カルティエ(Cartier)の人気は近年、高くなってきている。グローバルマーケットでのシェアを拡大し、オークションやオンライン二次流通市場での価格は上昇している。最も人気が高いのはどのモデルなのか、見ていきたい。
時計市場:カルティエの台頭
ロレックス(Rolex)、パテック フィリップ(Patek Philippe)、オーデマ・ピゲ(Audemars Piguet)の中古モデルの、華々しい価格急上昇と最近の下落については、これまでも多く取り上げられてきた。よりひっそりとではあるが、同じように成功をしたブランドは、カルティエだ。「王の宝石商、宝石商の王」と呼ばれたこのブランドは、一次流通市場で広く支持を集めており、オンラインとオークション両方の二次流通市場での注目も高まっている。
モルガン・スタンレーが発表した時計の販売と輸出についての年間分析によると、2位と大差を着けてのナンバーワンがロレックスであるのは変わらないが、カルティエがここ数年で初めて2位からオメガ(Omega)を引きずり下ろしている。このパリ発ブランドは2020年から2021年の間に対前年比売上40%増を記録。レポートによると、この上昇は若い顧客層からの支持が牽引したとしている。
二次流通市場を見てみると、コレクターからも非コレクターからも、アンティークのカルティエに対する注目が高まっており、PARISダイヤル、コレクション・プリヴェ・カルティエ・パリ(CPCP)、そしてもちろん、カルティエ クラッシュなどに高価格がついている。Chrono24の友人であり、時計ディーラーであるウィンドヴィンテージのエリック・ウィンドは、彼のビジネス史上最も多くのカルティエをストックしているという。そしてクラッシュについて言えば、Loupe Thisのウェブサイトで2022年5月に、1967年のカルティエ クラッシュが150万ドル以上という高額で落札され、カルティエのオークション最高値を記録した。
数年前には、80年代と90年代のカルティエクラッシュは、オークションで通常10万ドルあるいは20万ドルほどで落札されていたのだ。
Chrono24で最も人気の高いタンクモデルの一つ、カルティエ タンク フランセーズ。
150万ドルという予算のない人は、他にどんなカルティエの時計がよく売れているのか、見てみよう。Chrono24では3つのカルティエ タンク サブモデルがタンクの売上の主な部分を占めている。それは上から、タンク フランセーズ、タンク ソロ、タンク アメリカンである。カルティエ サントスについても似たような展開が、サントス ガルべ、現行のサントス WSSA0029、そしてサントス 100で見られ、この3つが弊社プラットフォーム上でサントスの売上の主要部分を占めている。ここで豆知識を。今あげたそれぞれの時計は、カルティエ LOVE ブレスレットとほぼ同じ価格である。


この記事の締めくくりに、カルティエ タンク バスキュラントについて触れておきたい。この文字盤を反転できるモデルはインスタグラムで人気に火がつき、それが二次流通市場の価格にも反映された。Chrono24での価格は、手巻式のRef.2390は2014年から2020年まで安定していたが、2020年後半に急騰し18ヶ月強の間に250%以上もの上昇を見せたのだ。価格は今年2月にピークであるおよそ1万ドルに届き、現在ではそれに近い9000ドルほどになっている。