2018年08月21日
 6 分

チュードルはロレックスより優れているか?

Tom Mulraney
チュードルはロレックスより優れているか?

顔を手で覆いながら画面に向かって「違う」と繰り返し叫ぶ前に、一度深呼吸をして「ロレックスは未だにチュードルより優れているか」と自問自答してみよう。

時計マニアではない友人の間で、最近よく話題になっている事がある。最近発見したらしい、ロレックスに似ている安値の「新しい」ブランドについてみんな語りたがっている。「チュードルはロレックスより優れているのか?」と実に頻繁に聞かれる。

顔を手で覆いながら画面に向かって「違う」と繰り返し叫ぶ前に、一度深呼吸をして「ロレックスは未だチュードルより優れているか?」と自問自答してみよう。10年前なら「もちろん!」と実に明白に答えられた。だが、今日その答えにあまり自信がなくなっている。

ロレックスがたくさんの事に挑戦しているのは確かだ。卓越した品質と再販価値、グローバルブランドとして認知されていて、言うまでもなく世界の重役人の腕に着用されている。ロレックスが他のどの時計ブランドよりも優れているという記事を、近い将来に書くことになるかもしれない。それでも、弟的存在であるチュードルの方がいくつか優れている点があるので、それについて今回は記載しようと思う。

チュードルロレックスより優れていることを説得できないことは確か。実は、筆者自身そんなことは信じられていないのだ…。だが、このブランドが提供する素晴らしい価値を紹介し、新たな発見に導けることを願っている。比較的知名度が低いブランドの高品質時計を持つことは、ファッション界のしきたりでもある。では、先入観を一度脇に置き、チュードルがロレックスよりいくつか優れている理由を見てみよう。

高品質・低価格

ロレックスの時計は全て、どこで購入または販売しようともその価値が変わらないのは誰もが知っていることだ。このことは高級時計の業界に限らず、一般的に高級品の世界でも稀なことだ。たいていのブランド品は、新しい商品をブティックから購入した直後に、元値から20%から30%またはそれ以上の価値が下がる。ロレックスの場合はそうはならない。

購入する余裕がある人にとっては素晴らしいことだが、有名なステンレス製のサブマリーナやGMTマスターなど、110万円近くの値段で売られている。貴金属で製造されているものはその3倍以上の値段にもなり、そこまで出費する価値はあるのか?と自問自答してしまう。そしてこれらは、複雑機構が搭載されている時計ではない。

一方チュードルは、はるかに安価のモデルを提供しているにも関わらず、ロレックスと比較できるほどの品質を提供している。チュードル ペラゴスを例に取ると、COSCに認定されている自社オートマチック・ムーブメントを搭載しており、パワーリザーブは70時間。42mmケースはスチールとチタン製で、500m (1.640ft)耐水が可能。セラミック素材の回転ベゼルは、マットブラックとマットブルーと2色から選べる。ヘリウムガスエスケープバルブが搭載されており、おしゃれな伸長可能なブレスレットで着用できる。それでも似ているロレックス シードゥエラーの半分以下の価格で提供されている。

冒険心

現在のロレックス時計の人気ラインナップのほとんどは1950年代から1960年代にデビューしていて、正直なところ、そこまでの変化はない。ケースのサイズがわずかに増加し品質はさらに向上したが、全体的に見るとロレックスからは何か冒険的な試みなどを見たことはない。その一方、チュードルは一貫して新しいアイデアに挑している。ブランドは、自らのキャッチコピー「ボーン・トゥ・デア (思い切るため生まれてきた) 」を全うしている。

チュードル ブラックベイ ダーク

チュードル ブラックベイ ダーク 写真: Bert Buijsrogge – Chrono24で出品商品を見る

従来の掟を無視し、チュードルはダイバーズウォッチとクロノグラフを組み合わせ、驚くほど魅力的なヘリテージ・ブラックベイ・クロノを開発した。さらに人気のあるヘリテージ・ブラックベイのダイバーズウォッチを、ブラックのPVDコーティング仕上げ、または特有の43mmのブロンズ版を、スチールケースで製造し発表した。それに加えて、上で述べたペラゴスLHDと呼ばれている、ヴィンテージの概念に触発された左利き用のペラゴス ダイバーズウォッチを開発した。

ロレックスからこのような多様性を求めるならば、アフターマーケットにおいて時計をカスタムできる専門家に依頼する必要がある。それは時計の保証を無効にさせることとなり、再販価値に影響を及ぼすことになる (マイナスとなるはず) 。

温故知新

チュードル ブラックベイ

チュードル ヘリテージ ブラックベイ ブルー 写真: Bert Buijsrogge

チュードルが他のブランドより優れているかもしれないことの一つは、長く継承されている要素を新しいデザインと融合させていることだ。このブランドは自身の歴史を敬っており、ブランド創立に貢献したクラシックなモデルへの微細な敬意を払い続けてきている。現モデルの多くに見られるスノーフレークと呼ばれる特徴的な四角形の針は、1970年代にフランス海軍によって使用されていたチュードル時計から起用されている。その一方、ドーム型の文字盤とクリスタルは、最初のチュードル ダイバーズウォッチに触発されている。

ヘリテージ ブラックベイなどのモデルは、1958年のレファレンスナンバー7924に触発されたオーバーサイズのワインディングリューズが備えられており、ビッグクラウンという別名を持っている。他のモデルは、文字盤に暖かい緑青色と華麗に古くなったヴィンテージモデルを思わす、クリーム色のチューメセントコーティングが施されている。その一方、ロレックスは新しいシードゥエラーにサイクロップレンズが設置されただけで、高級時計の世界では冒涜に近いとも言える。

気取らないイメージ

チュードル ヘリテージ ブラックベイ

チュードル ヘリテージ ブラックベイ 41 写真: Bert Buijsrogge

チュードルは安価に加え多様性があり、率直にロレックスより興味深く、さらに他の要素もまだ備えている。それは着用している人を誰も傲慢な目立ちたがり屋な人間と思わせないことだ。ロレックスを着用している人は理非問わず、世評を避けられない。誰かに嘲笑されずに着用するのは難しいということだ。その一方、チュードルはそこまで知名度がないため、誰かの批判などを気にせずに気品で価値のある時計を着用できる。

ということで、チュードルはもしかするとロレックスより優れているかもしれない。


記者紹介

Tom Mulraney

1980年代~90年代にオーストラリアで育った私にとって、時計業界は身近なものではありませんでした。住んでいた町に高級時計を扱う正規販売店は1件しかなく…

記者紹介

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