2021年10月29日
 7 分

ヒーローの旅: ロレックス GMTマスター II “バットマン” を読み解く

Thomas Hendricks
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おそらくハロウィーンが間近に迫っているからだろうか、あるいは数多くのスーパーヒーロー映画が劇場や動画配信サービスで公開されているからだろうか。もしかしたら、人々が再び、飛行機で世界を飛び回れるようになりつつあるからだけなのかもしれない。理由が何であれ、私たちは親しみを込めてバットマンと呼ばれるロレックス GMTマスター IIのことが気になって仕方がないのだ。

そのハンサムで控えめなブラック&ブルーのベゼルのおかげで、この時計は2013年にデビューするやいなや、有名になった。兄貴分にあたるGMTマスターペプシ の人気をバットマンがしのぐことは決してないとは思われるものの、それでもこの時計は、現行ラインナップの中で最も需要の高いロレックスのひとつとして地位を固めてきた。このモデルの原点を探り、最新世代までに行われた最近のアップデートを見てみよう。そしてバットマンの市場での過去、現在、そして未来を商業的な観点から分析してみたい。

ロレックス GMTマスター II バットマン: ヒーローの誕生

ロレックス バットマン Ref.116710BLNRは2013年、時計シーンに登場した。それはこのブランド初 (そして世界初の) バイカラーのセラミック製ベゼルを持っていた。より具体的には、それはロレックスが独自開発を行ったセラミック、セラクロム製のもの。ロレックスはそれより前に単色のセラクロム製ベゼルを、2007年のブラックベゼルを備えたGMTマスター II 16710LN “ルーネット・ノワール” でデビューさせている。 

ロレックスはこのバイカラーベゼルを作るために、同社が特許を持つ、多孔質質のセラミックでできたブルーベゼルにブラックを上塗りするというプロセスを用いた。一部の人は、ブラック&ブルーというGMTライン初の配色は、既に存在していたブルー&レッド ( “ペプシ” ) あるいはブラック&レッド ( “コーク” ) よりも技術的に製造が簡単だったからではないかと憶測した。であるとすれば、ロレックスがペプシのセラクロム製ベゼルバージョンをその翌年までリリースしなかったことにも納得がいく。また、2014年のペプシの再リリースモデルが、ステンレススチール製ではなく、大幅に高い定価によって需要を抑えることのできるホワイトゴールド製であったことの説明にもなる。 

何にせよ、このような憶測はおそらく別の記事で取り上げるべきだろう。セラクロム製ベゼルを持つペプシモデルという競争相手のいなかったこのバットマンが、コレクターたちの新しいお気に入りになったということに変わりはない。オリジナルのバットマン (Ref.116710BLNR) は新世代がリリースされた2019年までロレックスのラインナップに存在し続けた。 

Rolex discontinued the original Batman in 2019.
ロレックスは2019年、オリジナルのバットマンの生産を中止した。

(ロレックスの) バットマン リターンズ

全ての素晴らしいオリジナル版は、続編を持って当然である。2019年、ロレックスは人気の116710BLNRに続くバージョンを公開した。新しいバットマン Ref.126710BLNRは、時には “バットガール” などとも呼ばれる。これには、その前年にデビューした126710BLRO ペプシと同じアップグレードが施されている。 

一つ大きな変更は、先代のキャリバー3186に大幅な改善がなされた自動巻きキャリバー3285だ。この新キャリバーは70時間のパワーリザーブを誇り (3186は50時間)、ロレックスのクロナジー エスケープメントのおかげで正確性、耐衝撃性、対磁性の面で確実に機能が向上した。ロレックスはキャリバー3285の開発に伴い、合計で10もの特許登録を行ったのだ。

こういった発展は、機能と日常使いという点を段階的に改善していく、ロレックスの有名なアプローチを強調している。バットマンのアップグレードのうち、全会一致で称賛というわけにはならなかったものが、オイスターブレスレットからジュビリーブレスレットへの変更である。一部の愛好家たちは、この変更はこのモデルのツールウォッチとしての評判を落とすものであると公然と非難した。彼らは無骨なオイスターブレスレットに親しんでおり、よりドレッシーなジュビリーはステンレススチールのロレックススポーツウォッチにはふさわしくないと主張したのだ。 

これに対する反論は、1970年代と80年代の多くの有名なGMTモデルはジュビリーブレスレットを持っていたというものであり、歴史的な前例を指摘するだけではなく、郷愁を伴うものでもある。GMTはもともと、タイムゾーンをまたいで仕事をするパイロットたち、特にパンアメリカン航空のパイロットの制服に合わせるためのドレスウォッチとして開発された。というわけで、ジュビリーに戻ることは、本質的にはこの時計のルーツに立ち返ることを意味している。 

また、同ブランドはしばらくの間、ツールウォッチからラグジュアリーウォッチへと移行していたことにも触れておくべきだろう (あのホワイトゴールドのペプシがその良い例だ)。現代の多くのロレックス愛用者たち、特にその中でも荒っぽい生活を送っていない人たちは、その快適さとカジュアルにもフォーマルにも対応できる万能さを喜んでいる。そして新ブレスレットへの変更をさらに良くするために、ロレックスはどこでも簡単に5mmの調整ができるオイスターロッククラスプを加えた。これは手首がむくんでしまいがちな夏の暑い日などに、非常に役に立つ。 

With the Jubilee bracelet, the Rolex GMT-Master II "Batman" looks more elegant than sporty.
ジュビリーブレスレットを持つ、スポーティーというよりも、エレガントな印象のロレックス GMTマスター II “バットマン”。

ロレックス バットマン: 恐ろしく高い価格の付いた高度対応の時計

その名高い歴史、非常に効果的なデザイン、そして “王冠の付いたブランド” の時計すべてに備わる間違いのない人気をもってすれば、中古品市場での価格は高く、これからも上昇していくことは想像に難くない。小売店では、バットマンは102万800円の定価が付いているが、これはもし見つけることができれば、という話である。

現在、ほとんどの購入者にとっての実行可能なオプションは、同じようなバットマンが最低価格で215万円あたりからスタートするChrono24のような場所でロレックスを購入することだ。これらの時計の市場価格は、実は、新型コロナウィルスのパンデミックがピークだった2020年夏には180万円ほどまで落ち込んだのだ。しかし今では世界中が (いくらかは) 回復しつつあり、市場は “普通” に戻った。つまり、ロレックスのスポーツウォッチの価格が際限なく上昇する世界に戻ったということである。

(比較的) 良い知らせは、バットマンが他の現在も製造されている250万円以上の “ルートビア” や、260万円以上の “ペプシ” などのモデルに比べて、市場に出回る最も手頃なGMTマスター IIのバリエーションだということだ。ルートビアの価格が高額であるのは、間違いなくそのケースとブレスレットに使われる貴重なエバーローズゴールドのためだ。ペプシに関して言えば、これこそが今まで常に存在していたモデルであり、おそらくこれからもずっと存在し続けるモデルであり、そして人々がロレックスGMTについて考える際に思い浮かべる時計なのだということを忘れないでおきたい。それは多くの人々にとってのドリームウォッチであり、残念ながら、最近の夢は安くはないのだ。

俗に言われているように、ロレックスを購入する最善のときは、昨日だ。これらのタイムピースの価格は、時計市場全体の価格と同じように、おそらくいつまでも上がり続けるだろう。供給が需要に追いつくには長い時間がかかり、バットマン GMTのような素晴らしい時計に対する需要は非常に高くなっている。万が一この時計の製造が中止されるようなことになれば、これまで伸びた需要は手が付けられないほどになるだろう。

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記者紹介

Thomas Hendricks

私はもともと時計を見て育ったわけではありません。しかし、大学を卒業してから数年後、私はオンラインポータル「Watchonista」でライター兼マーケターとして就職。同僚は私に向かって冗談半分で「誰も後戻りできない時計の世界へようこそ!」と言いました。現在はChrono24でプライベートクライアントアドバイザーとして、人生の大事な節目に完璧な時計を探す人々のお手伝いをしています。

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