2022年05月03日
 8 分

チューダー:その投資対象としての価値は?

Jorg Weppelink
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チューダー(Tudor)は今年のWatches & Wondersで、ホットな新作をいくつかリリースした。非常にアイコニックで広く愛される、2つのロレックス(Rolex)モデルのスピリットをまとった、2つの新しいタイムピースを発表したのだ。1本目は、1970年代からの伝説的なロレックス エクスプローラー II Ref.1655を彷彿とさせる新しいチューダー ブラックベイ プロ。初代ロレックス エクスプローラー IIは、ロレックスファンの間で絶大な人気を誇る時計だ。チューダー ブラックベイ プロをもって、チューダーはこのクラシック時計の独自の解釈を発表し、時計業界から大いに賞賛された。

新生チューダー ブラックベイ プロ

過去のロレックス時計を思い起こさせる2本目の新作は、ブラック&ブラウンのベゼルを備えたスチール&ゴールド製チューダー ブラックベイ GMTである。このモデルは、初代モデルが1970年に発表されて以来、何十年にもわたって異なるバージョンを生み出してきた、有名なロレックス GMTマスター「ルートビア」モデルのデザインを蘇らせたものである。チューダーは新しいチューダー ブラックベイ GMTのデザインを、1970年代の初期モデルのデザインにより忠実に作っている。ブラックベイ プロとブラックベイ GMTの両方において、チューダーは素晴らしい過去のロレックススタイルを手頃な価格で楽しめるチャンスを提供してくれている。

ロレックスかチューダーか?チューダーの新しいブラック&ブラウンのGMT時計

チューダー時計への投資:チューダーはロレックスと同じ道を辿るのか?

誰もが知っているように、ロレックス時計の価格上昇には当分終わりがないように見える。それでは、チューダーはどうなのか?その人気の上昇はこのロレックスの姉妹ブランドの時計の価格にも上昇をもたらしたのだろうか?回答はイエスでありノーでもある。この話にはさまざまな側面があるが、その理由について説明しよう。

アンティークのチューダーモデルと、2009年のブランド復活と共に始まり、特に2012年のチューダー ブラックベイ ヘリテージラインの発表以降の現行のモデルの間には、明らかに大きな違いがある。アンティークのチューダーから始めよう。一部の人はご存知のように、チューダーは現在そうであるような、常に人気のあるブランドというわけではなかった。それはもともと、ロレックスのより手頃な価格の代替ブランドとして生まれたのだ。ロレックスと同じデザイン、品質、そしケース、ブレスレット、リューズ、ベゼルなど一部の同じパーツを使用し、既存のムーブメントと組み合わせたものなのだ。1946年に発表された最初の時計に続いて、チューダーは何十年もの間に多様なモデルをリリースしており、それらが今日では現行コレクションのインスピレーションとなっているのである。

投資対象として価値のある、アイコニックなアンティークのチューダーモデル

1. アンティーク チューダー サブマリーナ

その歴史を通じて、チューダーはファンのお気に入りとなった2つの重要な時計を発表している。1つ目は1950年代にリリースされたチューダー サブマリーナ。明らかにロレックスのサブマリーナから影響を受けたものではあるが、チューダー サブマリーナにはそれでもなお、スノーフレーク針のような、ロレックスのルックスとは区別を付けようとする、より独自のブランドへの段階的な発展が見られる要素がある。チューダー サブマリーナの中でも最も代表的なものは、おそらく、フランス海軍に支給され、そのブルーの文字盤とベゼルが特徴の、いわゆるミルサブと呼ばれるモデルだろう。

1970年代のアンティークのチューダー サブマリーナ

2. 伝説のチューダー クロノグラフ

2つ目のアイコニックなアンティークシリーズは、チューダー クロノグラフである。それは1970年のチューダー ホームベースから始まり、その後すぐにチューダー モンテカルロとして改良・再発表された。その大胆で豪華な文字盤デザインで知られるモンテカルロは、ロレックスとはまさに正反対で、アンティークチューダーのファンの間で多大な人気を得た。加えて、同ブランドは実質的にロレックス デイトナにそっくりだが異なるムーブメント、結果として異なる文字盤のレイアウトを持つビッグ・ブロック クロノグラフをもリリースした。

アンティークのチューダー時計の価格

これらのシリーズにはかなり多くの興味深いモデルがあるため、チューダー サブマリーナ、モンテカルロ、ビッグ・ブロックの歴史をより詳しく調べてみることを強くおすすめしたい。その歴史を調べてみると、ここ10年間にチューダーというブランドの人気が上昇してくるにつれ、アンティークのチューダーモデルの価格もまた相当に良上昇したことがわかるはずだ。約77万円から154万円ほどの間の価格、時にはレアなモデルや新品同様のものにはずっと高い価格がついているだろう。これにより、これらのアンティークウォッチの価格はこのまま上昇し続けるのだろうかという疑問が湧く。人気のアンティークタイムピースの全体的な評価を考慮すると、きっと徐々にそうなるはずだ。非常に興味深いことに、多くのリファレンスの価格が安定しているのを見かける。しかしチューダーがこれからも素晴らしい新作をリリースし続け、多くの人の間での人気が保たれれば、おそらくこれらのアンティーク時計の価格は徐々に上昇していくだろう。

投資対象としての価値がある現代のチューダーモデル

アンティークから現代のチューダーモデルへと話題を移すのは大きな変化ではない。チューダーの現行コレクションの多くは、過去のデザインからインスピレーションを得たものである。しかし現代の時計にもまた、価値が上がる時計になるかどうかを左右するさまざまな要因がある。ハイプ、入手可能性、全体的な人気などの全てが、現在生産されている時計の価格決定にからんでくる。最近のチューダーモデルのうち最も高い人気を誇るブラックベイ、ブラックベイ 58、ブラックベイ GMT、チューダー ペラゴスなどを見てみると、即座に際立つのは、これらすべてのレギュラーモデルが定価を上回らない良心的な価格で手に入れられる、ということである。

チューダー ブラックベイ 58:チューダの代表的なモデルの一つ

実際に入手が可能なチューダー

チューダーの時計に投資をする主な理由は、入手可能性だ。もし新品のチューダーを手に入れたかったら、実際にそれは可能なのだ。より人気の高いモデルは入荷待ちリストがあるためにやや時間はかかるかもしれないが、正規販売店で購入できないという心配をする必要はない。しかし、新作リリース直後にチューダーを購入することは避けた方がいい。というのは新作リリースにまつわる熱狂は短期的に高価格になることを意味しているからであり、熱狂が一旦収まれば、ずっと簡単に入手できるようになる。これは最近のリリースから見て取れる。最近リリースされたチューダー ペラゴス FXDはいまだにその定価以上の価格で販売されている。しかしより多くの人がペラゴス FXDを入手すれば、価格は最終的に下がるのがわかるはずである。高騰した価格は、純粋に、他の人はまだ待たなければならないが自分は早く手に入れられるというスリルによるものなのだ。その熱狂が一旦収まれば、価格も下がり、チューダーのタイムピースは通常価格で購入できるようになる。同じパターンが、ブラックベイ プロを含むすべての最近のチューダーの新作について見られる。リリース直後の製品は特にばかげた価格で提供されているが、そのモデルがより広く入手できるようになって事態が落ち着くと、価格は下がるのである。

チューダーの時計への投資

過去10年にわたって、チューダーはスマートな商品開発と明確なマーケティング戦略に基づき、力強いブランドを築き上げてきた。同社はついに、長くはびこっていた貧乏人のロレックスというイメージから脱却し、独自のキャラクターを持つロレックスの姉妹ブランドとしてのイメージを確立した。本質的に、このブランドはロレックスとの否定的な関係を自身にとってのアドバンテージに見事に変えてみせたといっていい。それに関してはチューダーを賞賛する以外にない。チューダーは結果として、時計愛好家たちの間で世界的な高い評価を得たのである。しかしこれは、チューダーがロレックスと同じステータスを持つという意味ではない。”王冠” はいまだに、タイムピースを作るだけでなく、それに伴う投資機会をも提供するユニークなブランドなのだ。アンティークのチューダー時計もまた投資機会を生み出すことがあるかもしれないが(その長期の価格安定を考慮に入れても)、同社のモダンなタイムピースはまだそのステータスを得るには至っていない。しかしそれでも、私たちはこれを喜ぶべきである。チューダーの時計は金庫の中で眠るためではなく、誰かの手首に着けられるために生まれてきたのだから。それこそが人々が同社の時計を購入すべき理由であり、それぞれの人にふさわしいチューダーを見つけて何年も愛用してほしいと私が願う理由なのだ。


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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