ラグジュアリーと革新的な技術を象徴するオーデマ ピゲは、その卓越したクラフツマンシップ、アバンギャルドなデザイン、そして型破りなユニークな時計で、1世紀以上にわたり時計ファンを魅了してきた。時代を超越したデザインから最先端のエンジニアリングまで、さまざまな好みや嗜好に応える幅広いモデルを提供している。この記事では、そんなオーデマ ピゲの時計の中から、筆者のベスト5を紹介したい。さまざまなフォルム、機能、特徴を持つこの5本は、コレクターにもそうでない人にも、価値あるものとなるだろう。
1.CODE 11.59 Ref. 15210OR.OO.A348KB.01
2019年に発表され、どちらかと言えばファンを混乱させたこのコレクションは、最も物議を醸したリリースの一つであったにもかかわらず、原点に忠実なスタイルから、その評価を覆した。以降、CODE 11.59は、人気上昇中のバリエーションとともに、印象的でユニークなコレクションに成長している。2023年、CODE 11.59コレクションに新たに41mmと38mmの2つのバリエーションが追加された。ドレスウォッチが必要な人にとって最適な選択肢ではないかと思う。筆者がチョイスしたのは、41mm径のRef. 15210ORである。3時、6時、9時、12時の4カ所にアプライドの数字を配した文字盤は、ごちゃごちゃと賑やかな印象を与えるが、この最新モデルでは、中央から波紋のように放射状に広がる同心円状のギョーシェ模様が施された美しい文字盤に、アプライドインデックスが配されている。文字盤には、Ref. 15210ORの18Kローズゴールド製ケースに完璧にマッチする「ナイトブルー、クラウド50」カラーが採用されている。これは、我々が待ち望んでいたCODE 11.59であり、モダンでエレガント、そして魅力的なデザインが完璧に融合している。筆者はこの時計の大ファンだ。
2.ロイヤル オーク Ref. 5402
ロイヤル オークが好きでも嫌いでも、Ref. 5402が、オーデマ ピゲのマニュファクチュール、ブランド、そして会社としての伝統の礎を築いた1本であることは否定できない。この時計は、史上最もアイコニックなスポーツウォッチとされ、1972年の発表以来、現在私たちが知るところの時計製造業界を作り上げた時計だ。初代リファレンスであるRef. 5402は、少なくともオーデマ ピゲが提供する限りにおいて、究極のヴィンテージスポーツウォッチだ。39mm径ステンレスケースに特徴的な八角形ベゼルとアイコニックな一体型ブレスレットを備え、その時代時代に合ったスタイルで着用できる真にタイムレスな1本で、そのデザインが現在でもいかに人気かがわかる。ブルーの「プチタペストリー」の文字盤が深みと質感を与え、見る者を魅了する。最高のオーデマ ピゲを求めるコレクターならこれで決まりではないだろうか。もしヴィンテージが好みでなければ、Ref. 15202はRef. 5402の代替モデルとしても悪くない。しかし、ヴィンテージのファンである筆者としてはAシリーズのRef. 5402は憧れの時計の一つでもある。その歴史、デザイン、そして時計業界全体に与えた影響において、Ref. 5402は特にオーデマ ピゲだけに限定すれば究極の時計と言えるだろう。
3.ロイヤル オーク オフショア フライング トゥールビヨン フライバック クロノグラフ Ref. 26622TI.GG.D002CA.01
革新性とスポーティな美しさを兼ね備えた時計を探している場合、ロイヤル オーク オフショア フライング トゥールビヨン フライバック クロノグラフ Ref. 26622TI.GG.D002CA.01は特別な時計となるだろう。2021年に発売されたこの素晴らしい時計は、ロイヤル オーク オフショアにとって新しい時代を迎え、もはやロイヤルオークの脇役ではなく、同等なものとして、同ブランドのラインアップに存在するようになった。43mm径の頑丈なチタン製ケースを備え、軽量で耐久性に優れたこの時計は、3時と9時位置に2つのフライバッククロノグラフのサブダイヤル、6時位置にフライングトゥールビヨンを配したフルスケルトンの文字盤が特徴だ。100本限定で発売され、発売当時の価格は24万2100スイスフラン(約4100万円)と高額ではあるが、オーデマ ピゲのオート オルロジュリーの実力と才能に興味があるのであれば、この時計が最高の1本であることは間違いない。
4.スターホイール Ref. 25720
現代的なドレスウォッチからヴィンテージのスポーツウォッチ、そして現代的なアヴァンギャルドな作品へと進むと、ヴィンテージのアヴァンギャルドなドレスウォッチ、オーデマ ピゲ Ref. 25720 スターホイール にたどり着く。型破りなタイムピースとして1991年に発表されたスターホイールは、17世紀にさかのぼる複雑機構、ワンダリングアワーからインスピレーションを得ている。スターホイールは、3枚のサファイア製アワーディスクが文字盤上部で回転しながらミニッツトラックに沿って移動する。それぞれのアワーディスクがリング上を動くことで、該当の1時間が表示され、その後、アワーディスクがリング上をまたゆっくりと動き、次の1時間が表示される。スターホイールは控えめな方法で、繰り返される時間というものを表現している。貴金属製で極めて限られた本数のみ製造されたこのスターホイールは、ステップベゼルを備えた全面ポリッシュ仕上げのケースと、小さな巻き上げリュウズと控えめなラグが特徴だ。ドレスウォッチの性格上、そのデザインは注目されていないかもしれないが、スターホイールのディスプレイは驚きと喜びを与えてくれる。そしてこれが、スターホイールがコレクターの間で非常に注目されている理由である。
5.バンブー
最後に、異色の時計として選んだのが、バンブーである。1980年代にオーデマ ピゲが発表したバンブーは、竹にインスパイアされた構造を特徴とするユニークなコレクションだ。貴金属で作られ、幅広い種類の文字盤デザイン、ダイヤモンドを施したパターンなどを展開するバンブーは、オーデマ ピゲのクラフツマンシップと芸術性へのこだわりを表現している。パテック フィリップのゴールデン エリプスやロレックス チェリーニほど有名ではないが、バンブーは伝統にとらわれないユニークで素晴らしい時計を作り上げるオーデマ ピゲの実力を見事に表現しており、賞賛に値する時計だ。
まとめ
オーデマ ピゲは、伝統と革新、そして時計業界で最も重要なブランドの一つとして、その豊かな歴史を融合させ、時計製造の限界を押し広げてきた。CODE 11.59のようなモダンなドレスウォッチ、ロイヤル オーク Ref. 5402のようなビンテージクラシック、またはバンブーのようなユニークなデザインのどれを取っても、今回紹介した5本はそれぞれ、他のオーデマ ピゲだけでなく、別ブランドの時計からも一線を画す、特別にユニークな魅力を持っている。