高級時計の世界は、さまざまなカテゴリーに分けられる。ドレスウォッチ、ツールウォッチ、フィールドウォッチ、パイロットウォッチ、ダイバーズウォッチ、トラベルウォッチ、クロノグラフウォッチ、そしてラグジュアリースポーツウォッチ。しかし、ラグジュアリースポーツウォッチとは一体何を意味するのか?それは本当に、ただ単に相応の機能を備えたスポーツ時に着用できる高級時計なのだろうか?厳密に言うと、そうなのだが、そこには若干の違いがあることも確かだ。なぜなら、私たち人間は、どんなことでもカテゴリー分けとなると、物事を複雑にしがちだからだ。
ラグジュアリースポーツウォッチのタイプと特徴
まずは最初となる部分から始めよう。世界初のスポーツウォッチは何か?一部の人からは、世界初のスポーツウォッチはブランパン フィフティ ファゾムスと言われている。知っている人もいるだろうが、フィフティ ファゾムスは1953年に発表された世界初のモダンなダイバーズウォッチである。1950年代、レクリエーショナルダイビングの人気急上昇を受け、多くの時計ブランドがフィフティ ファゾムスのデザインを基にダイバーズウォッチを作るようになった。とは言っても、フィフティ ファゾムスはレクリエーショナルダイビングのために開発されたわけではないが、それでもなお、スポーツウォッチカテゴリーの歴史と発展において重要な意味を持つものだった。

モータースポーツもまた、1950年代に絶大な人気を得るようになり、それがレーシングクロノグラフの登場につながった。クロノグラフは定義上、必ずしもスポーツウォッチであるわけではないが、モータースポーツのタイム計測に使用されるレーシングクロノグラフの多くはスポーツウォッチと言える。ではヨットレースの世界から影響を受けた時計はどうだろうか?レガッタタイマーはもう1つのスポーツウォッチカテゴリーに入る時計タイプだ。このように、スポーツウォッチの場合、間違いなく用語やカテゴリーで重複する部分があり、ハッキリとした線引きが難しくなる。
なぜラグジュアリースポーツウォッチを選ぶのか?
私たちはなぜラグジュアリースポーツウォッチを選ぶのだろうか?そして、男性用と女性用のラグジュアリースポーツウォッチには違いはあるのか?最初の問いに2つの答えがある。まず、スポーツウォッチは優れたデイリーウォッチとなることが多い。頑丈な時計で、ぶつけても壊れる心配をする必要がない。仕事でも、友人と会うときでも、休暇でダイビングをするときでも、スポーツウォッチは日常生活で直面するさまざまな場面に耐えられるよう作られている。
2つ目の答えとして、スポーツウォッチは多様なシーンに合うということである。一昔前は、社会生活を送る中で特定のシーンおいては、身に着ける時計について、ルールが今よりも厳格だったが、最近は、最もフォーマルとされるような格式高いシーンを除いては、スポーツウォッチでほとんど対応ができる。しかし、それすら絶対とは言えなくなってきた。ジェームズ・ボンドがスーツ、時にはタキシードにスポーツウォッチを合わせていいなら、私たちは誰を批判できるというのだろうか。
スポーツウォッチについて言うと、男性用モデルを中心に展開されている。一部のブランドはレディースサイズのダイバーズウォッチや、控えめで上品なスタイルのユニセックスなスポーツウォッチを展開しているが、全体的にスポーツウォッチは大型なものが多く、男性向きと言える。背景には、多くの女性が機能的なスポーツウォッチよりも、よりエレガントなものを好むという理由が考えられるが、昨今では男性向けスポーツウォッチをスタイリッシュに身に着ける女性もたくさんいるため、男性だけのものとは一概には言えない。
ロレックスのスポーツウォッチとは何か?
ロレックスは多くのカテゴリーにおけるリーダーであり、長い間、同ブランドはそのコレクションをクラシックウォッチとプロフェッショナルウォッチとに分けてきた。後者は多くのファンから、同ブランドのスポーツウォッチと呼ばれ、エクスプローラー Ⅱ、サブマリーナ、シードゥエラー、ミルガウス、デイトナ、ヨットマスター、エアキング、GMTマスター IIなどの有名なモデルが含まれている。一部はスポーツウォッチと呼ぶには少々無理があるものの、これら全ての時計に共通するのは、一連の機能、十分な防水性、タフな作りということだ。
最高のラグジュアリースポーツウォッチ
では、どれが最高のラグスポなのだろうか?Chrono24が選んだ7本を見ていこう。
1. ロレックス エクスプローラー
ロレックス エクスプローラーはスポーツウォッチとしてデザインされたわけではないが、エドモンド・ヒラリー卿とテンジン・ノルゲイがエベレスト登頂を果たした後、ロレックスはこの時計を世界の高峰を探検する最高の相棒として、賢くマーケティングを行った。その結果、この定番時計は正真正銘のスポーツウォッチと見なされるようになった。特に現行モデルは素晴らしく、どんな環境にも耐えることができるタフさを備えている。さらに、サイズはユニセックスな36mm径と、大型の40mm径の2サイズで展開されている。
2. オメガ シーマスター アクアテラ
ロレックス エクスプローラーと同じような存在が、オメガ シーマスター アクアテラ である。上品なスタイルのアクアテラは、ヨットにインスパイアされたもので、文字盤にはウッドデッキからヒントを模様が施されている。ステンレススチール製ブレスレット付きのアクアテラは、日常使いにぴったりの時計で、防水性は150m。男性と女性共にさまざまなサイズで提供されている。男性向けのスタンダードサイズは41mm径だが、ユニセックスタイプの38mm径も複数あり、またより小型な女性向けの34mm径のものもある。
3. ロレックス サブマリーナ
ダイバーズウォッチの原型、そしてよく世界で最も人気のある時計と言われるのは、ロレックス サブマリーナである。世界初のモダンなダイバーズウォッチではないが(ブランパン フィフティ ファゾムスがそのタイトルを獲得している)、間違いなくこのカテゴリーの代表のような存在だ。サブマリーナはロレックスで最も人気の高いダイバーズウォッチである。1954年にデビューし、何十年もの間、さまざまなシーンで多くの有名人の手首を飾ってきた。現行の41mm径を選ぼうが、より古いモデルを選ぼうが、ロレックスのダイバーズウォッチは究極のスポーツウォッチなのだ。最高のスポーツウォッチは何かという問いに1つの答えが存在するとしたら、ほとんどの人がロレックス サブマリーナと答えるだろう。そして、それには正当な理由がある。
4. チューダー ペラゴス 39
チューダーはコレクションにラグジュアリースポーツウォッチを多様に展開している。ヴィンテージの雰囲気を持つスポーツウォッチコレクションでるブラックベイには、ブラックベイ 58、ブラックベイ プロ、そして新しいブラックベイ 54があり、すべてが素晴らしいモデルだ。もし、チューダーのモダンなダイバーズウォッチを望むなら、ペラゴスコレクションももう1つの選択肢と言える。ファンの間で人気なのは、昨年リリースされたペラゴス 39。39mm径のチタン製ケースに、チューダーらしさが溢れたスタイルを持つ洗練された時計である。
チューダーのモダンなダイバーズウォッチ:チューダー ペラゴス 39
5. オメガ シーマスター プロフェッショナル ダイバー 300M
オメガの有名なシーマスター ダイバー 300Mは、1995年の『ゴールデンアイ』でピアース・ブロスナンが初めて着用して以来、ジェームズ・ボンドが愛用してきた時計である。この時計はそれ以来、業界内で最もよく知られ、人気のダイバーズウォッチの1つとなった。さまざまなバージョンとカラーで展開され、ブレスレットもラバーストラップもどちらも素晴らしい外観で、日常生活におけるあらゆる場面に華麗に対応できる。

6. ロレックス デイトナ
ロレックス コスモグラフ デイトナは同ブランドのアイコニックな極めて人気の高いレーシングクロノグラフだ。2023年は、60周年という節目を迎え、ロレックスは、デザインはほぼそのままに、随所にアップデートを加えて進化を遂げた全く新しいコレクションを発表したばかりである。さらに、デイトナに新しいムーブメントを搭載し、より優れたモダンなスポーツウォッチとなった。
7. オメガ スピードマスター
ほとんどの人がオメガ スピードマスターをムーンウォッチという名で知っているだろうが、スピードマスターが1957年にレーシングクロノグラフとして発表されたことは知っているだろうか?そのため、スピードマスターは厳密に言うとスポーツウォッチとも言える。ムーンウォッチで知られるスピードマスター プロフェッショナルに対し、オメガは2022年、スピードマスター ’57コレクションを発表し、1950年代のレース界の栄光を再び表現した。ヴィンテージモデルからインスピレーションを得たモダンなレーシングクロノグラフを探しているなら、このコレクションは素晴らしい選択肢だ。
ブランパン フィフティ ファゾムスやレーシングクロノグラフのように歴史的に重要な意味を持つモデルから、ロレックスの定番コレクションまで、機能性とエレガントなスタイルが融合したラグジュアリースポーツウォッチ。タフでどんなシーンにも合うことから、日常生活にぴったりと言え、人生のさまざまな場面で頼もしい相棒となることだろう。
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