2023年05月23日
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ロレックス ミルガウスの価格推移

Jorg Weppelink
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ロレックスがWatches and Wondersで2023年の新作を発表したのは、まだわずか数週間前。新しいコレクションの発表と同時に、いくつかのモデルの廃盤も明らかとなった。そのなかで最も注目すべきは、ミルガウスだ。ロレックスのポートフォリオから主要商品のひとつがなくなってしまうのだ。ミルガウスは1956年に科学者たちのために開発された時計であり、磁場の強い環境にさらされた科学者や技術者たちが日常的に使えるよう耐磁性を特徴としていた。ロレックスコレクションの変わり者であり、しかしそれゆえにファンからとても愛されていた。

ミルガウス 最後の世代

2007年、18年ぶりとなるミルガウス最後の世代が発表され、今年生産終了が明らかになるまでの16年間製造され続けていた。最後となったミルガウスはRef. 116400GVであり、2色展開していたが、この2つの前に別バージョンが存在している。それは2007年に登場したRef. 116400である。ケースサイズは40mmで100mの防水性を備えていた。内部には、耐磁性を備えた2ピースのシールド内に自社製キャリバー3131が搭載されていた。この時計は最高1000ガウスの磁場に耐えることができたのだ。

Rolex Milgauss 116400
ロレックス ミルガウス ホワイトダイヤルバージョン Ref. 116400

デザインは以前のミルガウスをベースにしているものの、モダンなケースとスペックで全く新しいミルガウスだった。文字盤は、黒と白の2色展開で、アクセントとしてビビットなオレンジ色が使われている。オレンジの稲妻秒針とMILGAUSSという文字がパッと目を引く。さらに白文字盤の場合は、夜光塗料が施されたアワーマーカーと、文字盤の外周の分目盛がオレンジで統一されている。黒文字盤の場合はアワーマーカーは白だが、分目盛りが5分ごとにオレンジのスクエアになっている。

ミルガウス GV(グラス ヴェール) モデル

さらに、ミルガウスの奇抜さを引き上げた3つ目のモデルがある。黒文字盤で、グリーンの色味のサファイアクリスタルを持ったRef. 116400GVだ。“GV” とはグラス ヴェール、フランス語で緑のガラスを意味する。この新しいタイプの見た目に慣れるのに、ロレックスファンも少々時間を要したらしい。

2014年には、Zブルーの文字盤で、同じくグリーンのサファイアクリスタルを持つモデルが追加され、ミルガウスはより一層他のモデルから際立つこととなった。しかし2016年、ロレックスは黒と白の文字盤のミルガウス(Ref. 116400)を生産終了とすることを決定し、その結果グリーンのサファイアクリスタルを持つ2つのモデル(Ref. 116400GV)のみが残った。この2つが、今年生産終了となったのだ。

Rolex Milgauss 116400GV
ロレックス ミルガウス Ref. 116400GV

最後の世代となった4モデルの現在の価格

ミルガウスの最終世代の4モデルすべての価格推移を見てみるのは興味深い。最後の2つのモデルが生産終了となった後の変化も確かに注目すべき点だが、まずは2016年に生産終了となった2モデルから見ていこう。2つのうち、白文字盤の方がよりユニークなモデルで、先に価格上昇が見られた。しかし時間と共に、両方のモデルの価格はほぼ同じくらいになった。白文字盤は約100万円〜200万円ほどで入手可能であり、黒文字盤は、およそ同じくらいの価格からスタートして約180万円ほどまでになる。

ロレックス Milgauss
116400 ()
ケース素材
ステンレス
文字盤
ブラック







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グリーンのサファイアクリスタル付きの黒文字盤モデルは約120万円からスタートし、200万円ほどまでになっている。製造期間が長いことから、販売数も多い。一方で独創的なZブルーの文字盤モデルは価格は若干高めからスタートしており、最も手頃なものでもおよそ150万円から250万円ほどと、4つの中でも最も高額なモデルとなっている。その理由は、おそらくは最も変わったキャラクターを持つモデルだからだろう。このグリーンサファイアクリスタルバージョンは、つい最近製造中止が明らかとなったものなので、今でも新品をボックスと書類付きで購入することが可能だ。

ミルガウスの価格推移

ミルガウスの価格推移に関しては、全4モデルでほぼ同じ傾向にある。価格は2022年初頭に高騰した後で、他のすべてのロレックスモデルと同じように下落している。Zブルーモデルのピーク価格は、他の3モデルのピーク価格よりも約30万円から40万円ほど高かった。すべてのバージョンの価格は今年の2月、Watches and Wondersの直前まで下がり続けた。

ロレックス Milgauss
116400GV ()
ケース素材
ステンレス
文字盤
ブラック







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そして、ミルガウスが廃盤になるかもしれないという推測が広がり始めるやいなや、価格は再び上昇し始めた。これは毎年、多数のモデルに対して起こることである。生産が終了され、代わりとなるコレクションがないことから、おそらく価格はこの後も上昇し続けるだろう。

多くの時計愛好家たちは、エアキングのようなアップデートされたケースを持つ新しいミルガウスに会えることを期待していた。しかし、そんな期待とは裏腹にロレックスはミルガウスの生産終了を決め、そのために今非常にホットな商品となっている。もちろん、奇抜な時計は万人受けするものではないため、まだ良い価格で入手することもできるかもしれない。

ロレックスがミルガウスの代わりとなる新しいモデルを発表しない限り、この最後の世代への需要は高いままだろう。ミルガウスが投資対象として将来性があるかどうかは、これからの経過を見る必要がある。ミルガウスがロレックスの中でもユニークなモデルだったことは間違いない。そのため、時間と共に価格が上昇しても驚きではないし、新しいミルガウスが出ないのであれば、なおさらである。

ミルガウスの大ファンである筆者としては、新しいモデルをぜひ見てみたい。しかし、もし作られなかったとしたら、グリーンサファイアクリスタルバージョンの黒文字盤モデルを手に入れたいと思う。それだけ、魅力的な時計なのだ。


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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