2021年08月25日
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マイナー時計ブランドの市場価格上昇: Chrono24による2021年の注目ブランド

Jorg Weppelink
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F.P. Journe Elegante Ⓒ Sean Song

Chrono24は何千もの時計の市場実績を継続的に比較している。2021年第2四半期の最大のサプライズは、F.P.ジュルヌというブランドのクォーツ時計だった。この時計は何が特別で、なぜ世界中のコレクターがこの時計を所有したいと思うのだろうか?

特別な時計には、特別なストーリーがつきものである。F.P.ジュルヌは、過去30年間で最も注目を集めた業界人の一人であるフランソワ・ポール・ジュルヌと歴史を共有している。F.P.ジュルヌの作品は、業界や時計愛好家から数え切れないほどの称賛を受けている。しかし、最大の驚きは、このブランドの最も人気のあるモデルがクォーツ時計であるということだ。この記事では、2021年第2四半期にChrono24のマーケットプレイスで85%もの価格上昇が見られた時計、F.P.ジュルヌ エレガントについて詳しく見ていく。

フランソワ・ポール・ジュルヌ: F.P.ジュルヌブランドの生みの親

F.P.ジュルヌというブランドを理解するには、まず彼自身を理解する必要がある。一人の時計職人の個性が、時計そのものにこれほどまでに反映されている例は、そう多くないだろう。ジュルヌは1957年にマルセイユで生まれた。父はセールスマン、母は公務員で、時計とは無縁の生活を送っていたが、叔父が時計職人であった。ジュルヌは、パリの時計学校で時計製造を学び、卒業後すぐに叔父のもとで働き始めた。

叔父の工房は、ブレゲやジャンヴィエなどの有名な時計師の作品に親しむことができる特別な場所だった。工房では、定番時計の製造の複雑さを体験することができ、マリンクロノメーターの製作も行っていた。しかし、ジュルヌを時計職人へと導いたのは、伝説的な時計職人であるジョージ・ダニエルズ氏の指導だった。当時の経験が、後の彼の作品の基礎となったのだ。

Die Uhren von Journe spiegeln das handwerkliche Können und die Werte ihres Schöpfers wider. Hier: Die F.P. Journe Vagabondage II in der Platinversion – limitierte Auflage mit 69 Exemplaren

ジュルヌの時計には、職人の熟練した技術と価値観が反映されている。画像は、プラチナ製F.P.ジュルヌ ヴァガボンダージュ IIの69本限定モデル。

F.P.ジュルヌの時計作り

ジュルヌの時計作りは、技術的な難問を解決することに基づいていている。彼の作品は、時計に起こる困難な問題に対して、常に創造的な解決策を模索してきた。彼の技術的な解決策は、何よりもまず機能しなければならないが、それに加えて、息を呑むような完成度が必要だ。F.P.ジュルヌは長年にわたり、共振同期、コンスタントフォース、クロノメーターの精度、さらには重力といった課題に挑戦し、取り組んできた。これらのことから、F.P.ジュルヌは国際的なオート オルロジュリーのトップブランドの一つとなっており、これは、ブランドのモットーであるInvenit et Fecit (ラテン語で「発明し、製作した」を意味する) に完全に見事に表現されている。

F.P.ジュルヌ: ブランド

ジュルヌのユニークで妥協のない時計作りは、パテック フィリップオーデマ ピゲヴァシュロン・コンスタンタンA.ランゲ&ゾーネなどの馴染みのある高級ブランドに代わるものを求める熱心な時計コレクターたちを魅了してきた。F.P.ジュルヌは独立した、真のコレクターズブランドである (世界にあるブティックはわずか10店舗のみ)。アメリカには熱心なファンがおり、F.P.ジュルヌを時計コレクションのリストに載せている。

その結果、F.P.ジュルヌの知名度と関心は高まった。しかし、F.P.ジュルヌの時計は、誰もが購入できるものではない。年間800本の限定生産で、価格も約350万円から2200万円と、非常に高級なブランドなのだ。しかし、唯一の例外がある。それは、エントリーレベルのF.P.ジュルヌ エレガントのコレクションで、約130万円から始まるの価格の時計を提供している。しかし、Chrono24に掲載されている一部のエレガントシリーズのモデルは、クォーツ時計で400万円を超える価格になっている。クォーツ時計なのに、なぜなのか?

F.P. Journe Élégante: Einsteiger-Quarzuhr zum Preis einer Rolex Daytona.
F.P.ジュルヌ エレガント: ロレックス デイトナ価格の「エントリーレベル」のクォーツ時計。

F.P.ジュルヌ: タイムピース

この価格を理解するためには、一歩下がってジュルヌの時計作りを見てみる必要がある。この時計師は長年にわたり、数々の技術的ソリューションを発表し、高い評価を得てきた。F.P.ジュルヌは、ジュネーヴ時計グランプリ (Grand Prix d’Haute Horlogerie) の金の針賞 (Aiguille d’Or) を3度受賞した唯一の時計師である。また、F.P.ジュルヌは完全に統合されたマニュファクチュールであり、すべての部品がジュネーブにあるブランドの2つの施設のいずれかで内製されている。ケースや文字盤、針やムーブメントに至るまで、すべての部品が自社内で製造、組み立てられている。

前述のとおり、F.P.ジュルヌは現在、クラシック、ラインポート、エレガント、ジュエリー、ブティック、ブラックレーベルの6つのコレクションで年間800個の時計を製造している。また、特にユニークなタイムピースを集めた特別限定シリーズもある。すべてのF.P.ジュルヌはの時計は、優れた技術、特徴的な外観、そして驚くべき完成度が特徴だ。それでは、F.P.ジュルヌ エレガントを詳しく見ていこう。

F.P.ジュルヌのモットー: Invenit et Fecit ”発明し、制作した。”

F.P.ジュルヌ エレガント 48

今、時計ファンの間で最も注目を集めているのが、F.P.ジュルヌ エレガント 48である。F.P.ジュルヌのすべての作品がそうであるように、このエレガントも独創的な技術的ソリューションを念頭に置いて開発された。「クォーツ?高級時計といえば、機械式時計の素晴らしさのことではないのか?」と思われるかもしれない。しかし、ジュルヌはそうは思っていない。彼にとって時計製造の芸術とは、時計、懐中時計、腕時計など、機械式、クォーツ式を問わず、すべての計時機器の問題を解決することなのだ。エレガントの場合、ジュルヌはクォーツ時計の電池寿命が限られているという問題を解決しようとした。

クォーツ式のキャリバー1210は、交替で着用する時計コレクションの一部として使用した場合、最長18年の電池寿命がある。このソリューションは、理論的にはシンプルだが、実際は信じられないほど革新的である。この時計の文字盤には動作検知器が搭載されており、時計が使用されているかどうかを認識する。35分間時計が動いていないと、省エネの「スリープ」モードに入り、マイクロプロセッサーが時間を刻み続ける。再び時計を手に取ると、時計は使用されていることを感知し、針は自動的に最短ルート (時計回りまたは反時計回り) で現在の時刻にリセットされる。この時計が実際に動いているところを見ると、本当に素晴らしい。非常に実用的な問題に対する革新的なソリューションである。

エレガント 48は、48×40mmのポリッシュ仕上げとサテン仕上げのチタン製フラットトルテュ®ケースを採用している。また、独自のティタレット®処理を施したケースもある。どちらのケースにも、418個のブリリアントカットダイヤモンドがセットされている。直径48mmというサイズは一見重く感じられるかもしれないが、エレガントなケースシェイプとスリムなプロフィールのおかげで、この時計はかなり小さく感じられる。「隠れた」特徴として、夜光性のサファイアダイヤルがある。驚異的な軽量化を実現したこの時計は、ミリ単位で最高水準の仕上げが施されている。ラバーストラップは、様々なカラーバリエーションから選択可能だ。

F.P.ジュルヌ エレガント 48は、真に特別なクォーツ時計である。エレガントな外観と優れた技術力、そして卓越した完成度を兼ね備えたユニークなモデルとして人気を博している。また、エレガンテシリーズは、ブランドが提供する時計の中で最も手頃な価格であり、生産数も最も多いモデルだ。現在の需要では、公式定価の4倍もの価格が提示されている。信じられない方もいるかもしれない。F.P.ジュルヌに関しては、不可能なことはないのだ。

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Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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