この記事では1本の時計を探すのではなく、むしろコレクション全体を探します。全ての腕時計コレクションが持つべきもの、そして自分にぴったりなタイムピースをどうやったら見つけられるのか、見てみましょう。
この記事では、私のお気に入りの時計3本をご紹介します。タフなアンティークの“キャプテン・ウィラード” セイコー スポーツダイバー、カルティエのアイコニックな “ジャンボ” タンク、そして伝説的なベンラスのスカイチーフ クロノグラフ バルジューです。
50万円以下の素晴らしい時計
セイコー 6105-8110 “キャプテン・ウィラード”
時計愛好家が永遠に求めてやまないアンティークのダイバーズウォッチにはある種のロマンスが存在する。アンティークのロレックス サブマリーナ、オメガ シーマスター 300、そしておそらくちょっと変わったテイストを持つ人のために少々のブランパン、そんなモデルにのみ支配されるこのカテゴリーは、あまり潤沢でない資金を持つコレクターにとっては深すぎる沼のように感じられるだろう。ミリサブ、マリン・ナショナルなどの軍関連の歴史、あるいは防水性能のあれこれやブロードアロー針などと絡めれば、価格にいくつかゼロが加わることになる。しかし、希望を失ってはいけない。セイコー 6105-8110ならこれ以上ないタフなアンティークダイバーズウォッチであるだけでなく、実際に軍で使用され、かつ映画でスターが着用したという華々しい魅力も手に入るのだ。マーティン・シーンがこのタイムピースを『地獄の黙示録』で着用したのは有名な話である。近年、この時計の価格は確かに上がりはしたが、セイコー “キャプテン・ウィラード” がとてつもなくコスパの良い時計であることに変わりはない。
アイコニックなタイムピース
カルティエ “ジャンボ” タンク ルイ オートマティック
時計の世界では、“アイコン” という言葉は頻繁に使われる。しかしこの言葉そのものが陳腐になってしまってはいるものの、いまだに他の言葉では言い表せない時計がいくつかある。その中でも主なものが、100年以上にも及ぶ歴史の中で多数のバージョンを生み出してきたカルティエ タンクである。基本のフォルムとデザインは長い時の経過を乗り越え、芸術家、俳優、社交界の有名人、政治家たちによって同じように愛されるタイムピースを作り上げた。タンクにはこれまでに多くの異なるムーブメントが採用されてきたが、“ジャンボ” タンク ルイ オートマティックに搭載されたもの以上に感動的な例を見つけることはできないだろう。この見事なバージョンには、なんとジャガー・ルクルトによる自動巻きムーブメントが使われている。裏蓋にぽっこりと膨らんだ楽しい “バブル” のおかげでムーブメントのローターのスペースが確保できているのだ。これこそ、真にユニークなタンクである。
価格に対する素晴らしい価値
ベンラス スカイチーフ ヴィンテージブラウン ミラーダイヤル クロノグラフ バルジュー72
トロピカルミラーダイヤル、1940年代風の3つのカウンターを持つクロノグラフ、ポリッシュされていないオリジナルのままのケース、ラジウムの夜光塗料、そして伝説のバルジュー 72 手巻式クロノグラフムーブメント。信じられないかもしれないが、これはオークションで新記録を樹立しようとしている億単位の価格がついたタイムピースの詳細ではない。そうではなく、これはアンティークウォッチ収集の最後の素晴らしい井戸のひとつ、つまりはミッドセンチュリーのクロノグラフに他ならないのである。ベンラス スカイチーフはアンティークウォッチ愛好家がクラシックなタイムピースに求めうる全てであり、それがなんと約55万円もしないのだ。これにはきっとあなたも驚いたことだろう。
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