夏は鮮やかなカラーが似合うシーズンであり、それは時計でも同じだ。しかし、同時に筆者はカラフルな文字盤の時計に対し、相反する複雑な感情を抱いている。というのも、たとえこのような時計に魔法のような魅力を感じたとしても、最終的には落ち着いた色味の手堅いモデルを選んでいたからだ。筆者は黄色が好きだが、それでも黄色の時計を選ぶことはなかった。長い間イエローダイヤルのモデルには目を向けているが、調和を求める自分が、引き止めてしまう。しかし、確かなことは、黄色の時計は独特な存在感を放ち、人目を引き、そして全体のコーディネートのアクセントとなるということだ。
黄色の時計が持つメリット
黄色の時計は、派手ではあるが、手元を引き立てるというポジティブな効果を持つ。人目を引くタイムピースほど、時計ファン同士の会話のきっかけになるものはないだろう。そして、黄色という色に躊躇してしまう人に言いたいのは、すべての黄色が同じ色ではないということだ。派手で目立つ原色のイエローだけを思い浮かべてしまう人は、この色にも多くのトーンがあることを忘れてしまっている。暖かみのある黄土色から、フレッシュなパステル調の色合いまで、黄色にも着用する人の好みに合うさまざまなトーンがある。そしてもしかしたら、これから紹介するモデルのどれかが気に入るかもしれない。
エントリーモデル：ノモス タンジェント 38 デイト Lemonbiscuit
筆者のように妥協点を探していて、カラフルでありながら服装に合う時計を希望するのであれば、きっとノモスで見つかるだろう。タンジェントの特別モデル、38mm径のRef. 179.S10は、クリームホワイトの文字盤だが、分目盛は親しみやすいレモンイエローが使用されている。インデックスとアラビア数字はコントラストの効いた鮮やかなブルーだ。この時計は42時間のパワーリザーブを備えた自社製キャリバーDUW 4101を搭載。ライトグレーのファブリックストラップは文字盤から主役の座を奪うことはない控えめなものだ。また、メーカー希望小売価格は38万9500円と高すぎない設定だ。ただし、175本の限定販売で既に完売しているため、価格はさらに高くなるだろう。Chrono24ではおよそ40万円から販売されている。
ロレックス オイスター パーペチュアル 41
もちろんロレックスもこのリストに入っている。一貫性のあるデザインで知られるロレックスではあるが、2020年に大胆なカラーを採用し、定番モデルの一つであるオイスター パーペチュアルを温かみあるサニーイエローを含む複数の明るいカラーでリリースした。ケースとブレスレットのタイムレスでエレガントなデザインとモダンで生き生きとした文字盤というコントラストが素晴らしい時計だと個人的に思っている。そのため、このモデルがすでに廃盤で、価格が高騰していることは非常に残念だ。約250万円という市場価格に驚かないのであれば、「ひねり」の効いた一味違う最高級のロレックスを手に入れることができる。
ブライトリング スーパーオーシャン オートマチック 42
このスタイリッシュなダイバーズウォッチのアイデアは、ダイビングの人気が高まっていた1960年代にさかのぼる。当時ブライトリングは、最も重要な機能だけを残し、最大限の視認性を誇るダイビングウォッチを開発。ブライトリング スーパーオーシャン オートマチック 42は、その意志と基本となるデザイン要素を引き継いだ、現代的な外観を持つ時計だ。イエローのモデルはステンレスケースにステンレスブレスまたはブラックのラバーストラップを選ぶことができる。直径42mmで300mの防水性を備えたこの時計は、水中以外のシーンでも万能で頼れる存在だ。自動巻きムーブメント、ブライトリング 17は、38時間のパワーリザーブを備えている。どこかレトロな魅力を持つこのオールラウンダーな時計の価格は、65万円から。
グラスヒュッテ・オリジナル セブンティーズ・クロノグラフ・パノラマデイト
そしてレトロな雰囲気といえば、このモデルも欠かせない。グラスヒュッテ・オリジナルのセブンティーズ・クロノグラフは、その珍しいサンドイエローカラーだけでなく、印象的なクッション型のステンレスケースとラバーストラップにも交換可能な一体型ステンレスブレスの組み合わせが特徴的だ。3時・9時位置にインダイヤルがあるが、パノラマデイト表示と12時間積算計を備えているため、文字盤が煩雑に見えることはない。内部には、70時間のパワーリザーブを備えたモダンな自社製キャリバーが搭載されており、サファイアクリスタルケースバックも一見の価値がある。この時計は世界限定100本という特別モデルのため、メーカー希望小売価格は241万5000円（ラバーストラップの場合）と高額だ。Chrono24では、さらに高額となる。
オメガ スピードマスター ミハエル・シューマッハ
多くの時計愛好家の間で、オメガ スピードマスターは月面着陸という歴史的な出来事で知られているが、スピードマスターはタグ・ホイヤーやロレックスのクロノグラフと同様、カーレースとの共通点も多い。その一例として、オメガ スピードマスター リデュースド ミハエル・シューマッハが挙げられる。このモデルは1996年にドイツ・ケルペンにあるシューマッハの初期の練習用サーキットであったレーストラックから直接彼によって発表されたもので、鮮やかなレッドとイエローのバージョンで入手可能となっている。そのカラーはインダイヤルを含む文字盤だけでなく、付属するレザーストラップにもそれぞれのカラーと合わせてある。アイキャッチャーであり、カーレースの歴史の一部とも言えるこの時計は、箱と書類付きで約55万円から購入可能だ。
