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【完全ガイド】ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズの買い方まとめ

René Herold 著
2023年4月20日 | 更新日: 2024/11/22
8 分
20:34

「1970年代の高級スポーツ時計」と聞いて思い浮かべるのは何だろうか。まず間違いなくパテック フィリップのノーチラスやオーデマ・ピゲ ロイヤルオークの名が挙がるだろうし、もしかしたらIWCのインヂュニアかもしれない。では、ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズはどうだろう。この時計は長らく陽の目を見ることが少なかった。テックやAPの熱狂的人気の時計と同様、長い歴史と機能を備えているにもかかわらずだ。ご存じの通り、オーヴァーシーズは遥かに手頃であり、何年も待つことなく入手できる。今回はこの過小評価されている時計について詳しく見ていきたい。

目次

ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズの歴史

ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズの歴史は1977年にまで遡る。この年にプラン・レ・ウアットに拠点を持つ伝統ある同社が創業222周年を迎え、その記念として発表したモデルが「222」だ。「222」は後にオーヴァーシーズへと進化していくことになるが、現代のコレクションに見られる特徴はすでにこの時期に確立されていた。ヨルグ・イゼックによって設計された222の特徴として、トノー型ケース、一体型リンクブレスレット、歯車を連想させるベゼルが挙げられる。文字盤は非常にすっきりとしたデザインだ。バータイプのアプライドアワーマーカー、と細身のバトン針が調和を生み、3時位置には日付が配置されている。

Vacheron Constantin Klassiker 222
古典的名作、ヴァシュロン・コンスタンタン 222

ヴァシュロン・コンスタンタンは1980年代半ばまで222を製造していた。その後、333フィディアスといったモデルが登場し、1996年に第1世代のオーヴァーシーズが誕生した。ディノ・モドロとヴィンセント・カウフマンがデザインしたこの時計は、222と同じデザイン言語を用いている。最大の違いは、新しいリンクブレスレット、リューズプロテクター、新デザインのベゼルだ。ベゼルはやはり歯車を思わせるデザインだが、切り欠き部分が大幅に広くなり、マルタ十字の端をモチーフにしている。

現行のオーヴァーシーズは第3世代であり、大きなコレクションに成長した。このシリーズには3針時計に加え、クロノグラフ、GMT時計、永久カレンダーやムーンフェイズ、トゥールビヨンを搭載したモデルがラインナップされている。2023年春からは、レトログラード式日付針を備えたモデルもシリーズに加わっている。

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ベストセラー:オーヴァーシーズ 4500V/110A 青文字盤

製造期間 2016年~現在
リファレンスナンバー 4500V/110A-B128
ケース ステンレス
防水性 150m (15気圧)
ベルト ステンレススチール、レザー、ラバー
直径 41mm
キャリバー VC 5100
文字盤 真鍮製、ブルーラッカー、サンバースト仕上げ

Chrono24での人気を集めるオーヴァーシーズの中で、特に注目を浴びているのが現行の3針モデルだ。なかでもRef.4500V/110A-B128は、サンバースト加工を施した気品ある青文字盤で多くの時計愛好家を魅了している。特徴的なアプライドバーインデックスとバトン針を備えており、針とインデックスには明るいブルーに発光するホワイトスーパールミノバが塗布されている。日付窓は3時位置に置かれ、細かい分目盛りの付いたリホート(インナーリング)が文字盤の外周を囲っている。

Besonders beliebt: die Vacheron Constantin Overseas 4500V/110A mit blauem Zifferblatt
ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V/110A ブルーダイヤルは特に人気が高い

ケースは直径41mm、ステンレススチール製で、150m(15気圧)の防水性を備えている。他の第3世代のオーヴァーシーズ同様、ヴァシュロン・コンスタンタンはリューズプロテクターを採用していない。ブレスレットはケースと一体化しており、リンクがマルタ十字を半分にしたような形のメタルブレスレット、レザーストラップ、ラバーストラップから選ぶことができる。レザーストラップとラバーストラップは文字盤と同系色だ。ベゼルはポリッシュ仕上げで切り欠きは6つと、特徴的な外観になっている。

時計の内部には自社製キャリバー5100が搭載されており、自動巻きで毎時2万8800振動、60時間のパワーリザーブを誇り、耐磁性を備えている。また、ジュネーブ州で製造され、高い基準を満たした時計にのみ与えられる品質保証の証「ジュネーブ・シール」も取得している。サファイアガラスのケースバック越しにムーブメントを眺めることもできる。

カラーバリエーションも充実しており、人気の青文字盤に加え、清楚な白文字盤(Ref.4500V/110A-B126)、シックな黒文字盤(Ref.4500V/110A-B483)から好みのモデルを選ぶことができる。

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3針のオーヴァーシーズの価格

ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズの3針モデルは、バージョンにより420万円前後から500万円前後の予算が必要となる。ステンレス製で3針のデイト付きモデルとしては結構な金額ではあるが、 ロイヤルオークやノーチラスの価格と比較すればお買い得だと言える。ゴールドバージョン(例えばRef.4500V/110R-B705など)でさえ、1150万円前後と比較的控えめな価格なのだ。

ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V/110Aの価格推移は堅調だ。2022年の初め、つまりノーチラスの人気が最高潮だった頃、オーヴァーシーズの価格も急激に上昇した。しかしその後、再びやや落ち着きを取り戻し、2023年4月現在は、2021年4月と比較して価格上昇率は平均47%だ

 

追加機能搭載のヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ

ヴァシュロン・コンスタンタンは追加機能を搭載したモデルも展開している。特に人気があるのは、オーヴァーシーズ デュアルタイムオーヴァーシーズ クロノグラフだ。

Vacheron Constantin Overseas Dual Time Ref. 7900V/110A-B334
ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ デュアルタイム Ref.7900V/110A-B334

デュアルタイムはGMT時計であり、ローカルタイムと同時に第2タイムゾーンの時刻を表示することができる。そのために中央に1本、大きな矢印のついた針が追加されている。通常のGMT時計では、GMT針が24時間目盛りを利用して時刻を表示するが、この針は12時間で文字盤を一周する。それでも第2タイムゾーンの昼夜が分かるように、9時位置に「AM/PM」表示を備えている。さらに6時位置にポインターデイトを配することによってこの時計のデザインが完成している。必要があれば、4時位置のねじ込み式プッシャーを使って日付を変更することもできる。

白、黒、ブルーのいずれの文字盤を選ぶかにもよるが、ステンレス製のデュアルタイムは約490万円から580万円ほどを想定しておくべきだろう。18Kレッドゴールド製のモデルは約690万円に跳ね上がる。

Vacheron Constantin Overseas Chronograph Ref. 5500V/110A-B148
ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ クロノグラフ Ref.5500V/110A-B148

オーヴァーシーズ クロノグラフのケースは42.5mmと若干大きいが、全体的な美観に変わりはない。文字盤はトリコンパックス・ルックのデザインだ。したがって、3時と6時の位置にクロノグラフのミニッツカウンターとアワーカウンター、9時の位置にスモールセコンドが配置されている。日付は4時30分の位置だ。

オーヴァーシーズ クロノグラフのステンレスバージョン、例えば青文字盤のRef. 5500V/110A-B148は、未使用のものがChrono24で約570万円から610万円ほどで取引されている。ただし、ブラウン文字盤のRef.5500V/110A-B147のような希少なバリエーションは870万円前後となり、ゴールドケースでは約1200万円と価格はさらに上がる。

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まとめ

ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズはパテックやAPの有名モデルと比べても見劣りすることのない、優れた高級スポーツウォッチである。仕上げも機能も一級品で、価格は他と比較しても実にリーズナブルだ。オーヴァーシーズは時計ファンなら一度は手にしてみたい個性的な1本である。

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