カルティエ サントスが広く愛されるのにはいくつか理由がある。1番は、カルティエというブランド自体の魅力によるもので、世界の一流ブランドの一つとして王族やセレブからも愛されている。次に、サントスがこのブランド初の腕時計であるという点にある。特別な歴史やストーリーを持つサントスという名前はファンたちを魅了し続けて来た。
3番目は、そのルックスにある。カルティエの時計はその優れたデザインが特徴だが、カルティエの典型的なデザインのスタートとなったのはサントスである。スクエア型ケース、敢えて見せるように取り付けられたベゼルのビス、スクエアの中にある優雅な曲線といったデザイン要素で、サントスは時計業界の偉大なる定番の一つとなった。そして私たちが魅了される最後の理由に、カルティエ サントスを購入するのに、必ずしも大金が必要だとは限らないということが挙げられる。カルティエのようなブランドの伝説的な時計が、かなり良心的な価格で購入できるということに驚くかもしれない。
カルティエ サントスの歴史
サントスの歴史を簡単に説明したい。1900年代初頭、ブラジル出身の貴族であり航空のパイオニアであるアルベルト・サントス=デュモンは、飛行時に最適な視認性に優れた実用的な時計を必要としていた。1904年、そんな友人にルイ・カルティエは新しいカルティエ サントスを提供した。それは、当時主流だったポケットに入れて持ち運ぶものではなく、手首に巻きつけるタイプの時計だった。
1911年にカルティエはサントスの一般販売をスタートし、時と共に富裕層や有名人の間で人気を博していった。サントスのデザインが一新されたのは1978年のことで、ゴールドのベゼルにゴールドのビスが止められたステンレススチール製のケースに同じステンレススチールのブレスレットを備えたサントスが発売された。貴金属製ではない初めてのサントスには、クオーツ式ムーブメントが搭載され、その手頃な価格から、「新生サントス」はヒットとなった。
そして1987年、カルティエはサントス ガルべを発表。このガルベは改良されたデザインが特徴で、その後30年にわたってサントスを定義することとなり、今日でも時計ファンたちから愛され続けているものだ。2018年に、そのデザインも現行のものにアップデートされ、2019年にはサントス デュモンがコレクションに加えられた。この時計は1904年に発表された定番サントスのデザインを現代的に解釈したものである。現在は、サントス ドゥ カルティエとサントス デュモンから選ぶことができる。
価格と価格推移
ChronoPulseで時計市場の価格指数を見てみると、サントスが非常に良いパフォーマンスを見せていることがわかる。さらに、ブランドとしてのカルティエの最近の価格推移は普通ではない。ほとんどのブランドで過去2年間のうちに価格が下落したのに対し、カルティエのサントスを含む人気モデルの価格は大幅に上がっている。
しかし、カルティエ時計の価格はモデルやサイズによってさまざまである。他のカルティエ時計同様に、サントスは男性用、女性用にさまざまなサイズで展開されている。通常、ミディアムとラージモデルが最も人気で、そのため高価になっている。
サントスは、フルステンレススチールバージョン、またはステンレス&ゴールドのバージョンから選ぶことができるが、史上初のコンビ時計の一つというステータスにも関わらず、コンビモデルの方が人気が低い。また、クオーツ式あるいは機械式の選択肢もあり、クオーツ式は特徴的なサントススタイルでありながらも、ずっと手頃な価格であり、最も人気の高い機械式は、最大の価格上昇を見せている。
驚くことではないが、長年の間にリリースされてきた特別版や限定版が最も高価で、カルティエコレクターたちが最も切望するものである。その良い例が、コレクション プリヴェ カルティエ パリの一部としてリリースされたサントスのプラチナとゴールドのバージョンだ。定番のサントスをより広い客層へ再びアピールすることに成功し、その人気を大いに上昇させた。限定版の中でも、特に数が限られていることから、入手するにはかなりの金額が必要となる。
カルティエのサイズについて
カルティエでは時計のサイズに独自の方法を取り入れている。ほとんどのブランドでは、時計のサイズを物理的な寸法で表記するのに対し、カルティエは、SM(スモール)、MM(ミディアム)、LM(ラージ)、XL(エクストララージ)というファッション的なサイズで表記している。SMとMMは女性の手首に最適であり、LMとXLは男性の手首に最適だろう。しかしいつものごとく、いろいろなサイズの時計を実際に試してみて、どれが自分に一番ぴったりなのかを探してみて欲しい。
サントス ドゥ カルティエ VS. カルティエ サントス デュモン
サントスについて、もう一つの重要なポイントが、サントス ドゥ カルティエとカルティエ サントス デュモンのどちらを選ぶのか、というこだ。定番サントスのモダンなバージョンか、初代サントスのクラシックなスタイルを受け継ぐサントス デュモンか、皆さんはどちらが好みだろうか。
サントス デュモンは、ゴールド、ステンレススチール、あるいはコンビ素材で作られた伝統的なサントスのケースを持つオリジナルのカルティエスタイルを持つモデルで、スタイリッシュなレザーストラップにさまざまな文字盤パターンがある。これまでに発売された特別モデルでは、文字盤デザインが素晴らしいものやラッカー塗装されたケースを持つもの、コンプリケーションを搭載したものなど、カルティエのクリエイティビティが存分に発揮されている。
一方、サントス ドゥ カルティエはスポーティーなモデルであり、主にメタルブレスレットが付属している。筆者のお気に入りのMMサイズ、ブラウンの文字盤を含め、さまざまなサイズと文字盤でそろい、自分にぴったりなサントスを見つけられるだろう。そして、カルティエのレガシーとも言えるヴィンテージモデルをチェックしてみるのもお忘れなく。1世紀以上にわたる歴史の中で、さまざまな価格帯の幅広いモデルが存在し、誰にとってもぴったりなサントスが見つかるはずだ。