日本の大手時計メーカー、セイコーは1960年代以、堅牢で信頼性の高いダイバーズウォッチで知られている。ほとんどのモデルは正真正銘のツールウォッチであり、不必要な「派手さ」や余分なマーケティングの小細工は省かれている。選択肢は膨大で、ほぼあらゆる予算に対応できる時計をそろえている。同社のダイバーズウォッチは数万円から購入できるが、数十万円の値札が付いているものもある。もちろん、価格相応にキャリバーの技術や仕上げは異なる。この記事では、セイコーのおすすめダイバーズウォッチをさまざまな価格帯から5つ紹介したい。
プロスペックス マリンマスター プロフェッショナル 300M Ref. SBDX023
プロスペックス マリンマスター プロフェッショナル 300Mは、セイコーのダイバーズウォッチの定番だ。セイコーはこの時計の初代モデルを2000年に、Ref. SBDX001として発表した。その後、何度かマイナーアップデートを経て、2018年からはRef. SBDX023となっている。マリンマスター 300の主な特徴はいわゆるモノブロックケースだ。バックケースとミドルケースが一塊のブロックからフライス加工されたものである。また、セイコーはケースにダイヤシールドと呼ばれる超硬質コーティングを施し、ステンレスの傷つきにくさを保証している。300m(30気圧)防水で、力強い手首に合う時計だ。直径は44.3mm、ケース厚さは15.4mm。文字盤のデザインに関しては、アプライドのドットとバーのインデックスで古典的なダイバーズウォッチの原則に従ったものとなっている。マリンマスター 300には、セイコーの自動巻きキャリバー 8L35が搭載されている。このムーブメントにはストップセコンド機能があり、手で巻き上げることもできる。パワーリザーブは約50時間、毎時振幅数は2万8800回だ。未使用のセイコー マリンマスター 300(Ref. SBDX023)の価格は約45万円だ。新品同様のSBDX001はこれより4万円ほど安い。

ペプシベゼルのセイコー SKX009と映画『オール・イズ・ロスト』
セイコー SKX009(7S26-0020)(通称ネイビーボーイ)は2013年の米映画『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』で主演俳優ロバート・レッドフォードの腕に着けられていたいわば助演俳優である。このモデルは黒文字盤で、有名なセイコー SKX007(7S26-0020)(通称ブラックボーイ)と同じ作りだが、SKX009にはペプシデザインのカラフルなベゼルが装備されている。海で遭難したヨットの艇長役のロバート・レッドフォードは、この時計をNATOストラップで装着しているが、Ref. SKX009K2の標準バージョンにはジュビリースタイルのステンレスブレスレットが装備されている。ステンレス製ケースの直径は42mm、厚みは13.5mm。ドットインデックスを備えた文字盤のデザインは非常に落ち着いたもので、200m(20気圧)までの防水性を備えたツールウォッチであることを強調している。セイコー SKX009には、長年の実績を誇る自社製キャリバー 7S26が搭載されており、このムーブメントはトラクターのようにシンプルで耐久性が高いとされている。ストップセコンドも手巻き機能もないが、代わりに曜日と日付の表示が付いている。7S26の毎時振幅数はわずか2万1600回で、パワーリザーブは約41時間だ。Chrono24では、セイコー SKX009を未使用の状態で約9万円で購入できる。

プロスペックス ダイバーズ 200M、タートル、Ref. SBDC109、通称「キャプテン・ウィラード」
1979年、フランシス・フォード・コッポラ監督のベトナム戦争映画『地獄の黙示録』が公開された。主演はウォルター・E・カーツ大佐役のマーロン・ブランドと語り手のウィラード大尉役のマーティン・シーンだこの傑作映画の中でシーンはセイコー ダイバーズウォッチ Ref. 6105を着用しており、これは後にセイコー「キャプテン・ウィラード」として時計史に残った。ヴィンテージの個体は希少で高価なため、セイコーはこの時計の再解釈版をいくつかリリースすることになった。オリジナルに非常に近いバリエーションの一つは、プロスペックス タートル Ref. SBCD109だ。オリジナルと同様に、非対称のいわゆるタートルケースを備えており、その形状は亀の甲羅(タートルシェル)を思わせる。防水性能は200m(20気圧)で、オリジナルよりも5気圧高い。ケースサイズは42.7mmとオリジナルより1mm強小さくなったが、着け心地は向上している。マリンマスター 300と同様に、キャプテン・ウィラードのケースにも超硬質コーティングが施されているため、極めて傷がつきにくい。文字盤のデザインはオリジナルの雰囲気を踏襲している。アプライドの四角い夜光インデックスが黒い文字盤上を支配し、3時位置にはインデックスに代わって日付表示がある。キャプテン・ウィラードの内部には、手巻き機構とストップセコンドを備えた定評あるセイコー キャリバー 6R35が搭載されている。毎時振幅数は2万1600回とゆるやかであるため、70時間のパワーリザーブを実現している。このモデルにはステンレスブレスレットとラバーストラップが付属する。真のファンならばもちろんラバーストラップを使うだろう。価格は新品同様の個体で約20万円。もう少し特別感のあるものが好みなら、Ref. SBDX031の「キャプテン・ウィラード」がおすすめだ。このモデルのケースサイズは45mmで、キャリバー 8L35 が搭載されている。2500本限定で、価格は未使用で約60万円だ。

セイコー プロスペックス SBDC101はセイコー初のダイバーズウォッチのオマージュ
セイコーは1965年にファーストダイバー、62MASを発表した。このモデルの特徴は自動巻きキャリバー、夜光バーインデックス、そしてもちろんダイビングベゼルだった。この当時の大多数のダイバーズウォッチがそうであったように、62MASも時計愛好家の間で熱狂的な人気を博した。セイコーは、希少で高価なオリジナルモデルに代わる現代的なモデルとして、2020年にプロスペックス SBDC101を発表し、セイコーの最新技術を搭載した。ケースサイズは40mmで、多くの人の手首にぴったりとフィットする。また、プロスペックス SBDC101には、3列リンクのステンレスブレスレットが標準装備されている。ラバーストラップが好きな人も満足できるように、ラバー製の黒いストラップも付属している。200m(20気圧)の防水ケースと同様に、ブレスレットにも傷を防ぐ硬質コーティングが施されている。文字盤デザインは62MASをほぼ踏襲し、グレーがかったカラーも引き継いでいる。この組み合わせでは本物のヴィンテージ感を醸し出しながらも、同時に現代の時計であることも分かる外観になっている。「キャプテン・ウィラード」SBDC109と同様に、駆動装置にはキャリバー6R35が採用されている。セイコー プロスペックス SBDC101は新品同様のものが17万円前後から購入できる。

セイコー プロスペックス 1965 メカニカルダイバーズ 現代デザイン Save the Ocean Limited Edition、Ref. SBDX053、アストロラーべ
セイコーのおすすめダイバーズウォッチとして最後に紹介するモデルも、1965年の62MASのオマージュだ。セイコーは2023年にプロスペックス SBDX053を発表した。1300本限定のこの時計は、歴史探求と水中文化遺産の保護を目的とする水中考古学研究者たちとの協力で作られたものだ。SBDX053のスタイルの特徴は、古代より航海に使用されてきた天体観測器「アストロラーベ」をデザインモチーフとしたブルーの文字盤とブルーのベゼルだ。超硬質コーティングを施した41.3mm径のステンレス製ケースを備え、裏蓋はねじ込み式(スクリューバック)。200m(20気圧)防水で、1965年のオリジナルよりも50m(5気圧)防水性能が高い。マリンマスター 300やSBDX031「キャプテン・ウィラード」と同様に、セイコー キャリバー 8L35が正確な時間を表示する。この時計には、文字盤とベゼルの色に合わせたラバーストラップが付いている。Chrono24では、セイコー プロスペックス SBDX053の未使用品が約40万円で購入できる。
