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均時差表示を搭載する時計: この機構の仕組みと傑作モデル3本

Chrono24 著
2019年12月25日
9 分
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均時差表示を搭載する時計: この機構の仕組みと傑作モデル3本

均時差表示は珍しいコンプリケーションの1つに数えられる。このコンプリケーションは「真太陽時」と「平均太陽時」の差を表示する。しかし、そもそも「真太陽時」と「平均太陽時」の違いとは何なのだろうか?そして、この仕組みはどのように実現されているのだろうか?ここでは、真太陽時を表示する、一部の非常に美しく複雑な高級時計から選び出した3本をご紹介する。

 

24時間の時間システム: 太陽日と均時差

私たちが一般的に標準時と呼ぶ時間は、平均太陽時のことである。真太陽時は太陽の南中から次の南中までの時間であり、これが本当の太陽日である。1年を通してみれば、この時間は平均して24時間になる。しかし、太陽が正午に天頂に位置する12月25日、4月13日、6月13日、9月1日を除き、真太陽時は24時間ではない。毎年2月11日と11月3日にその差は最も大きくなり、約15分の均時差となる。

私たちの時間測定の基礎は太陽日、つまり太陽に対して地球が1回自転する周期である。これは標準時間では24時間、正確に言えば23時間56分4.06秒になる。そして、この差は閏年に1日追加することで補正される。

しかし、この24時間の1日の長さは平均値にすぎない。太陽日の長さは、地球の傾斜した自転軸と、太陽の周りを回る軌道の異なる軌道速度によって、2月と11月に最大15分ほどのずれを見せる。日時計は太陽の位置に基づく真太陽時を示すが、太陽の出ていないところでは見えなくなる。時計師は日陰でも動作する機械式時計を発明し、この時計に24時間の時間システムを採用した。単純な機構によって太陽時を示すことはできなかったのだ。

簡単に説明すると、東京が真太陽時による12時である時に太陽は最も高い位置に達するが、それは標準化された24時間システムでは12時7分であったり11時56分であったりする、ということだ。

時計製造における均時差

古代ギリシャの天文学者や数学者は、すでに太陽日の異なる長さに気付いていた。そのため、彼らはこの変動を計算するために公式を考え出し、それによって日の出と日の入りの正確な時刻を定めることが可能になった。

この計算は現在まで時計師に均時差表示機構付きの時計を作り上げることを可能にしており、例えば平均太陽時とリンクしている放物線形のディスクなどに使用されている。

真太陽時の平均太陽時からのずれ対する放物線 (上図) は、例えばムーブメント内の同形の部品に置き換えられました (下図)。

オーデマ・ピゲ ジュールオーデマ イクエーションオブタイムなど、一部の時計では均時差表示を第2の分針で読み取ることができる。または、パネライ ルミノール GMT イクエーション オブ タイムなど、平均太陽時とのずれを表示するスケールを備えている時計もある。さらに、一部のコンプリケーションは特定の場所での日の出・日の入り時刻表示も備えており、販売場所に応じて異なるディスクも提供されている。

 

オーデマ・ピゲジュールオーデマイクエーションオブタイム

Audemars Piguet Jules Audemars Equation of Time
オーデマ・ピゲジュールオーデマイクエーションオブタイム

オーデマ・ピゲ ジュールオーデマ イクエーションオブタイムはオート オルロジュリーの傑作であり、非常に美しいアクセサリーでもある。

自動巻きキャリバーAP 2120/2808は、ムーンフェイズ、永久カレンダー、均時差表示、特定の経度の日の出・日の入り時刻表示の天文機能を提供している。これらのコンプリケーションを搭載しているにも関わらず、ムーブメントの厚みは5.3mmしかなく、そのパワーリザーブは40時間。425個の部品はすべて手間ひまかけて手作業で装飾されており、サファイアクリスタル製の裏蓋から非常に装飾的なムーブメントを眺めることができる。

ケース径は43mmで、その厚さはたったの14mm。イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールドのモデルはそれぞれ18Kで提供されており、オリジナルにはブラックのアリゲーターレザーストラップが組み合わせられている。文字盤はシルバーホワイトで、ピンクゴールドモデルにはブラックの文字盤も用意されている。

この時計は2本の針を備えており、ローマ数字のインデックスで平均太陽時の時間と分を表示する。太陽時は先端に太陽が付けられたセンター針によって分目盛り上で読み取られる。これは文字盤周縁の4時から10時の間にあり、ここには時計が均時差を測定する経度にある都市名も刻印されている。また、この場所の日の出・日の入り時間も、9時と3時位置にある2つのインダイヤルで読み取ることができる。ここでは、小さな時針と分針がローマ数字のインデックスで時刻を表示する。

これらの表示は特別な制御カムによって機能し、地球上のほぼすべての場所で使用可能だ。メーカーは希望に応じてベゼルと制御カムセットを変更できるため、外国に住むオーナーから中古時計を購入しても、必要に応じて時計を新しいオーナーの住んでいる場所に適合させることができる。

Audemars Piguet Jules Audemars Equation of Time_2
オーデマ・ピゲジュールオーデマイクエーションオブタイム

ムーンフェイズ表示は12時位置にあり、着色されたサファイアクリスタルによって澄んだ夜空の深いブルーの中でほのかに光る。また、この表示の精度は非常に高く、ディスクの歯数が通常の59歯ではなく135歯になったため、誤差は朔望月の1周期で約57秒しか発生しない。つまり、約122年に1度しかムーンフェイズの修正を行う必要がないのだ。そして、この修正はケースにはめ込まれた小さなプッシュボタンによって簡単に行うことができる。

ムーンフェイズの周りには月の名が刻印されており、針によって現在の月が表示される。そして、その右側には閏年表示がある。6時位置のインダイヤルは、2本の針によって日付と曜日を表示している。

文字盤は多くの表示を備えつつも非常に整然としている。個々のインダイヤルには凹凸があり、使用されているローマ数字がある種の静寂と調和を生み出している。この時計にはリューズが1つ付けられており、5時位置にはカレンダーとムーンフェイズを修正するための目立たない埋め込みプッシュボタンがある。このような装飾的な時計において1つだけ残念な点、それは防水性能で、メーカーの表示によるこの時計の防水性は最大20m (2気圧)。はっきり言えば、この時計は防滴性も持っていない。素材や状態に応じて、この時計には240万円から600万円の価格が付けられている。

ブレゲクラシックコンプリケーション3477 イクエーション

Breguet Perpetual Calendar Equation of Time 2
ブレゲクラシックコンプリケーション3477 イクエーション

 

ブレゲ クラシック コンプリケーション 3477は、ブレゲ イクエーション・オブ・タイムという名でも呼ばれている。ジュールオーデマと同様に、この時計の構成もクラシックでシンプル。永久カレンダーは備えているが、ムーンフェイズ表示は搭載されていない。その代わりにケース径は36mm、厚みは10.5mmしかなく、どのようなシャツの袖の下にも難なく収まる。それによって、銀色仕上げのゴールドダイヤルは整然とした印象を与える。

このブレゲ時計で使用されているのもローマ数字。曜日は3文字で12時位置に表示されている。均時差は2時位置にある45度のインダイヤルによって表示され、ここで太陽時の誤差を±15の目盛りで読み取ることができる。パワーリザーブ表示は反対側の11時位置、月表示は文字盤中央に配置されている。

閏年表示は8時位置に置かれており、今年が閏年であるかどうかを知らせてくれる。これはリューズ上部の2時位置にある埋め込みプッシュボタンによって2100年に修正する必要がある。ブレゲ時計によくあるように、リファレンスナンバーは文字盤上のブランド名の右側に刻印されており、6時位置の針付き日付表示が時計のイメージを完璧に仕上げている。

ブレゲ3477はその使用されている素材と仕上げによって人々を引き付けている。すべての表示の針は焼戻しされており、ケースはゴールド製、そして装飾豊かな部品やギヨシェ模様が施されたローター。これらの部品はプラチナモデルにおけるキャリバー502 DPEではプラチナ製となっている。そして、サファイアクリスタルを通してこのムーブメントの美しさを堪能することができる。

ムーブメントの振動数は1万8000振動で、パワーリザーブは45時間。ケースはブラックのアリゲーターレザーストラップによって腕に巻かれ、フォールディングクラスプはケースと同じ素材から作られている。この時計の新品価格は1800万円を超え、状態の良い中古品は約600万円で売買されている。

パネライルミノールGMT イクエーションオブタイム

Panerai Luminor 1950 8 Days Acciaio
パネライルミノールGMT イクエーションオブタイム

 

均時差表示を搭載する、堅牢性と美しさを兼ね備えたもう1つの時計はルミノール1950 イクエーションオブタイム。この時計は、サテン仕上げのチタンケースと任意で選べるマットブラウンまたはディープブルーの文字盤によって、心地よい控えめな外観に仕立てられている。

イタリア海軍のダイバーズウォッチに典型的なリューズ・プロテクターを持つケースの直径は44mm。力強い腕に似合う47mmモデルも用意されている。文字盤は整然かつ調和の取れた印象を与え、3、6、9、12の数字とその間のバーインデックス、そして針全体に蛍光塗料が施されている。矢先の付けられたセンター針は第2タイムゾーンを表示し、左のスモールセコンドにはAM/PM表示が統合されている。

均時差はパネライによくあるように6時位置上部で直線状に表示されている。通常この位置に配置されているパワーリザーブ表示はケース背面に置かれ、サファイアクリスタルを通して見ることができる。3つの香箱を持つ手巻きキャリバーP 2002/Eは一度完全に巻き上げれば8日間動き続けるので、頻繁にパワーリザーブを確認する必要はないだろ。文字盤のデザインは、控えめでありながらも非常に読み取りやすい5時位置の日付表示によって完璧に仕上げられている。

パネライに搭載されているコンプリケーションは、先に紹介したオーデマ・ピゲとブレゲの両モデルに比べて少ないが、その代わりにより長いパワーリザーブと最大200m (20気圧) の防水性を持っている。そして、価格はより手頃で、ブルーの文字盤を持つRef. PAM00670とブラウンの文字盤を持つRef. PAM00656は中古で約180万円、新品で約245万円となっている。

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