2024年07月04日 | 更新日: 2024年07月04日
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ノモス タンジェント VS ユンハンス マックス・ビル

Chrono24
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ノモス タンジェント VS ユンハンス マックス・ビル

バウハウスにインスパイアされたノモス タンジェントとユンハンス マックス・ビル。この2つをバウハウスのデザイン、そしてその関連性を交えながら紹介、比較します。

1900年代初頭、「国立バウハウス」(一般には「バウハウス」と呼ばれる)という美術学校がドイツにあった。その名前は「建築の家」を意味し、クラフツマンシップと芸術を組み合わせた総合的な取り組みを行う美術学校として、1919年に設立された。バウハウススタイルはモダンデザイン、建築、美術において強い影響力を持つものへと成長した。バウハウスは当時のナチス政権の制圧を受け、1932年にベルリンへの移転を余儀なくされ、その1年後には閉鎖へと追い込まれた。しかし、教授陣や元学生たちのおかげで、バウハウスの概念はアメリカを含めた西側へと広まったのである。

バウハウスの有名な生徒の1人であり「バウハウス最後の巨匠」と呼ばれるのが、マックス・ビルだ。スイス出身の彼は、有名な建築家、画家、彫刻家、パブリシスト、工業デザイナーとなり、そのポートフォリオの中には、1960年代半ばに彼がユンハンスのためにデザインした腕時計がある。今日、彼のデザインはマックス・ビル バイ ユンハンス コレクションとして受け継がれている。

そして、バウハウスウォッチと表現されることが多いノモスのタンジェント。ノモスによると、完全に正しいわけでも、完全に間違っているわけでもないらしい。ノモスは、バウハウスの理念に大きな影響を与えたドイツ工作連盟のメンバーだった。同連盟に名を連ねたメンバーたちは、現在では有名な建築事務所、建築家、ブランドとして知られている。

ノモス タンジェント:バウハウスにインスパイアされたデザイン

Nomos Tangente
ノモス タンジェント

ノモス タンジェントは複数のバリエーションとサイズで展開されており、そのすべてがよく似たデザインだ。33mm径から38mm径までさまざまなサイズがあり、ステンレス製でサファイアクリスタルが備わる。タンジェントにはまた、自社製の手巻き、あるいは自動巻きムーブメント(タンゴマット)、日付表示付き・なしの選択肢がそろっている。ほとんどはシースルーの裏蓋で、ムーブメントの動きを見ることが可能だ。文字盤レイアウトにはそれほど違いはなく、すべてのモデルが6時位置にスモールセコンドを備えている。ほとんどのモデルは、洗練され、すっきりとした左右対称の外観が特徴だ。

パワーリザーブインジケーター付きの時計には文字盤の左側にノモスのロゴがあり、インジケーターは12時と1時の間のすぐ下にある。日付表示窓は6時の位置にある。ストラップには主に、丈夫で快適なレザーのホーウィン社製シェルコードバンが使用されている。Chrono24での価格は約15万円〜55万円となっており、ほぼ完全に自社製造の時計を入手できることを考えれば、非常に素晴らしいコストパフォーマンスだと言える。

クラシックをアップデート:ノモス タンジェント ネオマティック

Nomos Tangente Neomatik 41 Update
ノモス タンジェント ネオマティック 41 アップデイト

タンジェントファンたちは上記で説明したクラシックモデルの他に、ネオマティック キャリバー DUW 6101を搭載した、より大きな直径(ネオマティック スポーツモデルでは42mmまで)のタンジェント ネオマティックも購入できる。このムーブメントは超薄型であるだけでなく、日付表示を文字盤の外周に配置するという、大型の時計には珍しい特徴を備えている。そのため、人目を引くだけでなく、極めて視認性が高い。タンジェント ネオマティックの価格は、モデルと状態によって、約30万円〜55万円となっている。

ユンハンス マックス・ビル:1960年代から変わらぬデザイン

Junghans Max Bill Automatic
ユンハンス マックス・ビル オートマティック

ノモス タンジェントとは異なり、マックス・ビルバイ ユンハンスには今回の記事の範囲外であるクオーツ式もある。バリエーションによって、ケース直径は34mm(手巻き)、38mm(自動巻き)、40mm(クロノスコープ)とさまざまだ。ケースはステンレススチール製で、ゴールドのようなPVD加工仕上げのものもある。すべてのモデルにはプレキシガラスの風防が備わり、コントラストの強いアクセントの効いたプリントが施された文字盤バリエーションがそろう。

ノモスが自社でムーブメントを製造するのに対し、ユンハンスはETA社製のベースムーブメントを時計に使用している。このために時計の価格は少々おさえられ、良心的である。34mmの手巻きバージョンが18万3700円、そしてミラネーゼブレスレット付きのクロノスコープが42万3500円と、このモデルの歴史と品質を考えれば悪くない価格だ。

Junghans Max Bill Chronoscope
ユンハンス マックス・ビル クロノスコープ

このように、バウハウスにインスパイアされた2つの時計があるのは明らかだが、一体どう両者を比べられるのか?結局のところ、それはただ好みの問題なのかもしれない。どちらの時計も素晴らしい価格と品質を誇り、バウハウスの母国、ドイツで作られている。これらの時計のどれかを購入しようと検討しているなら、ノモスの自社製ムーブメントか、豊かなユンハンスの歴史により多くの価値を見出すのか、ということに尽きるかもしれない。どちらを選ぶにせよ、近代史における最も影響力のあるスタイルのひとつのデザインを持つ見事な時計を手に入れることになる。


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