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ロレックスの愛称“バットマン・ハルク・カーミット”の由来とは?その秘密を解明

Elisabeth Schroeder 著
2021年11月29日 | 更新日: 2024/11/21
7 分
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ニックネームを持つ人気のロレックス

ロレックス「バットマン」、「ブルース・ウェイン」、「スプライト」。皆さんは、これらの名前を一度は耳にしたことがあり、ロレックスのある特定のモデルを指すニックネームであることはご存じだろう。しかし、どのモデルにこのようなニックネームが付けられているのだろうか。今回はニックネームを持つロレックスについて紹介したい。

  1. 「スプライト」
  2. 「バットマン」&「バットガール」
  3. 「ブルース・ウェイン」
  4. 「カーミット」
  5. 「ハルク」
  6. 「ゾンビ」

1. 「スプライト」

2022年、すでによく知られているGMTマスターの「ペプシ」と「コーク」に続き新たに加わったのが、GMTマスター II Ref. 126720VTNRであり、通称「スプライト」だ。グリーンとブラックのセラミック製ベゼルが有名な清涼飲料水を連想させることから、この名前が付けられた。40mmのオイスターケースにはキャリバー3285が搭載されている。ブレスレットはジュビリーブレスとオイスターブレスから選択可能だ。

リューズと日付表示が左側に配置されたロレックス「スプライト」
リューズと日付表示が左側に配置されたロレックス「スプライト」

「スプライト」はなぜ特別?

「スプライト」が発表された時、コミュニティが盛り上がったのは、そのカラーコンビネーションではなく、リューズと日付表示の配置だった。これはロレックスでは初めての左利き用モデルでもある。

「スプライト」の価格推移

他とは違う特徴を持つ「スプライト」は、2022年の市場価格にも反映され、全盛期には、中古モデルが約650万円~700万円で取引されていた。それから2年半が経った現在、状況は少し変わって約280万円で取引されている。

2. 「バットマン」&「バットガール」

バットマンとは?そう思っているのは架空の都市、ゴッサムシティの住民だけではなく、時計の世界に足を踏み入れたばかりの人も同じだろう。この記事で紹介する「バットマン」とは、2013年に発表されたGMTマスター II Ref. 116710BLNRのことを指す。ベゼルのブルーとブラックのセラミック製ベゼルにちなんでこう名づけられた。

2013年に発売されたGMTマスター II Ref. 116710BLNR、通称「バットマン」
2013年に発売されたGMTマスター II Ref. 116710BLNR、通称「バットマン」

「バットマン」が人気の理由

その革新的なベゼルの製造技術で時計愛好家の注目を集めたGMTマスター II 「バットマン」。ロレックスはこの時計で、セラミック製ベゼルでは初めてとなるツートンカラーを実現させたのだった。しかし、「バットマン」が注目を集めたのはそのテクノロジーのためだけではなかった。ブラックとブルーの配色は、同じく2色ベゼルを持つ先代の「ペプシ」ファンから高く評価された。

「バットマン」VS「バットガール」

「バットマン」を取り上げるなら「バットガール」も取り上げないわけにはいかない。この時計は初代の「バットマン」の後継モデルにあたるRef. 126710BLNRだ。このモデルもファンから高い人気を誇り、簡単には購入できない。

「バットマン」の後継モデル「バットガール」
「バットマン」の後継モデル「バットガール」

「バットマン」と「バットガール」の最大の違いはブレスレットにある。「バットマン」はオイスターブレスレット、「バットガール」はジュビリーブレスレットが標準装備だ。2021年以降は、現行モデルではオイスターブレスレットのバージョンもラインアップされている。

「バットマン」と「バットガール」の価格

GMTマスター II「バットマン」の価格は2022年4月まで右肩上がりだったが、この時をピークに価格は下落傾向だ。Chrono24では、中古の「バットマン」を約220万円で見つけることができる。ジュビリーブレスレットを持つ「バットガール」も2022年4月をピークに価格は約100万円近く下がり、現在は250万円前後を推移している。

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3. 「ブルース・ウェイン」

バットマンは、ゴッサムシティの裏社会のダークナイトとしての裏の顔を持つ半面、億万長者のブルース・ウェインという表の顔を持つ。2024年春まで、ロレックスのラインアップにはこれに相当するものはなかった。

2024年春に登場した「ブルース・ウェイン」
2024年春に登場した「ブルース・ウェイン」

ロレックスは数年前にブラックのGMTマスター IIの生産を終了していたため、今年新しくGMTマスター II Ref. 126710GRNR、「ブルース・ウェイン」が登場した際に、ファンは歓喜した。先代モデルとは違い、ベゼルはブラックとグレーのツートンカラー、ブレスレットには、オイスターブレスの代わりにジュビリーブレスを選択することもできる。Chrono24では、この中古の「ブルース・ウェイン」を約290万円で見つけることができる。

4. 「カーミット」

グリーンのベゼルを持つサブマリーナー Ref. 16610LVは「カーミット」の愛称で知られている。このグリーンはもともと、『マペットショー』のカエルにちなんだものではなく、ロレックスのブランドカラーにちなんだものだった。2003年、ロレックスはサブマリーナー50周年を記念してこの特別モデルを発表したのだった。

「カーミット」が人気の理由

「カーミット」は、ロレックスのダイバーズウォッチ史にとって重要なモデルとなった。人目を引くグリーンは当初、ブラックのエレガントなサブマリーナーに慣れ親しんだファンから賛否両論あったが、今日となってはその成功は否定できない。

ロレックス「カーミット」
ロレックス「カーミット」

2010年に「カーミット」が生産終了となった後も、ロレックスはグリーンにこだわり、2010年に「ハルク」、10年後に「ニューカーミット」または「カーミットMk II」とも言われる「スターバックス」Ref. 1226610LVが発表された。

「カーミット」の価格推移

2022年、中古の「カーミット」の価格は2003年の発売当初と比べると、4倍以上値上がり、約280万円~320万円だった。現在の価格はやや下落し、約215万円だ。

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5. 「ハルク」

グリーンのベゼルと文字盤を持ち「ハルク」として知られるサブマリーナーRef. 116610LV。2010年から2020年まで製造されていたモデルだ。

「カーミット」VS「ハルク」

この2つのモデルはともにグリーンのベゼルと持つという共通点があるが、「ハルク」では、大胆に文字盤もグリーンだ。「カーミット」では文字盤はブラックだ。また、共通するグリーンのベゼルのインレイは素材が異なり、「ハルク」はセラミック製、「カーミット」はアルミニウム製だ。

サブマリーナー デイト「ハルク」
サブマリーナー デイト「ハルク」

「ハルク」が人気の理由

多くのブランドが次々とグリーンを使い始めるずっと前から、ロレックスはこの色の魅力に気が付いていた。「ハルク」でもって、先代モデルの人気をさらに高めることに成功したのだ。また同時に、「カーミット」を地味だというファンからも、「ハルク」なら評価を得ることができた。

「ハルク」の価格推移

「カーミット」と同様、「ハルク」も発売以来価格上昇を続け、2022年春にピークを迎えた。現在では価格は約280万円となっているが、2011年の1月以降記録的な価格上昇を続け、約210%の上昇率となっている。

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6. 「ゾンビ」

「ゾンビ」と呼ばれるGMTマスター II Ref. 126713GRNRもまた、ファンにとって魅力たっぷりと言えるモデルだ。名前の由来となったのは、ブラックとグレーのセラクロム製ベゼルと、イエローゴールドとオイスタースチールのツートンカラーのケースという組合せだ。セラクロム製ベゼルは、見た目の美しさだけでなく、その耐久性もあり、カラーと相まって、まるでゾンビを思わせることからこう呼ばれている。

ロレックス「ゾンビ」
ロレックス「ゾンビ」

「ゾンビ」が高い人気を誇るもうひとつの理由は、その希少性にある。2023年に発売された時、製造されたのはわずかな数だった。そのため入手困難となり、二次流通市場での需要が高まった。

「ゾンビ」は今では、珍しいカラーコンビネーションやその希少性から、ファン垂涎のコレクターズアイテムとなっている。価格は、中古モデルで約300万円となっており、ニックネームを持つロレックスモデルの中で最も高額で取引されている。

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記者紹介

Elisabeth Schroeder

Elisabeth Schroeder

初めて足を運んだジュネーブ・ウォッチ・デイズ 2023は、高級時計への興味をさらに搔き立てるものでした。そして、「時計について書く」ことが、時計をより深く理解するための一番の方法だと思っています。

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