2022年05月13日
 5 分

史上最も重要なパイロットウォッチ4本

Isaac Wingold
Fliegeruhren-Magazin-2-1

パイロットウォッチは時計の世界には欠かせない存在だが、航空分野であればなおさらなくてはならないものだ。発明精神と情熱によって実現した、人類による最高の技術業績のひとつであることは間違いない。今から約115年前、今なお現役でもある特別開発モデルが空を制覇し、必要不可欠な装備品として活躍した。パイロットウォッチはコックピットの重要な計器だった。現代では、まだ飛行が今よりもっと刺激的だった時代を象徴する存在であり、この時代に伝説的な時計の数々が誕生している。今回は、多くの時計愛好家から敬愛されているパイロットウォッチを厳選し、その歴史をたどってみたい。

パイロットウォッチの特徴とは?

パイロットウォッチの特徴は「リストバンド」「堅牢性」「信頼性」だ。特にリストバンドは懐中時計が主流だった時代に、パイロットが操縦桿から手を離さずに時間を確認できることで、大きな反響を呼んだ。現在でもパイロットウォッチはその精度の高さとシンプルなデザインで、高い人気を誇っている。ここでは伝説のパイロットウォッチをご紹介しよう。

1. カルティエ サントス-デュモン:腕時計の発明

専門家や愛好家の間では、パイロットウォッチの歴史はブラジルの有名な航空パイオニア、アルベルト・サントス・デュモンが1904年にパリでスタートさせたと考えられている。サントス・デュモンはパイロットとしての経験を積むうちに、懐中時計は空では実用的ではないことに気づく。そこで彼はルイ・カルティエに自分の要求に応える腕時計の製作を依頼した。

現在のサントス・コレクションと同様、初代サントス-デュモンも典型的なパイロットウォッチのデザインではなく、スクエアケースにローマ数字の文字盤、特徴的なサファイアカボション付きリューズを採用している。それでもこの時計は初めてのパイロットウォッチだったため、その発展に重要な役割を果たした。また、サントス・デュモンの時計を見て「何を着けているのだろう」と皆が興味を持ったことで、腕時計人気の高まりに一役買うことにもなった。

2. ゼニス パイロット:ブレリオと共にドーバー海峡を横断飛行

サントス・デュモンに続き、フランスの航空業界のパイオニア、ルイ・ブレリオが1909年に単葉機で英仏海峡を横断し、英紙デイリー・メールが提示した1000ポンドの賞金を獲得して歴史にその名を残した。そして、歴史的飛行の場には時計の存在もあった。

機内でブレリオは非常に視認性の高いゼニスを着用していたのだ。その後、ブレリオがゼニスの工芸技術と測定精度を賞賛したことで、フランス航空機のダッシュボードにはゼニスのモントレ アエロネフタイプ20モデルが搭載されることになった。

3. ロンジン リンドバーグ:偉大なる記録の時計

チャールズ・リンドバーグもこれに続く。スピリット・オブ・セントルイス号に乗って33時間30分の大西洋横断単独飛行を果たした際、当時オリンピック公式計時を担当していたロンジンが飛行タイムを計測した。この伝説的な飛行の後、リンドバーグはロンジンと協力して、それまで使われていたウィームスウォッチをベースに、より現代的で正確なナビゲーションウォッチの開発にあたった。この時計は1931年に発売され、水上を飛行する際の位置測定が格段に容易になった。ロンジン リンドバーグが史上屈指の重要なパイロットウォッチとされているのは自明のことである。

4. 第二次世界大戦におけるBウォッチ

1939年に第二次世界大戦が勃発し、再び紛争が絶えない時代になった。その頃、戦争の悲惨さと密接な関係にあった、非常に印象的な時計が登場した。「観測時計」である。この時計はドイツ空軍のパイロットが着用していたものだ。そのような歴史的背景を持ちながらも、デザインは史上屈指の機能的なデザインとして今なお賞賛の的となっている。この時計はパイロットウォッチに求められるすべての条件を満たしているのだ。

夜光塗料を塗布した大きな針を備え、悪条件下でも文字盤が読み取りやすく、55mm径のケースに収められた信頼性の高い懐中時計用ムーブメントは最高の精度を提供し、重要な技術の詳細はすべて内側から裏蓋にエングレービングされている。Bウォッチを製造していたのは全部で5つのマニュファクチュールだったとされている。ラコ、ウェンペ、ストーヴァ、A.ランゲ&ゾーネ、IWCシャフハウゼンだ。Bウォッチは少なくとも外観に関しては、IWC ビッグ・パイロットやラコやストーヴァの復刻版といった現代のパイロットウォッチにとって最も重要なモデルとなっていると多くの人が認めている。

これら一連の歴史的な出来事は、パイロットウォッチが航空の黎明期、軍事航空、そして不可能を可能にする人類の果てしない探求において、いかに重要な役割を担っていたかを物語るものだ。パイロットウォッチを手首に着けてみれば、多くのコレクターがこの奇跡の時計になぜこうも惹かれるのか、その理由がすぐにわかる。魅力的な過去の時代へ連れて行ってくれるからだ。

小さなメカニックが、懐中時計に代わる実用的な時計を求めたサントス・デュモンや、想像を絶する偉業を成し遂げたリンドバーグやブレリオのような、時代を象徴する人物たちと我々を一瞬で結びつけ、また同時に我々を戦争の暗い時代とも結びつける。このように、パイロットウォッチをつける者は他にはない得難い体験ができる。特にそこに探究心や情熱が加われば、なおさらだ。パイロットウォッチはコレクターズアイテムとして独自の地位を確立しており、間違いなく注目に値する。


記者紹介

Isaac Wingold

イサークはトロント出身の写真家と作家であり、一味変わった時計が大好きです。彼は2016年~2017年にかけてChrono24マガジンへ多くの話題を提供してくれました。...

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