2023年07月26日
 6 分

ロレックス ヨットマスター 42 チタンモデル

Jorg Weppelink
2-1-Rolex-Yacht-Master-42

数カ月前に開催されたWatches and Wonders 2023で、ロレックスは今年の新作を発表した。最大の注目は、間違いなく新生デイトナだ。生産終了となったチェリー二コレクションに取って代わった新しい1908コレクションは、嬉しい驚きだった。新しい40mm径のエクスプローラーは優れた、理にかなったラインナップへの追加だったし、新作GMTマスター IIはどちらも(ゴールド製とコンビモデル)素晴らしく魅力的だった。しかし、一番の驚きであり、最も注目に値すると言えるのは、ヨットマスター 42のチタンモデルだろう。人気のコレクション初となるチタン製というだけでなく、そのデザインはサブマリーナやシードゥエラーと張り合うことになるかもしれない。その理由を探っていこう。

チタンの台頭

時計業界の発展を見てきている人ならば、時計のケースにチタンが非常に多く使われるようになってきているのをご存じだろう。つい最近まで、チタン製の時計と言えば圧倒的にダイバーズウォッチだった。それは、チタンが軽量で耐食性の高い素材であるからだ。今ではダイバーズウォッチ以外にも、さまざまなタイプのチタン製時計が数多く見られる。チタン製のオーデマ ピゲ ロイヤル オーク、グランドセイコー、A.ランゲ&ゾーネ オデュッセウス、それに多くのハミルトン カーキフィールドなどが挙げられる。

チタンの台頭は非常に顕著ではあるが、採用にためらってきたブランドもいる。最も長い間、チタン製時計の製造に乗り出さなかったブランドがロレックスだ。実際、同社が初めてチタン製の時計を発表したのは2022年のことだったのだ。50mm径という特大サイズ、11000mの防水性、グレード5チタン製のケースを持つディープシー チャレンジである。言うまでもなく、その巨大なサイズとスペックは、通常のロレックスファンに向けられたものではない。ディープシーチャンレンジは幅広い層へ向けられた華々しい新作発表とは言いがたいものだった。しかし、このチタン製時計は同じステンレススチール製のものに比べ30%軽量であり、まさに適切な選択であったと言え、その強烈なルックスは、この時計がごく一部の人に向けたものとなることを意味している。

ヨットマスター 42 チタンモデル

そこで新しいチタン製ヨットマスターの出番である。一部の人はおそらく知っているように、初代ヨットマスターは1960年代後半に、サブマリーナの新たなバージョンとしてデザインされていた。しかし試作品の域を超えることはなく、ヨットマスターという名前は1990年代初めまで消えたままだった。1992年、ロレックスはボートレースでの使用を想定して作られたイエローゴールド製のラグジュアリースポーツウォッチである新しいヨットマスターを発表。水中ではなく水上で使う時計ということで素材にはゴールドが使用され、サブマリーナやシードゥエラーと差別化された。そして、このラグスポコレクションはロレックスにとってファンをワクワクさせるような新素材を使った時計の発表の場となってきた。最初のものは1999年に発表されたステンレススチール製ケースにプラチナ製ベゼルと文字盤が組み合わされたヨットマスター ロレジウム。2015年には、ロレックス史上初のラバー製ストラップを持つヨットマスターが発表された。このモデルは、ローズゴールド製の時計にロレックスのオイスターフレックスストラップという組み合わせだ。このように、ヨットマスターコレクションには、興味深いモデルが並び、サイズも37mm、40mm、42mmと、多様である。

Rolex Yacht-Master 40 in Rolesium
ロレックス ヨットマスター 40 ロレジウム

ヨットマスターのデザイン

デザインとスペックという点では、ヨットマスターは回転ベゼル、ダイビングスケール、トリプロックリューズ、そして防水性100mと、ダイバーズウォッチのひとつのように見える。防水性はそれほど際立ってはいないものの、ヨットマスターの全てが “ダイバーズウォッチ” であることを主張している。しかし貴金属が使用されていることで、よりラグジュアリーさが強調されたモデルであり、真のスポーツウォッチとは一線を画している。けれども、この新しい42mmヨットマスターの発表をもって、すべてが変わった。RLXチタン製ケースを持つこの時計は、ロレックスのダイバーズウォッチを欲しいと思っている人にとって、リアルな購入候補となったのだ。ブラックのベゼルやオイスターロック クラスプとイージーリンクシステムを備えたチタン製オイスターブレスレットを備え、サブマリーナやシードゥエラーにこれまでになく似通っている。そしてムーブメントも他の2つと同様にキャリバー3235が搭載されている。

Roley Yacht-Master 42 in Titanium, Image: Rolex
チタン製ロレックス ヨットマスター 42
写真:ロレックス

この新しいヨットマスターは、典型的なロレックスのスポーツウォッチでありながらも、サブマリーナよりも軽くて控えめなものを探している人にとって魅力的な1本となるだろう。チタンはロレックスがサブマリーナに使う904Lステンレススチールとは少々異なる印象である。また、新しいヨットマスターには、サブマリーナがポリッシュ仕上げなのに対して、主にサテン仕上げが施されている。さらにマットブラックのベゼルに浮かび上がるポリッシュ仕上げの60分のダイビング目盛とグラデーションが、ある種の存在感を与えている。筆者は個人的に、この新しいチタン製ヨットマスターの控えめな光沢を持つルックスが大好きだ。正直に言って、現行のサブマリーナよりも好きなほどだ。

ヨットマスター 42 チタンモデルが意味すること

しかし、いざ購入となるとそれほど簡単ではない。サブマリーナの定価は108万4600円だが、新しいチタン製ヨットマスター42は167万900円だ。この約60万円の価格差は大きいが、予算が十分にある人にとっても、どちらかを選ぶのは難しいかもしれない。新しいヨットマスターの発表直後に筆者が話をした多くの人は、口を揃えてこれがロレックスにとって、そして特にヨットマスターにとって、非常に大きな一歩であると話していた。このチタンモデルはヨットマスターコレクションに完璧にフィットするものであり、多くのファンが購入を検討する時計になるだろう。もし次に40mmバージョンが登場したらどうなるだろうか、みんな熱狂するだろう。確かに、多くの時計愛好家はそれでも、手首にチタン製の時計よりもステンレススチールの重みを感じたいと思うだろうが、そういった人の数は急速に減っている。チタン製の時計は増え続ける一方で注目されており、新しいヨットマスター 42はロレックスにとって素晴らしい一歩であり、大成功をおさめるモデルであると思っている。ロレックスの時計は周知のとおり、需要が高い。サブマリーナだけに限らず、この新しいチタン製ヨットマスターも例外ではないだろう。


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

記者紹介

最新記事

ONP-568-2-1-Brand
2023年09月25日
ロレックス
 11 分

ロレックス、究極のラグジュアリーブランド

Sebastian Swart
Rolex-Submariner-vs-Blancpain-Fifty-Fathoms-2-1
2023年04月28日
ロレックス
 7 分

徹底比較:サブマリーナ VS フィフティ ファゾムス

Donato Emilio Andrioli