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セイコー プロスペックス:絶大な人気を誇る冒険家のための時計

Jorg Weppelink 著
2024年3月5日
6 分
Seiko-Golden-Tuna-2-1

人気のセイコー プロスペックス

高級ダイバーズウォッチの世界には、多くの素晴らしいブランドがある。しかし、手が届きやすい価格の優れたダイバーズウォッチとなると、セイコーが頂点に立つだろう。セイコーが展開するブランド、プロスペックスは時計ファンたちから絶大な支持を得ている。今回は、プロスペックスの歴史を紐解き、その人気の秘密を探ってみよう。

セイコー プロスペックスの歴史

「プロスペックス」という名前は、「Professional specification(プロフェッショナル仕様)」という言葉に由来する。セイコーが展開するブランドの1つであり、その歴史はプロスペックスが初めて発売される数年前の1965年にさかのぼる。セイコーが日本初のダイバーズウォッチであり、伝説的存在とも言える62MASをリリースした年であり、セイコーのダイバーズウォッチの長く、豊かな伝統の始まりだった。

Seiko 6217-8001 "62MAS Big Crown" with a patina dial
文字盤に経年変化が見られるセイコー 6217-8001 “62MAS ビッグクラウン”

セイコー初の本格的なプロフェッショナル ダイバーズウォッチであり、プロスペックスを代表する初のモデルはその2年後に発表された。セイコー 6215-7000は、300m防水(30気圧)のワンピース構造のケース、4時位置のねじ込み式リューズ、ブラックの両方向回転式ベゼル、大きなアワーマーカーとゴールドカラーがアクセントに使用されたブラックの文字盤が特徴だ。この時計が、セイコーの本格機能を備えたダイバーズウォッチのスタートとなった。

「初めて」を誇るモデルたち

セイコー 6215-7000はプロスペックスの他モデルの先駆けとなり、ケースと文字盤デザインはその後何十年もの間、セイコーのダイバーズウォッチの青写真となった。セイコーは、長きにわたり機能美を追求したデザインのプロ仕様の時計作りに特化してきた結果、ブランド初となる製品を数多く生み出している。6215の発表から1年後、国産時計では初となるより精度の高いハイビートムーブメントを搭載したダイバーズウォッチ6159-7000をリリースした。

1975年には、セイコーは世界初のチタン製ケースを持つプロフェッショナル ダイバーズウォッチ、別名ツナ缶を発表。丸いチタン製の外胴プロテクターが時計を保護し、ポリウレタン製バンドが付属するという革新的なデザインだった。耐衝撃性、耐食性を持ち、最大600mの防水性(60気圧)を誇る。セイコーは3年後に初となるクオーツ式のツナ缶を発表し、その精度はさらに向上した。このようにセイコーは技術革新に取り組み、そのダイバーズウォッチの歴史を築いていった。

セイコー ゴールデン ツナ

そして、セイコーのこれまでのダイバーズウォッチの歴史こそが、今日のプロスペックスのインスピレーションであり、数多くの定番モデルの復刻版や現代版、そして素晴らしい新モデルが発表された。これらはすべてセイコーのダイバーズウォッチの原則に基づいて作られ、プロスペックスというブランドを形作っている。”

セイコー プロスペックスについて

セイコー プロスペックスは、公式には約10年前にプロフェッショナル ダイバーズウォッチのブランドとして発表された。プロスペックスの時計は、文字盤にある「X」のロゴが目印だが、このロゴは好き嫌いが分かれるためファンの間で常に議論されている。セイコーはその後プロスペックスに、タイプの違うスポーツウォッチを加え、現在では陸・海・空の各分野の冒険家たちのための本格スポーツウォッチシリーズを展開している。セイコー初のスポーツウォッチであるローレルアルピニストをルーツに持つ時計「アルピニスト」もプロスペックスの一部である。また、過去のクロノグラフをインスピレーションに「スピードマスター」の名を復活させた。

プロスペックスの大半のモデルはダイバーズウォッチである。知っている人もいると思うが、セイコーではモデル名にリファレンスナンバーが使用される。そのため、ファンたちは人気の時計にスモウ、ツナ缶、タートル、ウィラード、モンスター、サムライなどのニックネームを付け、彼らの間ではリファレンスナンバーよりも簡単なこれらのニックネームがよく使用される。

セイコー プロスペックスの人気モデル

セイコー プロスペックスの中でも際立っているモデルはどれだろうか。最初に紹介するのは、絶大な人気を誇るセイコー プロスペックス SBDC101だ。すべての始まりとなった1965年発表のダイバーズウォッチの現代版は、大ヒットとなった。もうひとつの人気モデルはスモウで知られるセイコー プロスペックス SBDC081。このモデルは、過去のモデルのリメイク版ではなく、現代のセイコーのダイバーズウォッチであることから、非常に愛されている。しかし、1960年代後半のセイコーのダイバーズウォッチをルーツに持つデザインで、セイコーらしい時計である。

Seiko SPB103 diving watch. Green ceramic bezel with green sunburst dial and white indicators. Crown is located at 4 o´clock.
コードネーム スモウ:セイコープロスペックス SBDC081

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映画の魔法の話へと移ろう。マーティン・シーンがフランシス・フォード・コッポラの『地獄の黙示録』で、セイコーの時計を着用していたのをご存じだっただろうか。そのクラシックなセイコーは、シーンが作中で演じたキャラクター、キャプテン・ウィラードからニックネームを得た。数年前、セイコーはこの時計の現代版であるSBDC109をラインアップに追加した。最も有名なものはグリーンダイヤルのものでSBDC111である。筆者が最後に選ぶプロスペックスはセイコー マリーンマスター 300Mだ。セイコーは最近になって、1965年の62MASをベースにしたマリーンマスターの新しいシリーズを発表した。しかしセイコーファンたちがマリーンマスターについて語る時、通常セイコーの最上位機種であるSBDX023を意味する。セイコー初のプロフェッショナル ダイバーズウォッチのデザインを持つモデルで、マリーンマスター 300Mは究極のセイコー プロスペックスなのだ。

The Seiko Prospex SPB151 is a watch with a built-in compass.
セイコー プロスペックス SBDC109

セイコー プロスペックスの時計が特別な理由

全体的に見て、セイコー プロスペックスが特別な理由はたくさんある。その主たるものは、セイコーが持つダイバーズウォッチの豊かな歴史と、それをルーツとしたプロスペックスのスタイルだろう。また、セイコーはそのデザインを巧みにアップデートして、常に現代的な素晴らしい時計を作っている。そしてもう一つの優れた要素は、信頼のおけるムーブメントを搭載した優れたダイバーズウォッチであるという点だ。今日の高級時計業界では、ダイバーズウォッチの多くはテストされていない。しかしプロスペックスのどのダイバーズウォッチなら、そんな心配は不要だ。

そして、プロスペックスはスポーツウォッチではあるが、手首のサイズや予算などに関わらず、どんな人にも合うブランドへと成長した。10万円以下で購入可能なものから、50万円を超えるものまで、さまざまな価格のモデルがそろっている。プロスペックスは、セイコーが持つダイバーズウォッチの伝統に魅せられ、その時計を着けたいと思う幅広い層の時計ファンから支持されている。現代の時計業界における現在の時計製造業界における最高のサクセスストーリーのひとつと言えるだろう。

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こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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