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ロレックス 「ペプシ」は生産終了となるのか?

Aaron Voyles 著
2024年4月1日
5 分
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ロレックス「ペプシ」は生産終了となるのか?

“Watches and Wondersへ開催を控えた今、毎年のごとく時計コミュニティでは、発表されるであろう新作やお馴染みモデルの廃盤決定について予想が繰り広げられる。廃盤モデルについては、新作と同じくらい注目されている。
そして、こちらも毎年恒例なのだが、ある特定のモデルが生産終了になるのではと予想されている。その時計とは、ロレックス デイデイトだ!…というのはエイプリル・フールのどっきりだが、実際には、ロレックス GMTマスター II Ref. 126710BLRO、通称「ペプシ」だ。
今回、Watches and Wonders 2024の開催を目前に、この噂の理由や市場に与える影響について見ていきたい。”

なぜペプシに生産終了の噂?

簡単に言うと、噂ではロレックスがアイコニックなブルー&レッドの「ペプシ」ベゼルの製造に問題を抱えているらしいということなのだ。ペプシベゼルのブルー&レッドは、始めにグリーンのセラミックパウダーから作られ、それから数段階にわたる焼成と染色を経て完全なレッドに変えられ、すべてレッドになったベゼルの上半分には、その後、独自開発の化学薬品の混合物が塗られ、最後の焼成の最中に化学反応が起こることでブルーに変わることで作られる。

Rolex GMT-Master II ref. 126710BLRO aka. the Rolex Pepsi
ロレックス GMTマスター II Ref. 126710BLRO、別名ロレックス 「ペプシ」

結果的に、2色が接する境界線に問題が生じたのだ。ブルーがレッドの方ににじんでしまうケースが数多く発生し、その欠陥率は90%にも及ぶそうだ(この数字は筆者が個人的に2つの正規販売店から聞いたものだ)。その結果、ロレックスは、過去6カ月から12カ月において、小売店へ出荷するペプシの数を大幅に減らすことになった。そしてこのことは、二次流通市場での流通量に多大な影響をもたらし、生産終了の噂をかき立てることになったのだ。

 噂される生産終了がもたらす影響

1954年のデビュー以来、ペプシベゼルを持つモデルが唯一生産されなかった2008年〜2013年の期間を除いて、GMTマスターとGMT マスターIIを展開するGMTマスターコレクションにはほぼ常にペプシモデルがあった。その生産終了は間違いなく、時計市場、コミュニティーに大きな打撃を与えるだろう。GMTマスターコレクショの象徴的なモデルであるだけでなく、誰もがロレックスといえば真っ先に思い描くモデルの一つと言っても過言ではない。そんなモデルが生産終了となれば、時計市場に大きな影響をもたらすことになる。ソーシャルメディア上でも大騒ぎになることは想像に難くない。

It's known for it's bezel in blue and red.
ブルー&レッドのベゼルが目印

二次流通市場では、最近価格が下落傾向にあることから、多くのブランドで投機的な投資は減っている。しかしこの噂は時計市場に計り知れない影響を与え、ロレックス ペプシは販売数と市場価格という点で、この下降トレンドに逆行している。事実、セラミックベゼルのペプシは全体的に飛ぶように売れており、より新しい、フルセットのモデルに非常に人気が集まっている。このことは、EU市場で特に顕著であり、2023年12月23日から2024年2月24日の間で、販売されているペプシの数が35%も下がったのである。USやアジアなど他の市場も後に続いている。そして、価格については、ペプシの市場価格は5%上昇し、2023年と2024年について見ればその価値は10%も上昇している。

予想される結果

この噂が現実のものとなるのかどうかによるが、ロレックス ペプシに今後起こりうる結果は限られている。もし生産終了になれば、人々がこのアイコニックな時計をなんとか自分のコレクションに加えようと群がり、一夜にして市場価値が跳ね上がるだろう。またはロレックスがペプシの生産は続けるということであれば、市場への供給は続けられるために市場価値は下がるだろう。

しかし、たとえペプシの生産が続いたとしても、その供給量が突然増える、あるいは価格が急落することはないということを覚えておきたい。供給量は過去数年間と比べて、現在の史上最低ラインを保っていくだろう。この深刻な供給不足を軽減する唯一の方法は、ロレックスがRef. 126710BLROの生産終了と並行して、新しいタイプのブルー&レッドのペプシベゼルを発表することだろうが、すべてのことを考慮に入れると、そうなる可能性は非常に低いだろう。

終わりに

未来は誰にも予測できないものではあるが、ペプシがどのような運命をたどるにせよ、筆者はペプシがその市場価値を大幅に落とす世界は考えにくいと思っている。日付表示とGMT機能を備えたスポーツウォッチであり、日常使いに便利な時計であるだけでなく、ペプシは時計コレクターや一般の人々たちにとってロレックスが意味するすべてを象徴する、スタイルアイコンでもあるのだ。

The Rolex Pepsi is a stylistic icon and popular day-to-day wearer.
スタイルアイコンであり、人気のデイリーウォッチであるロレックス ペプシ

“では筆者は何が起こると考えているのか?
筆者としては、火のないところに煙は立たないと信じている。ロレックス ペプシはきっと正式に生産終了となるだろう。その後、ロレックスはきっとベゼルのカラー問題の解決を試み、数年後、欠陥率90%ではない新しいバージョンを発表するのではないかと考えている。
あるいは、ロレックスはベゼル問題の解決に取り掛かる間、ペプシの生産量を限りなく減らし、少ない供給量を保つという方法を取るかもしれない。製造過程で抱えている問題を他社に知られたくないはずだ。”

Watches and Wonders 2024はもうすぐそこまで迫っている。期間中は、ぜひChrono24マガジンの発信する最新情報に注目してほしい。ロレックス ペプシについては、真相が明らかになった瞬間に(もし何かが起こるのであれば、の話だが)レポートすることを約束したい。

記者紹介

Aaron Voyles

Aaron Voyles

時計が持つ芸術的なデザインから、ムーブメントに隠された技術、そして時計にストーリーを与える背景など、時計作りの全てに魅了されています。

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