2023年04月13日
 5 分

チューダー ブラックベイ 58 VS チューダー ブラックベイ 54

Pascal Gehrlein
Tudor-Black-Bay-58-vs-Tudor-Black-Bay-54-2-1

チューダー ブラックベイ 58 VS チューダー ブラックベイ 54

最近、チューダーというブランドは極めて危険な存在だと思っている。というのも、理性を総動員して我慢しているのに、どうしても欲しくなる時計を次々と登場させるからだ。

さらば、ブラックベイ 58!ブラックベイ54はブラックベイ史上最高のモデルなのか?

ここ数年、同ブランドは文字通りお金を吸い取るかのような驚異的なスピードでクリエイティビティを発揮しており、今年も新しいモデルを発表した。例えばサプライズだったチューダー ブラックベイ 54。これは1954年のリファレンス7922を見本にしている。

Tudor BB, BB 58, BB 54
左からチューダーブラックベイ、ブラックベイ 58、ブラックベイ 54 (画像:チューダー)

チューダーは時計愛好家の声に応えて小径化の路線を続けているだけでなく、このモデルでアンティーク志向も強く押し出している。ブラックベイ58でそれまでの41mmから39mmとなった直径が、ブラックベイ54では37mmと、さらにコンパクトでユニセックスなダイバーズウォッチの登場となった。しかし、サプライズ・リリースだったこのモデルは、人気のブラックベイ 58と何が違うのだろうか。58に取って替われる魅力を持つのだろうか。サイズ以外の違いについて見ていきたい。

ブラックベイ 58 VS ブラックベイ 54:ルック&フィール

ラグ幅の違いはほんのわずかだが、47mmから46mmと若干狭くなっている。注目すべきは、ケースが薄くなった点だ。おかげで手首のフィット感はもはや41mm径のブラックベイとは比べものにならず、58と比較しても54の着け心地は優れている。数字で言うと、14.5mmが13.5mmになった。全体的に見ると54のケースはクッション形状で、58はより丸みがある印象だ。

ブラックベイ54のリューズはかなり小さく、よりケース近くに位置しているのに気づくだろう。着け心地にはプラスポイントになるが、見た目の通り、時刻を合わせるには掴みづらくてやや煩わしさがある。

Tudor Black Bay 54
チューダー ブラックベイ 54(写真提供:チューダー)

また、ステンレスブレスレットのカラーニュアンスを思い切って濃いスチールから明るいスチールに変えているところも注目だ。ベゼルも金色のインデックスがなくなり、マットブラックになったことで、よりクールでミニマルな印象になった。12時位置の夜光ドットのトライアングルが赤ではなくシルバーになったのもよくマッチしている。このように、54は1954年に発表された初代リファレンスに非常に近いものとなっている。

Tudor Black Bay 54 Bezel
ハッシュマークがないチューダー ブラックベイ 54(写真提供:チューダー)

0分から15分の間の分目盛り、いわゆるハッシュマークがないことで、一部のマニアの不評を買うかもしれない。言っておきたいが、筆者はマイナスポイントになりそうなことも、このようにきちんと見ているつもりだ。

ハッシュマークはブラックベイとブラックベイ58のベゼルには必ずついている

個人的に不満なのはブレスレットだ。もちろん、チューダーでは「T-Fit」と呼ばれているクイックアジャストクラスプが採用されているが、筆者の好みからすると、ブレスレットのリベットは見えない方がよかったと思う。そうすれば、54はさらに素晴らしいものになったはずなのに、残念だ。だがこれも好みの問題だろう。ブレスレットがアップデートされたことで、クラスプも新しくなっている。若干長く、細くなり、手首サイズが17cmの筆者には快適で、もはやロレックスのレベルにも届きそうなのだから、チューダーにはやはり脱帽だ。

チューダー ブラックベイ 54は魅力的で入手もしやすい!

また、秒針をスノーフレークからロリポップへと変更したことも大成功だと思う。すべての針が若干細くなり、この時計の全体のプロポーションにとてもよく合っている。その針を動かしているキャリバーはMT5402ではなくMT5400だ。COSC認定と70時間のパワーリザーブに変更はない。

相違点ではないが、チューダーのビジネス展開の賢さは、この時計がブティックですぐに購入できることからもうかがえる。チューダーはWatches and Wondersでポップアップストアを開設し、購入できるようにしていたほどなのだ。他メーカーの長い待ち時間や入手の難しさに嫌気がさしている顧客にアプローチし、商機を掴んでいるに違いない。それを可能にしている理由のひとつが、チューダーが大々的に宣伝していた新しいマニュファクチュール(製造施設)であることは間違いない。同社は在庫がよく管理できているようだ。

インヂュニアの新作の在庫状況が多くの批判を受けたIWCとはまったく対照的だ。

まとめ

要するに、ブラックベイ 54はよく練られた新作であり、現代のアンティークダイバーズを求める時計ファンの飢えを満たすばかりか、さらに拍車をかけることになる素晴らしい時計だ。チューダーはある種シンプルにロレックス・スタイルに必要な改良を施すことで、このモデルを作りあげたのだ。個人的には、ラバーストラップの54を手に入れようと思っている。すでに持っているブラックベイ 58を手放すつもりはなく、両方持っていたいのだ。

チューダー ブラックベイ 58は手元におきつつ、ブラックベイ54をコレクションに加えるつもりだ。

チューダーの2023年のリリースの詳細については、こちらを参照願いたい。


この記事はいかがでしたか?


記者紹介

Pascal Gehrlein

こんにちは、パスカルです。初めての「高級時計」を探してChrono24のサイトを何時間も見ていた際に、Chrono24の本社が自分の家のすぐ近くにあることを発見しました。…

記者紹介

最新記事

Tudor-2-1
2024年11月22日
その他の時計ブランド
 4 分
Chrono24で最も売れている小さめサイズのチューダー トップ5
Thomas Hendricks
Tudor-2-1
2024年11月20日
その他の時計ブランド
 8 分
チューダー、時代を超えて受け継がれる時計作りとその魅力
Aaron Voyles
Tudor-1-1
2024年11月19日
その他の時計ブランド
 6 分
Chrono24ライターが選ぶ人気のチューダーおすすめモデル トップ5
Donato Emilio Andrioli

特集

スイス時計ブランド トップ10
トップ10時計
 12 分
人気のスイス時計ブランド10選
Sebastian Swart
Audemars-Piguet-2-1
ブランド
 6 分
オーデマ ピゲのおすすめモデル5選
Aaron Voyles
Cartier-Brand-Evolution-2-1
その他の時計ブランド
 5 分
カルティエ、時代とともに進化するモデルとデザイン
Thomas Hendricks
スイス時計ブランド トップ10
トップ10時計
 12 分
人気のスイス時計ブランド10選
Sebastian Swart
Audemars-Piguet-2-1
ブランド
 6 分
オーデマ ピゲのおすすめモデル5選
Aaron Voyles
Cartier-Brand-Evolution-2-1
その他の時計ブランド
 5 分
カルティエ、時代とともに進化するモデルとデザイン
Thomas Hendricks