。Ref. 5975 は、一本限定のものではなかったことが少し違う点だ。その代わりにパテック フィリップは、この記念日を示す4つの異なるバリエーションを作った。イエロー、ホワイト、そしてピンクゴールドのエディションを各400本限定で製造した他、プラチナ製のブラックダイヤルが備えられたモデルを100本限定で製造した。年に7万本しか時計を製造しない同社にとって、この限定本数は必ずしも排他的ではない。
だが、それはパテック製の時計が多数売れないということではない。これら限定時計は、同社の長期に渡る時計製造の中でも最も個性的なモデルに属する。文字盤には、マルチスケール クロノグラフを始め、タキメーター、テレメーター、そしてパルスメータースケールも備えられている。サブダイヤルは無く、正直なところ一見この時計は非常に威圧的に見える。だがこの傑作がどのように機能するかを知ると、すぐに好奇心がそそられるような見方に変わる。
40mmのケース(この時計の場合はピンクゴールド)には、1930年代および40年代のパテック時計に似た魅力的な段付きラグが備えられている。だがサイズとフィット感は、現代に適合するようにできている。この時計には、自動巻きクロノグラフである自社製キャリバー28-520が搭載されている。多くのパテック時計のクロノグラフは手巻き式で、残念ながら自動巻きは珍しい。いずれにせよ、キャリバー28-520は、記念日を示す特別なエングレービングが施された頑丈なケースバックの裏に搭載されている。
175周年記念5975Rは、興味深く魅力的なモデルである。この特定の時計がかつて3回もロックンロールの殿堂入りを果たし、時計コレクターとしても尊敬されるエリック・クラプトンが所有していた一本だとなると、間もなく市場では見られなくなるだろう。
Xupesの共同創業者でディレクターであるジョセフ・マッケンジーは、この特別な商品に関して次のようなコメントを残している。「エリック・クラプトンが所有していた、この滅多に見つからないエクスクルーシブなパテック フィリップの時計を販売できることを光栄に思います。この時計が新たな所有者を見つけ、おそらくファンかコレクターだと思いますが、この時計に内在する物語が世代を超えて受け継げられていくことを私たちは望んでいます。エリックが所有した時計は、過去にもエリック・クラプトン愛好家の間で興奮を呼び起こし、推奨小売価格よりも40%以上も値段が上がることがありました。
あなたがエリック・クラプトンのファンであろうとなかろうと、このクールな時計にはクールな物語が含まれている。この時計が、販売後にまた市場へ戻ってくる可能性は低い。
Xupesとは?
2009年に親子であるフランクとジョセフ・マッケンジーがXupesを創業して以来、同社は中古高級品を扱う信頼性高い販売業者として運営されている。その本社は、イギリスのビショップズ・ストートフォードにある、修復した17世紀の納屋に構えられている。近年ではヨーロッパに事業を拡大し、アムステルダムにも拠点を作る。Xupesの時計バイヤーチームは同社が提供する品質と信頼性によって、現在さらに多くの興味深い時計の入手に成功している。
その一例が、このRef.5975Rである。Xupesによると、この時計はエリック・クラプトンの個人的な友人(クライアントの機密性のため、情報は公開することはできない) によって委託されたと言うことだ。もともとこの時計は、クラプトンの他の時計を含む広範なコレクションの一部であった。この時計のオーナーは、各時計には着用されるべき時間があるという信念を抱いており、この時間少なくなっているため他の方にこの美しいタイムピースを称賛する機会を与えたい、という理由で販売することを決断した。