2023年08月03日
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オメガの時計は投資価値があるのか?

Jorg Weppelink
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時計好きなら、間違いなくオメガ スピードマスター “ムーンウォッチ” を知っているだろう。1969年7月20日、NASAの宇宙飛行士バズ・オルドリンの手首に巻かれ、月へ行った史上初の腕時計だ。これは紛れもなく、史上最も重要な時計にまつわるストーリーである。オメガは1932年以来、オリンピックの公式タイムキーパーであり、これは時計の世界において最も長く続いているパートナーシップだ。そして、オメガとジェームズ・ボンドシリーズとのパートナーシップはどうだろう?ピアース・ブロスナンが『ゴールデンアイ』でシーマスター ダイバー 300Mを着けて以来、シーマスターコレクションは007のお気に入りの時計となった。しかし、素晴らしいストーリーがあるからと言って、必ずしもオメガの時計に投資価値があるということになるのだろうか。

良い投資対象を見つける

まずは、時計の世界で言う良い投資対象とは何なのかということから見ていこう。全ての投資と同様に、短期間の投資対象として良い時計もあれば、長期間の投資対象とした方が良い時計もある。短期間の投資に関して言うなら、素早く売れることがすべてだ。絶大な人気を誇る時計を定価で手に入れでもしない限り、利益を上げるには、非常にスマートに多くの時計を買って売っていかなければならない。すぐに売れるという点でわかりやすいブランドと言えばロレックスだが、価格は何年もの間上昇し続けた後、2022年になって落ち込んだ。そのため、かつての市場と同じというわけではない。

経済的にも十分な余裕があり、まずまずのリターンを得たいという人には、長期的な投資が向いている。しかしそれには、2つの重要な点を押さえておく必要がある。まず1つ目は、自分の時計をよく知らなくてはいけないということ。時計の価値が時と共に上がるのかどうかを予測するために、ブランド、モデル、何が時計の人気を左右するのかを知らなくてはならない。2つ目に必要なのが、辛抱強さだ。投資という点からすると、多くの人に欠けている点である。時計コレクションで相当な利益を得る最善策は、時間をかけるということだ。しかし、現在と未来の定番時計が分かっているなら、途中でかなりの利益を得ることができるだろう。

投資対象としてのオメガ

そこで、出てくるのが次の質問である。オメガの時計は安定した価値があり、良い投資対象なのか?というもの。ロレックスには素晴らしい投資となる可能性のある現行及び過去のモデルやリファレンスが数多くあることは皆が知っている。オメガについては、少々リサーチをしてみなければならない。というのも、すべての時計が巨大な利益を生み出すというわけではないからだ。それにはもっともな理由がある。第一に、ロレックスに比べオメガの時計コレクションは格段に幅広い。厳密に言うと、オメガにはシーマスター、スピードマスター、コンステレーション、デ・ヴィルの4つのコレクションしかないが、それぞれが独自のモデルをそろえた複数のラインを持っている。

第二に、ブランドとしてのオメガへの熱狂は、単純にロレックスほど大きくない。そのため、オメガの時計すべてに皆が即座に飛びつくというほど人気ではない。結果として、需要が製造をしのぎ希少性が生まれるということは、オメガの時計の多くには見られないのだ。では、オメガは投資対象には不向きなのかと言ったら、そうではない。だが、何を探すべきなのか、知っておく必要がある。それでは、良い投資対象になりそうな人気モデルをいくつか見てみよう。

オメガで人気の現行モデル

まずは現行コレクションから始めよう。オメガで最も人気の高い時計のうち、多くがスピードマスターコレクションにあることは驚きではない。特に、NASAとその宇宙ミッションに深く関連するスピードマスターならばなおさらである。

スピードマスターキャリバー321 “エド・ホワイト”

今回の最初に紹介したいのは、オメガ スピードマスター キャリバー321 “エド・ホワイト” Ref. 311.30.40.30.01.001だ。このステンレススチール製スピードマスターは、NASAの宇宙飛行士の手首に巻かれ宇宙を旅した初期のスピードマスターのムーブメントであるオメガの伝説的なキャリバー321を称えて作られた。オメガはこの時計を、1960年代のスピードマスター Ref. 105.003 “エド・ホワイト” をインスピレーションにして作り上げた。スピードマスター キャリバー321を持つ全ての時計は、オメガの製造施設内にある専用の工房で組み立てられ、チェックを受ける。この特別な工房は年間1000〜2000本の時計を製造しており、そのすべてが手作業で行われる。現時点での定価は221万1000円で、比較的高価なスピードマスターであるが、あまり簡単には入手できないことから、Chrono24での価格は通常約300万円ほどとなっている。

The Omega Speedmaster Caliber 321 "Ed White"
オメガ スピードマスター キャリバー321 “エド・ホワイト”

スピードマスター シルバー スヌーピー アワード50周年記念

現行のスピードマスターコレクションの中で非常に高い人気を誇るもう1つの時計が、スピードマスター “シルバー スヌーピー アワード” 50周年記念 Ref. 310.32.42.50.02.001であり、ブルーを基調としたデザインが際立っている。オメガは2003年に最初のスヌーピー スピードマスターを作り、2015年に2番目のモデルを作った。誕生以来、どちらもとても人気が高く、後者の価格はChrono24では500万円以上だ。3番目となる現行モデルについては、裏蓋にその魔法があり、写真のようにリアルな月と地球が描かれている。地球は時計の文字盤上の9時位置のインダイヤルとリンクしており、1分ごとにきっかり1周する。さらに、クロノグラフのプッシュボタンを押せば、スヌーピーが月の背後から現れる。スヌーピーは裏蓋上を横切ると、再び月の裏へと消えていく。この遊び心溢れた仕掛けは、定価152万9000円に対し倍近くの金額を出してでも買いたいと思わせる主な理由となっていると言える。市場価格は2022年4月がピークではあったが、もしこの時計を小売店で定価で入手できれば、まだ相当の利益を得ることができる。

Omega Speedmaster Silver Snoopy Award 50th Anniversary is bringing back childhood memories
子どもの頃の思い出を蘇らせてくれる、オメガ スピードマスター “シルバー スヌーピー アワード” 50周年記念。

長期投資対象としてのヴィンテージ オメガ

現行のオメガモデルの他に投資の可能性を持つオメガを探すなら、オプションは限りなくある。ヴィンテージのスピードマスター ムーンウォッチとスピードマスター “プレ・ムーン” モデルは極めて人気だ。これらのクラシック時計の価格は時間と共に相当に上がっていくはずだ。状態の良いものを入手できたなら、誇りを持って愛用しながら、市場価値の動向を確認しておくべきである。

スピードマスター リミテッドエディション

時間と共に価値が上昇しそうなもう1つの時計グループは、オメガのスペシャルエディションとリミテッドエディションである。なかでも紹介しておきたいのは、2003年の最初のスヌーピー アワード Ref. 3578.51、2015年のスピードマスター シルバー スヌーピー アワード Ref. 311.32.42.30.04.003などのスピードマスター リミテッドエディション、2008年のアラスカプロジェクト リミテッドエディション Ref. 311.32.42.30.04.001、2017年のスピーディー チューズデー 1 Ref. 311.32.42.30.01.001、 スピーディー チューズデー 2 “ウルトラマン” Ref. 311.32.42.30.01.001、ファーストオメガインスペース Ref. 311.32.40.30.01.001 ナンバードエディションである。これらすべてのモデルは今後価格が上昇する可能性がある。

Another Limited Edition: the Speedmaster Tokyo Olimpia Steel / Gold Ref. 522.20.42.30.06.001
もうひとつのリミテッドエディション:スピードマスター “東京2020” Ref. 522.20.42.30.06.001

シーマスター リミテッドエディション

コレクターたちの間で愛されるシーマスターのスペシャルエディションモデルもある。その好例が、ダニエル・クレイグが『007 スペクター』の作中で着用した、オメガ シーマスター 300 “スペクター” Ref. 233.32.41.21.01.001である。また、オメガ シーマスター 300 “1957トリロジー” Ref. 234.10.39.20.01.001も見事な時計であり、この時計はレイルマスター Ref. 220.10.38.20.01.002とスピードマスターと共に3部作としてリリースされたものだ。これら3つ全てが今後収集価値が高まる可能性を持っている。スピードマスターはすでにもとの小売価格よりも高く売れており、シーマスターとレイルマスターはオリジナル時計の素晴らしい復刻版であるため、おそらく価値が上がっていくだろう。

Omega Seamaster 300 007 Spectre
オメガ シーマスター 300 “スペクター”

ヴィンテージ シーマスターの定番

さまざまな種類の定番シーマスターもまたファンのお気に入りとなり、1970年代のプロプロフ 600M Ref. 166.077とシーマスター 200 “SHOM” Ref. 166.0177から、モダンなプロプロフ 1200M Ref. 224.30.55.21.01.001と美しいシーマスター “グレート・ホワイト” GMT Ref. 2538.20.00までと、いろいろある。これらのモデルは、すでに人気がある、あるいはこれから人気になると思われる数ある定番時計のほんの一部に過ぎない。多くの人気ヴィンテージウォッチと同じく、その希少性の高さから価格は上昇するだろう。

Tone in tone: the Omega Seamaster 'Great White' GMT
オメガ シーマスター “グレート・ホワイト” GMT Ref. 2538.20.00

オメガの時計が持つ投資価値と腕時計投資について

全体的に見て、安定した価値を持つオメガの時計はたくさんあると言っても差し支えないだろう。そしてそのうちのかなりが素晴らしい投資対象にもなり得る。リスクなく時計を購入したいと考えるコレクターなら、オメガはチェックしてみるべき絶好のブランドだろう。そうは言っても、腕時計投資をするなら、自分でしっかりとリサーチすることが大切だ。その分、これだと思う1本を見つけたら、売却するまでその時計を存分に楽しむことができる。しかし、人生の他のすべてと同じように保証は何もない。もしかしたら、見つけた時計が気に入って売りたいと思わないかもしれない。時計を手にするまでは、誰にもわからない。皆さんが素敵な時計に出会えることを願っている。


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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