マザーオブパール(真珠母貝とも呼ばれる)は、主に真珠母貝の内殻の真珠層から得られる装飾性の高い有機素材である。その自然の美しさと独特の性質から特に宝飾・時計業界で高く評価されている。高級時計メーカーは主に貴金属製のエレガントなモデルの文字盤にマザーオブパールを使用する。一つひとつのマザーオブパールにはそれぞれ独自の模様があるため、この自然素材を用いた時計はすべて一点ものである。また、マザーオブパールはカラーバリエーションも多く、白からクリーム色、ピンク、ブルー、グリーンとその色合いも多様だ。特徴的なきらめきは、マザーオブパールに含まれる炭酸カルシウムの板状の薄い層での光の屈折によって生まれる。
見た目の美しさに加え、極めて軽量なため、時計やジュエリーに使っても重さをほとんど感じさせない。また、太陽光や塩水などの外的な影響にも非常に強い素材でもある。つまり、マザーオブパールは何十年経っても、その自然な美しさを保つことができるのだ。マザーオブパールを文字盤に採用しているのは(まだ)主にレディースウォッチだが、メンズやユニセックスの市場にも魅力的なモデルが出回っている。この記事ではマザーオブパールの文字盤を持つメンズウォッチとレディースウォッチを5本ご紹介しよう。
1. ロレックス デイトナ Ref.116503 ロレゾール
まずはメンズ時計ながら女性からの評価も高いモデルから始めよう。ロレックスが1963年に最初の(そして唯一の)レーシング・クロノグラフとして発表したデイトナだ。特に2016年に発表されたRef. 116503はコンビカラーデザインであるため、ユニセックスウォッチに適している。このデイトナは904Lステンレススチールと18Kイエローゴールドを使用しており、この合金はロレゾールという名前でも知られている。文字盤は黒、白、シルバー、ブルーに加えてマザーオブパールもある。このモデルらしい高貴な外観をさらに際立たせるために、マザーオブパールの文字盤にはアワーマーカーにダイヤモンドがセットされている。色や模様にそれぞれ個体差があるためこのデイトナはまさに一点ものである。
デイトナ116503には、ロレックスが2000年に発表した自社製のコラムホイール式キャリバー4130が搭載されている。同社の他のムーブメント同様、このキャリバーもクロノメーター認証を受けており、テンプの振動数は標準的な毎時2万8800回で、パワーリザーブは約72時間である。このムーブメントのもうひとつの特徴はパラクロムヒゲぜんまいで、衝撃、磁気、温度変化に極めて強い。
Chrono24でのマザーオブパール文字盤のデイトナ116503の平均価格は、新品・未使用で約580万円。
2. オメガ デ・ヴィル レディマティック
次にご紹介するのは、オメガがレディースモデルとしてデザインした時計だ。1955年に初めて発表されたオメガ デ・ヴィル レディマティックには素材と文字盤の組み合わせのバリエーションが豊富にあり、文字盤の多くはマザーオブパール製である。デ・ヴィル レディマティック・コレクションのすべてのバリエーションのケース径は共通の34mmであり、Ref. 425.62.34.20.55.004もこのサイズである。ケース自体は18Kローズゴールド製で、オメガ独自の合金でセドナゴールドと呼ばれている。このレディマティックの文字盤はホワイトのマザーオブパール製で、インデックスには11個のダイヤモンドがセッティングされている。
内部に搭載されているのはオメガ自社製キャリバー8521だ。自動巻きのムーブメントはクロノメーター認定、最大50時間のパワーリザーブを備えている。時、分、秒に加えて、3時位置に日付を表示する。ローターは18Kゴールド製で、コート・ド・ジュネーブ装飾仕上げ。100m(10気圧)防水を備えたエレガントなレディマティックは日常使いに最適だ。
もしこの時計を自分へのご褒美や他の誰かへのプレゼントにしたいのであれば、Chrono24で未使用品を約300万円で購入することができる。
3. ブライトリング ナビタイマー オートマティック 36、コンビカラー
次にご紹介するマザーオブパール文字盤のモデルは、ケース径36mmでユニセックスウォッチとして最適な1本だ。伝説的なパイロット向けクロノグラフ、ナビタイマーは1950年代初頭からブライトリングのカタログに掲載されているが、装飾性の高い貴金属製の3針モデルを販売し始めたのはごく最近のことだ。
Ref. U17327211A1U1のナビタイマー オートマティック 36は、現在人気が再燃しているステンレスとゴールドのコンビカラーモデルだ。7連のブレスレットのセンターリンクとナビタイマーの特徴であるパールベゼルは、18Kレッドゴールドでできている。ホワイトマザーオブパールの文字盤にもゴールドがあしらわれており、12個のダイヤモンドインデックスと針もゴールドだ。
ブライトリング ナビタイマー オートマティックは自社製自動巻きキャリバーB17を搭載している。このムーブメントは、スイスのムーブメントメーカーであるETA社のキャリバー2824-2、または同じくスイスを拠点とするセリタ社のムーブメントSW200-1をベースにしている。どちらのムーブメントも品質と技術の点ではほぼ同じで、パワーリザーブは約38時間だ。マザーオブパール文字盤のモデルでは、残念ながら防水性はそれほど高くない。30m(3気圧)だ。
しかしながら、先ほどご紹介した2つのモデルと比べると価格は手ごろだ。ブライトリング ナビタイマー オートマティック 36は約130万円で入手可能だ。
ロレックス デイトジャスト 36 Ref.126234
ロレックスデ イトジャスト 36についてはもはや多くを語る必要はないだろう。1945年に発表されたこのモデルはスポーティーなドレスウォッチの原型であり、自動巻きムーブメントと自動で切り替わる日付表示を備えた初めての腕時計だ。36mmという大きすぎないサイズは男性・女性向けのユニセックスウォッチとして理想的だ。ちなみに、Chrono24で特に良く売れている高級時計の一つでもある。
ロレックス デイトジャスト 36 Ref.126234を少し詳しく見てみよう。メーカーはこのリファレンスナンバーで数多くのバリエーションを発表している。ここに挙げたモデルはステンレス製で、ホワイトゴールドのフルーテッドベゼルとマザーオブパールの文字盤を備えている。サイドがエレガントなカーブを描くオイスターケースのデイトジャスト 36は、画期的なスポーティー・エレガンスウォッチである。誰もが好むジュビリーブレスレットを備え、フルーテッドベゼルとの相性も完璧だ。
このデイトジャスト 36のマザーオブパール文字盤は淡い色調で、アワーマーカーとして10個のダイヤモンドが18Kホワイトゴールドにセッティングされている。
デイトジャスト 36には、3時位置に日付表示を備えたクロノメーター認定の自社製キャリバー3235が搭載されている。この自動巻きキャリバーは耐磁性に優れたブルーパラクロムヒゲぜんまいとパラフレックス耐震装置を備えている。メーカー発表のパワーリザーブは完全に巻き上げた状態で約70時間だ。
価格は未使用品で約180万円だ。
5. パテック フィリップ4948Rコンプリケーション
最後にご紹介するマザーオブパール文字盤のモデルは、パテック フィリップの製品だ。Ref. 4948Rはコンプリケーション・コレクションの一つで、このメーカーでは当然のことながら、多くの素晴らしい特徴を備えている。まず、このモデルの38mmケースは18Kローズゴールドである。それ自体はそれほど特別なことではないが、そのケースは合計347個のダイヤモンドで飾られている。リュウズに14個、ピンバックルにも27個ダイヤモンドがあしらわれており、合計で2.92カラットに達している。
文字盤には厳選されたバリ産マザーオブパールを使用。インドネシアのバリ地方に生息する特別な種類の貝から採取され、その独特な色と模様で知られている。4948Rにはわずかにピンクがかったホワイトマザーオブパールが使用されている。
このエレガントな時計は内部も極めて贅沢で、自動巻機械式キャリバー324 S QA LUを搭載し、年次カレンダーとムーンフェイズを備えている。曜日と月は2時と10時位置のインダイヤルで表示され、ムーンフェイズは6時位置の日付の上に置かれている。
豊富にあしらわれたダイヤモンド、貴金属、そして高度なキャリバー技術は、当然ながら高価なものだ。この時計は約1250万円で入手可能だ。