セイコー マリーンマスター 300 SBDX001はセイコーファンとダイバーズウォッチファンの両方で高い人気を得ている。この2000年に発表された時計は、1960年代に作られたカルト的人気を誇るダイバーズウォッチの系譜にある。特に似ているのがRef.6215-7000とRef.6159-7000。セイコーは針とインデックスの形、がっしりとした44mm径のモノブロック構造のケース、および4時位置に配置されたリューズをほとんどそのまま採用している。独特なレトロデザインはロレックス サブマリーナなどの代わり映えしないダイバーズウォッチとは一線を画しており、言うまでもなくコストパフォーマンスは断然高い。
セイコー プロスペックス マリーンマスター 300 SBDX001の詳細
セイコーSBDX001はプロスペックスコレクションの一部で、当時における最新の技術が注ぎ込まれている。グランドセイコーキャリバー9S55をベースとしたキャリバー8L35は正確で信頼できるムーブメントで、50時間のパワーリザーブと日付表示を備えている。また、ねじ込み式のリューズとケースのモノブロック構造のおかげで、この時計は30気圧(300m)の水圧に耐えることができる。モノブロックとは、ケースバックとミドルケースが一体成形された一塊構造のケースのことだ。この構造の利点は、ヘリウム分子が時計内に侵入することが非常に難しくなるため、ヘリウムエスケープバルブなしでも飽和潜水に使用できることである。その代わり、ムーブメントには前面からしかアクセスできなくなる。つまり、時計の点検・修理を行うには、まずベゼル、風防、針、文字盤を外さなければいけない。
セイコー プロスペックス マリーンマスター 300のデザイン
セイコー プロスペックス マリーンマスター 300 SBDX001は正真正銘のツールウォッチだ。この時計の直径は44mmで厚みは15mm以上あるため、シャツの袖の下に収めることは難しい。その代わりに頑丈で、ある種の安心感を与えてくれる。
ブラックの文字盤は暗い場所でも高い視認性を保てるように最適化されている。アワーマーカーはアプライドされており、セイコー独自の夜光塗料であるルミブライトが塗布されている。時刻を見分けやすくするために、6時位置と9時位置にはバーインデックス、12時位置にはダブルバーインデックス、その他の位置にはドットインデックスが使用されており、3時位置にはインデックスの代わりに日付表示が配置されている。時刻表示に使用されているのは太いバー針で、この針と秒針の先端にも夜光塗料が塗られている。
ダイバーズウォッチによくあるように、ベゼルは時計回りにしか回転せず、60分目盛りを備えており、ゼロ位置にはルミナスポイントが配されている。セイコーはベゼルインサートの素材にアルミを使用しており、そこに透明なラッカー層を重ねている。この方法によってベゼルはセラミック製のような印象を与えるが、傷は断然目立ちやすい。風防にはセイコー独自のミネラルガラス「ハードレックス」が使用されている。これはサファイアクリスタルよりも少々傷が付きやすいが、その代わり割れにくい。
セイコーはこの時計にラバーストラップと3連リンクのステンレスブレスを用意しており、後者はバンドの長さを工具なしで簡単に調整できるダイバーズエクステンション付きのセーフティフォールディングクラスプを備えている。
SBDX001 大人気のコレクターズアイテム
当初、セイコー マリーンマスター 300 SBDX001は日本限定モデルとして、つまり日本と東南アジアでのみ発売された。ドイツとフランスの市場に登場したのは2012年になってからのことであった。そのため、日本に比べて、欧州、北米、南米、中東の市場で新品および状態の良い個体をお目にかかることははるかに少ない。
未着用のセイコーSBDX001の価格は、2021年春から2022年にかけて28万円から34万円と比較的安定して推移している。中古品の価格も約31万円とほとんど変わらない。今後、この時計の価格がどのように推移していくのかを目にするのは非常に興味深い。セイコーはこのリファレンスの生産を2015年に終了したが、需要は依然として高い。いずれにせよ、2022年5月は軽く上昇トレンドを見せていた。
セイコーSBDX001に代わる選択肢
SBDX001はセイコーの大ヒット商品であった。そのため、この日本の大手時計メーカーがSBDX001のいくつかのバリエーションを市場に送り出したことは驚くことではない。コレクターに特に人気の高いリファレンスはSBDX003とSBEX007の2本だ。
SBDX003はSBDX001と同時に発売され、技術的にはまったく同じだ。しかし、SBDX003はゴールドの針とインデックスを備えており、それによって1960年代に発表されたオリジナルモデルをより思い出させる。また、セイコーはSBDX003をたったの500本限定で発売したため、この時計は極めて希少になっている。これは価格にも反映されており、Chrono24では状態に応じて48万円から68万円の間で見つけることができる。
SBEX007は一見したところSBDX003と見分けが付かないほど似ている。最も顕著な違いは、SBEX007ではベゼル上の数字もゴールドで仕上げられている点だ。時計の内部で時を刻んでいるのはハイビートキャリバー8L55。振動数は毎時3万6000振動で、非常に高い精度を保証している。高い振動数にも関わらず、このキャリバーのパワーリザーブは55時間と素晴らしい仕様だ。セイコーはSBEX007を2018年に1500本限定で発表した。Chrono24では新品の個体が約59万円で販売されている。
セイコー マリーンマスター SBDX001よりもシンプルな外観がお好みであれば、後継機のRef.SBDX017がお気に召すかもしれない、この時計は前モデルと外観においても技術面においてもほとんど変わらない。唯一の違いはケースに施された「ダイヤシールド」と呼ばれる保護コーティングと、リューズに刻まれているプロスペックスの「X」マークだ。このリファレンスの価格は新品で約31万円、中古で約26万円となっている。
最新のセイコー マリーンマスター 300
セイコー マリーンマスター 300の最新モデルはセイコーSBDX023(海外ではSLA021)だ。寸法とムーブメントに変更は加えられていないが、ベゼルのセラミックインサートと風防のサファイア、ゴールドの秒針が新しく採用されている。また、セイコーは文字盤の「MARINEMASTER」の文字をプロスペックスのロゴに置き換えたことで、多くのファンを悲しませた。SBDX023の未着用品を手に入れたいのであれば約37万円ほど用意しておく必要がある。状態の良い中古品であれば約26万円から購入することが可能だ。
セイコーはSBDX025とSBDX043によって、マリーンマスター 300の少々カラフルなバリエーションもコレクションに加えている。SBDX025はブルー、SLA047はグリーンの文字盤を持っており、仕様と状態に応じて30万円から38万円の間の価格が付けられている。