バーゼルワールド 2018 で見たトレンド時計

時計の世界では毎年新型や改新されたモデルが発表されるが、新モデルと古いモデルを比較すると、施される変化は多くの場合、ごく細部に限られていることに気付くだろう。そのため時計の世界では、電化製品や車業界とは違い、長い間このテーマをフォローしていなかった人でもすぐにまた話題に入れるのだ。

こんな時計ブランドとそのファンたちの世界では、前年に発表されたモデルに新しい文字盤のカラーを追加するだけでも大きな話題になる。時計コレクターの間ではこんな話題が熱く議論されるのだ。それだけでなくディテールについての議論は時には激化して、ネット上で喧嘩状態になることもある。今回発表された新型のモデルはそんな論争を引き起こさなければよいのだが… まずは今年のバーゼルワールドでどんな時計が出たのか見てみよう。

ブルー

ジン、チュードル、グランド セイコー、ロレックス、オメガ、パテック フィリップ、ゼニス。これらは一部に過ぎず、今年の新作において｢ブルー」に焦点を当てたブランドの数は多い。これらの注目ブランドは人気モデルにブルーのカラーを追加し、「2018年風」にデザインした。ブルーカラーの新型モデルは本当に清々しい。ブルーのベゼルと文字盤を使用したジン103はひときわ艶やかに輝く。

ブルーの波状ダイヤルが搭載されたオメガ シーマスター 300Mと、永久カレンダーを搭載したブルーダイヤルのパテック フィリップ ノーチラスも、同じく素晴らしい時計だ。グランド セイコー 9S ハイビートムーブメント開発20周年を記念して発表された、ブルーの文字盤を持つグランド セイコー限定エディションもかなり格好いい。ブルーは今、トレンドとして定着しつつある (もう既に定着しているとも言える)。今までブラック、シルバー、ホワイトの文字盤の時計ばかり着用していた人は、ブルーのカラーでクールなイメージチェンジができそうだ。

ヴィンテージにインスピレーションされて

ヴィンテージ感のある時計作りは近年トレンドになっている。オリスはダイバーズ65のサクセスストーリーを続行、チュードルはペプシにラブコールを送るべくブラックベイ GMTを発表、セイコーは1978年に初代が発表された「ツナ缶」をブラックとゴールドで送り出した。オメガは発表70周年を迎えたシーマスターへのオマージュとして、1948年モデルからインスピレーションを受けた新モデルを作った。その一つはセントラルセコンド、もう一つはスモールセコンドモデルで、これは1948年オリジナルのシーマスターが発表された時と全く同じ2種類だ。

タグ・ホイヤーはバンフォードと協力して生み出したモナコの新バージョンで、会場をあっと驚かせた。この新モデルには斬新なルックスが加えられ、素材にはソリッドカーボンが採用されている。なぜこんなに多くのブランドが、各社のヘリテージからインスピレーションを受けた新モデルを発表するのか？その答えは簡単だ。これらのモデルは長い年月を経てその人気を実証し、タイムレスなコレクターズ時計として世に知られているからだ。

くどくないコンビモデル

今年の新コンビモデルの数は期待していたほど多くはなかったが、それでも数社のブランドがコンビの流行に乗ったモデルを発表した。しかしこの1980年代、90年代風のデザインはセレブだ。あの頃テレビ放映されていたドラマ、特捜刑事マイアミ・バイスを思い出させるスタイルは現在でも通用する。チュードルは、ブラックダイヤルのブラックベイに、ゴールドとステンレスのコンビを採用したモデルで大ヒットした。オメガもシーマスター ダイバー 300Mを2種類のコンビタイプ (ステンレスとイエローゴールド、また、ステンレスとセドナ (ローズ) ゴールド)、さらに3色の素材 (チタン、タンタリウム、セドナゴールド)からなるバリエーションを発表。また、ブライトリングの新しいCEOであるジョージ・カーンもコンビモデルのトレンドに便乗する方向のようだ。これはナビタイマーの新型モデルのいくつかにおいて所々ゴールドが使われていることから分かる。

ロレックスは茶金ベゼルの「ルートビア」GMT マスターを再投入した。これまでのモデルと同様、茶色のフジツボダイヤルが使われているが、セラミックベゼルのリングは鮮やかな色合いのブラウンで際立ち、ベゼル、時計針、リュウズ、オイスターブレスレットのミドルリンクに使用されているエバーローズ (ローズ) ゴールドが甘い輝きを放つ。