2021年08月24日
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クリント・イーストウッド: 時計を愛するハリウッドの伝説

Sebastian Swart
Clint Eastwood
クリント・イーストウッド: 時計を愛するハリウッドの伝説

寡黙で気難しく冷笑的―これが、私たちが大抵の映画で知っている有名俳優クリント・イーストウッドのイメージである。身長193cmの長身俳優が1960年代と1970年代にブレイクする前、イーストウッドはB級映画で端役として役をこなしていた。最も有名なのは、おそらく1955年に公開された『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』の戦闘機隊長役だろう。もちろん西部劇ファンであれば、イーストウッドが後ほどイタリアン西部劇で得体の知れないカウボーイとして銀幕に登場したことを知っている。セルジオ・レオーネの監督の下、イーストウッドは1964年からドル箱三部作の『荒野の用心棒』、『夕陽のガンマン』、『続・夕陽のガンマン』で名無しの男を演じ、ヨーロッパで幅広い観客の心を捉えることに成功したが、米国ではいまだにアウトサイダーとして見なされていた。 

現在91歳のイーストウッドがハリウッドで初めて特別で、時に批判的な評判を得たのは、冷酷な警官「ダーティハリー」の役においてであった。ハリー・キャラハンを主人公にした『ダーティハリー』シリーズは1971年から始まり、すべてイーストウッドの故郷であるサンフランシスコを舞台にしていた。イーストウッドは俳優として過去60年間に約70本の映画に出演。また、約40本の映画を監督し、高齢を迎えてもカメラの前と後に立ち続けている。2008年に公開された『グラン・トリノ』や、2018年に公開された無一文の90歳老人アール・ストーンが麻薬の運び屋となる『運び屋』は、その代表的作品である。長年のキャリアの中で、イーストウッドは合計で2度オスカーを受賞。『許されざる者』と『ミリオンダラー・ベイビー』で、1992年と2004年に監督賞と作品賞が授与された。さらに、映画プロデューサーおよび映画音楽作曲家としても活躍している。 

しかし、クリント・イーストウッドはハリウッドにおける前例のないサクセスストーリーだけで有名なわけではない。彼が高級腕時計に興味を持っており、愛用していることもよく知られている。この映画スターのおそらく最も有名な時計は、プライベートでも映画の中でも身に着けていたロレックス GMTマスター 16753 ”ルートビア” だろう。1982年に公開された『ファイヤーフォックス』で、イーストウッドはこの時計をベトナム戦争の元空軍パイロット、ミッチェル・ガントの役で使用。その2年後、ウェス・ブロック刑事を演じる『タイトロープ』でもGMTマスターを身に着けている。イーストウッドが長年にわたってこの時計を愛用していたことは、1993年に公開された『ザ・シークレット・サービス』が証明している。ウォルフガング・ペーターゼンの監督の下、クリント・イーストウッドはこの映画で老練なシークレットサービス・エージェント、フランク・ホリガンを演じており、その腕にはロレックス GMTマスター 16753 ”ルートビア” が巻かれている。

ロレックス GMTマスター 16753 ”クリント・イーストウッド”
ロレックス GMTマスター 16753 ”クリント・イーストウッド”
16753 ”ルートビア” のジュビリーブレスレット
16753 ”ルートビア” のジュビリーブレスレット

ロレックス GMTマスター 16753 “ルートビア” の詳細

ロレックスがGMTマスター 16753を最初に発表したのは1970年代。このモデルでは、ベゼルとリューズ、針、インデックスがゴールドで仕上げられている。文字盤の色にはブラックとブラウンの選択肢が用意されていた。ブラウンの文字盤を持つルートビアは一般的なロレックスモデルから非常に際立っており、ゴールドブラウンの配色も新しかった。米国で飲まれている炭酸飲料と色が似ていることから、GMTマスター 16753のこのバージョンにはファンによって「ルートビア」という愛称が付けられた。 

インデックスがプリントされていたGMTマスターのそれまでのモデルとは異なり、16753には小さなアプライド インデックスが採用された。そして、この文字盤は「ニップルダイヤル」や「タイガーアイ」という愛称で呼ばれるようになった。ロレックスは色彩を調和させた2トーンのオイスターブレスレットまたはジュビリーブレスレット付きでルートビアを提供。クリント・イーストウッドが愛用していたのは後者である。それによって、ジュビリーブレスレット付きのRef.16753は ”クリント・イーストウッド” という愛称でも呼ばれるようになった。 

技術的仕様は当時の通常のGMTマスターと同じである。内部では日付クイックチェンジ機能を搭載したロレックス自社製キャリバー3075が時を刻んでおり、その振動数は前モデルよりも高い毎時2万8800振動。16753にはプレキシガラスが採用されており、最大300m (30気圧) の防水性を提供している。 

最大300m (30気圧) の防水性: GMTマスター 16753のオイスターケース
最大300m (30気圧) の防水性: GMTマスター 16753のオイスターケース

現在、ロレックス GMTマスター 16753はコレクターの間で非常に人気が高く、それはここ数年における価格の大幅な上昇にも見て取ることができる。この時計は通常130万円から155万円の間で見つけることができるが、状態や履歴、付属品によっては190万円から230万円の価格が付けられている。 

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記者紹介

Sebastian Swart

すでに数年前からChrono24のサイトを時計の買取と販売、そして時計について調べるのに使っていました。私は子どもの頃から時計に興味を持っており…

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