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廃盤となったデイトナ ル・マンの価格動向

Sebastian Swart 著
2024年5月7日
6 分
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廃盤となったデイトナ ル・マンの価格変動

2023年、ロレックスはデイトナ ル・マン 126529LNを発表し、注目を集めた。しかし、2024年4月、同社はこの特別モデルの生産終了を明らかにした。以来、Chrono24では、このル・マンモデルの需要と供給、そして価格で、注目すべき変化が確認されている。さっそく詳しく見ていこう。

ロレックス デイトナ ル・マン 126529LNについて

デイトナ ル・マン 126529LNは、2023年6月にル・マン24時間レースの100周年を記念して発表されたモデルだ。その登場は、多くの時計ファンにとってサプライズとも言えるもので、世界最大級の時計見本市「Watches and Wonders」の後に発表された。
デイトナ ル・マンは多くの点で特別な時計だ。まず目を引くのは、新たにデザインされた逆パンダダイヤルで、よく見ると、デイトナ ポール・ニューマン Ref. 6263の文字盤を彷彿とさせる。他にも、7時位置のすぐ下、タキメータースケール上に赤で「100」の数字が記されているという特徴がある。ケースとブレスレットは貴金属製で、18Kホワイトゴールドが使用されている。”

Rolex Daytona Le Mans 126529LN – zum 100. Geburtstag der Rennstrecke von Le Mans
ロレックス デイトナ ル・マン 126529LN – ル・マン24時間レースの100周年を記念した特別モデル

“ロレックスは、デイトナ ル・マンにアップデートしたデイトナムーブメント4131を採用、しかしこの特別モデルではキャリバー4132と言う番号が付けられている。
ムーブメントには、ロレックスが特許を取得した2つの機構が搭載されている。パラフレックス ショック・アブソーバは時計を衝撃から完璧に保護し、クロナジー エスケープメントはムーブメントを強い磁気から守る。また、キャリバー4132ではデイトナに典型的な12時間の計測の代わりに最大24時間の計測が可能となっている。
デイトナでは一般的にソリッドバックだが、ル・マンモデルではシースルーのサファイアクリスタルケースバックが採用され、ムーブメントとともにゴールドのパーペチュアルローターを垣間見ることができる。デイトナとしては、今までになかったものだ。”

Chrono24でのデイトナ ル・マンの価格動向

ロレックスがデイトナ ル・マンを発表した際、メーカー希望小売価格は611万500円だった。ロレックスの人気モデルにはよくあることだが、市場価格はこの価格から大きく離れた。さらに、この時計がChrono24で初めて販売された2023年7月から今年の4月中旬までの全期間で、需要と供給に大きな変化が見られている

2023年7月末日時点で、ロレックス デイトナ ル・マン 126529LNは平均で約4900万円で取引された。この時点で、Chrono24で販売されていたのは、わずか2本。そして8月中旬には、供給が需要をわずかに上回り、価格は約3700万円まで下落した。その後もデイトナ ル・マンを出品する販売者が増え、価格変動が激しくなった。2023年12月31日時点では、「より安価な」個体が約3600万円で購入可能となっていた。しかし、価格の底にはまだ達していなかったようで、2024年2月に約3400万円となった。価格下落の理由は、購入者の関心が一定なのに対し、出品数が増えたためだ。

皆さんもお分かりの通り、今となっては、この時期が(正確には2024年4月9日まで)126529LNの購入に最適な時期だったのだ。買わなかった人たちは、2024年4月中旬に販売数が約20%も減少し、販売価格が平均して4700万円を超えるという事態に直面している。注目すべきは、ロレックスが126529LNの生産終了を発表した4月9日までは、検索数は一定だったのに対し、その後約1500%も増加したということだ。

ロレックス デイトナ ル・マンに代わるより手頃な選択肢

Chrono24には、ロレックス デイトナの安価な代替モデルとなる時計が数多く見つかる。また、コストパフォーマンスに優れた時計を探している人にとってもこれらの時計は魅力的な選択肢となるはずだ。セラミックベゼルを備えたステンレス製のモデルを2本紹介したい。

ゼニス クロノグラフ スポーツ

ゼニスのクロノマスター スポーツコレクションには、ロレックス デイトナとかなり似たものがある。特にRef. 03.3100.3600/21.M3100については、ロレックス デイトナ ル・マンに代わる手頃な価格のモデルとなり得る。だからと言ってこの時計が、品質面や技術面でデイトナに劣るわけではない。ケースの直径が41mmのクロノマスター スポーツはデイトナよりわずか1mm大きく、細めの手首にも適している。

ムーブメントには、ゼニスの自社製キャリバーエル・プリメロ 3600が採用され、テンプ振動数は毎時3万6000回。4時30分位置の日付表示は、このムーブメントの典型だ。パワーリザーブは60時間で、ブレスレットには3連リンクのステンレスブレスが付属し、3連のうち中心のリンクはポリッシュ仕上げがされている。

嬉しいことに、この時計の未使用品は150万円ほどで購入できる。伝統的なブランドと自社製キャリバーであるからと言って、超高額である必要はないのだ。

Exklusiver Schnellschwinger von Zenith – Chronomaster Sport Ref. 03.3100.3600/21.M3100
ゼニスの特別なハイビートキャリバー – クロノマスター スポーツ Ref. 03.3100.3600/21.M3100

タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ スポーツ

2つ目は、タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ(Ref. CBN2A1A.BA0643)だ。がっしりとした手首の持ち主には、デイトナ ル・マンの魅力的な代替モデルとなるだろう。ケース径は44mmで、3連リンクのステンレスブレスが付属している。

ロレックス デイトナ、そしてゼニス クロノマスターと同様に、タグ・ホイヤー カレラにも自社製キャリバーが搭載されている。キャリバー ホイヤー 02のテンプ振幅数は毎時2万8800回で、80時間のパワーリザーブを備えている。

未使用品の場合、自社製キャリバーを搭載した優れたブランドの時計が約85万円という価格で入手できる。

Daytona Alternative zum fairen Preis – TAG Heuer Carrera Ref. CBN2A1A.BA0643
タグ・ホイヤー カレラ Ref. CBN2A1A.BA0643

まとめ

ロレックス デイトナ ル・マンが高品質、かつ魅力的なデザインを持つ特別な時計であることは一目瞭然だろう。さらに、ロレックスは他のどのブランドよりも時計界で絶対的な存在であり、多くの人にとって、憧れでもあるだろう。メーカー希望小売価格である611万500円はその品質や価値に見合った価格である一方で、二次流通市場での価格は高すぎると言える。最終的には、需要と供給という古くからのシンプルな市場経済のルールが、高級品を含む、物の価格を決定している。デイトナ ル・マンの価格も同様だ。近い将来、デイトナ ル・マンの価格がこの先どう変動するのか、明らかになるだろう。

記者紹介

Sebastian Swart

Sebastian Swart

すでに数年前からChrono24のサイトを時計の買取と販売、そして時計について調べるのに使っていました。私は子どもの頃から時計に興味を持っており…

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