2021年06月01日
 6 分

パテック フィリップ: スイスウォッチの帝王

Balazs Ferenczi
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パテック フィリップは世界で最も有名な高級時計メーカーのひとつである。このブランドはその精緻なコンプリケーション、ノーチラスやカラトラバのようなアイコニックなモデル、そしていくつかの注目に値する歴史的なタイムピースなどで知られている。しかしパテック フィリップがどのようにして現在の姿になったのか、知っているだろうか?そのストーリーは想像以上に興味深いものである。

同社の歴史は、ずっとさかのぼって1839年、ポーランド人時計師アントワーヌ・パテックと彼の同胞フランソワ・チャペックが、スイスはジュネーヴにパテック、チャペック社を設立したところから始まる。彼らは懐中時計の製造を始めるが、わずか6年後には意見の対立のため袂を分かつ。しかし、この会社は今日のパテック フィリップの前身となった。フランス人時計師アドリアン・フィリップ (鍵なし竜頭巻上げ機構の発明者) がその後パテックに加わり、彼らは1845年に新しい会社、パテック社を設立。それから6年がたち、同社は公式に社名を「パテック フィリップ社」と変更したのだった。

初期パテック フィリップのファン: ヴィクトリア女王とハンガリー王族

この創設まもない時計ブランドは、早々に成功を収める。彼らの商品がヨーロッパ中の王室に求められるようになったのだ。ヴィクトリア女王は複数のパテック フィリップのペンダントおよびピン型のタイムピースを所有していた。同社はまた、ハンガリーのコスコヴィッチ伯爵夫人のためにスイス初の腕時計を製作した。

パテック フィリップの歴史における次の重要なステップは、大恐慌時代に訪れる。1932年、パテック フィリップ時計の文字盤サプライヤーの一社であるスターン一家が同ブランドを買収したのである。そして、会社はスターン一家の元、さらに発展、繁栄していく。この期間中、同ブランドは史上最も複雑かつ最も美しいタイムピースのいくつかを時計業界に生み出した。そういったモデルラインの多くは、大ヒットとなった。2014年、ブランドの創業175周年記念を祝し、パテック フィリップは同社による最も複雑な腕時計であるグランドマスター・チャイム ref. 5175を開発した。フィリップ・スターン名誉会長、ティエリー・スターン社長、クロード・ペニー最高経営責任者の指揮のもと、もともとの買収から90年近くたった今も、同じファミリーがパテック フィリップを所有・経営している。

初代カラトラバ ref. 96は、同ブランドが大恐慌時代を生き延びる一助となった。

カラトラバ十字は1887年以来、同社のロゴとなっている。1932年に同ブランドを買収したすぐ後で、スターン兄弟は最初のカラトラバ ref. 96をリリース。この時計はイギリス人時計師のデビッド・ペニーによるデザインで、バウハウスからインスピレーションを得たものである。このモデルは同社が大恐慌時代を生き延びるためにと開発されたものであった。以来、これはパテックの最も愛されるコレクションのひとつとなり、今日まで同ブランドのフラッグシップモデルのひとつであり続けている。事実、パテックは数週間前に開催されたWatches & Wonders 2021で、カラトラバの最新リファレンスを発表した。カラトラバの成功の秘密は、そのシンプル、クリーン、そしてエレガントなデザインにある。これはしばしば、ドレスウォッチの典型と言われている。

過去、何件もの記事で私たちはノーチラスを取り上げてきた。このモデルはほとんどの人にとって、まさに究極のパテック フィリップ時計である。伝えられているところによると、1976年、パテック フィリップは有名なスイス人時計デザイナーのジェラルド・ジェンタに、ステンレス製スポーツウォッチのデザインを依頼。その目的は、ラグジュアリースポーツウォッチというカテゴリーに斬新なモデルを生み出すことだった。ジェンタはそこで、バーゼル・フェアのランチ中にナプキンに腕時計のスケッチを描き、それが最終的にノーチラスになったのだと言われている。その数年前、彼はすでにもうひとつのアイコニックなラグジュアリースポーツウォッチ、オーデマ・ピゲのロイヤルオークを誕生させている。ロイヤルオークと同じく、ノーチラスのインスピレーションは船舶に関連するところ、特に船の舷窓から来ている。この時計の “耳” は舷窓の蝶番を象徴するべく作られている。初代ノーチラスのリファレンスは3700で、今日では非常にコレクション価値の高い人気のモデルである。ノーチラスの生誕30周年を記念して、パテックはref. 5711およびref. 5712を発表。この両モデルは同ブランドで最も人気のモデルであり、特にパテックが5711を生産終了すると発表して以来、一層人気は高まっている。

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究極のパテック フィリップ時計、ノーチラス。

アクアノート: 150-200

アクアノートは1997年に発表された。信じられないような話だが、その当時ノーチラスは売れていなかったのだ。そのため、パテック フィリップは新しいモデルをリリースしたかったというわけである。明らかにノーチラスのルックスからインスピレーションを得ているものの、アクアノートはそれとはかなり異なるタイムピースである。典型的なスポーツウォッチとして (ダイバーズウォッチとさえ呼べるかもしれない)、アクアノートは3ピースケース、ねじ込み式リューズ、120mの防水性を備えている。最初のリファレンス5060Aと5060Jは、ステンレススチール製とゴールド製の1000本限定生産バージョンの一部だった。どちらも非常に高い人気を誇り、すぐさま売り切れとなった。その後、パテック フィリップは非限定版のセカンドエディションをリリース。いわゆる “ジャンボ” と呼ばれるアクアノート ref. 5065は、38mmのステンレススチール製ケースにラバーストラップを装備している。その後にリリースされたref. 5066が初代アクアノートの最終リファレンスとなった。

第2世代は、バーゼルワールド 2007の期間中にリリースされた。それはさらに大型の40mm径ケース、全く新しいキャリバー、異なる文字盤を持っていたが、ラバーストラップが付属するという点は変わらなかった。来年はアクアノート生誕から25周年であり、同ブランドが何かエキサイティングなものを発表するのではないかと期待している。それまで、この一流のスイス時計メーカーによるピースにうっとりと見惚れたい、あるいは着用したいというなら、他の多くの素晴らしいパテック フィリップモデルを楽しもう。

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Balazs Ferenczi

時計にはもうずっと前から興味を持っています。時計は男性が身に付けられる唯一のアクセサリーである、といつも思っていました。時計は身に付ける人の個性を表現します。何年もの間、私は …

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