2020年01月24日
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時計業界の内部: ロジャー・ルーガーにインタビュー

Balazs Ferenczi
時計業界の内部: ロジャー・ルーガーにインタビュー

時計業界の内部: ロジャー・ルーガーにインタビュー

高級腕時計のウェブサイトであるChrono24がChrono24マガジンで紹介している記事のほとんどが、時計にフォーカスたものであることは当然である。だが、時計業界の実態にもっと迫る記事もこれまでにいくつか紹介してきている。時計ブランドの背後には、異常なコンプリケーション時計を設計する、驚くほど才能のある時計職人たちがいる。その数人の職人については、「時計業界の重要人物」の記事でご覧いただけたと思う。しかし、私たちが愛する時計業界を形作ってる人物は、他にも存在する。時計業界について報道する人や時計イベントを企画する人たちがこれに当たる。ロジャー・ルーガーは、その両方に当てはまる。アメリカのウォッチタイムの編集長として、彼は英語圏で最大級の時計マガジン1つを率いている。また、彼は彼が率いるチームと共に、アメリカ最大の高級時計イベントであるウォッチタイム・ニューヨークを企画している。2019年にこのイベントが開催されている中、ロジャーと時計について話す機会をいただいた。

ニューヨークで開催されたウォッチタイム 2019の風景
ニューヨークで開催されたウォッチタイム 2019の風景

原点から始めましょう。ウォッチタイムはどのようにして発足したのでしょうか?

私たちは自分たちの信念を重んて、このイベントを始めました。2015年に大規模なイベントを開催することを考案し、それ以降どんどん成長していきました。2015年には17社のブランドで始め、今では30社が参加しています。2019年には、ロサンゼルスとニューヨーク、アメリカの両海岸で開催しました。A.ランゲ&ゾーネ、ブランパン、F.P. ジュルヌなど、ここのマーケットに適しているハイエンドなブランドが参加しています。私たちは、まったく雰囲気の異なるワインドアップ(時計見本市)も同時に開催されていることが気に入っています。それにより、私たちのイベントには、とてもハイバリューな顧客層が訪れてくれます。イベントのオーディエンスは、ブティックでは滅多に見られないMB&Fやアクリヴィアを見ることもできるし、オメガやゼニスの時計も見られます。

 

とても広範囲なセレクションですね。来客者についてお聞きしたいのですが、どのような方がこのイベントを訪れますか?大半は、ウォッチタイム・マガジンの読者なのでしょうか?

はい。とても忠実なお客様がいます。来客者には、アッパーイーストサイドにお住まいでパテックを収集するような年配の男性から、G–ショックやMB&Fなどを着用するような若干25歳の若者たちまでいます。来客者の多くはセンスが良く、情熱がある上にお金を持っているため、このイベントは様々なブランドの経営者から多くの注目を集めています。

 

時計業界について熟知しているロジャーさん方にとって、ブランドと言えば、個人的にはどのようなブランドがお好きですか?

私はどんな時計も好んで着用します。どんな時計でも違いを感じません。というか、現在約2万円の時計を着用しています。個人的に、時計のために80万円や90万円以上の出費をするのは好みません。そして何より私はダイビングウォッチにはまっています。中でもセイコーの時計を多く所有しています。ドクサの時計も1本持っており、プロプロフ、マリンマスター、そしてツナ缶にずっと興味を持ってます。普段は価格についてそこまで気にしません。気づいたことは、今着用している時計でも100万円する時計と同じような満足度を感じられることです。

 

ウォッチタイム 2019
ウォッチタイム 2019

 

時計発祥の地であるスイス出身で、アメリカ出身ではない「アウトサイダー」として、ニューヨーク、またはアメリカのウォッチシーンについてどう思われますか?

まず、アメリカは全体で1つのマーケットではないということを理解することがかなり重要です。ロサンゼルス、ラスベガス、マイアミ、ダラスなどが中心地となっています。ニューヨークは、魅力的でとてもユニークなマーケットです。ここには、世界でも最も素晴らしい時計販売店がいくつか存在しています。また、フィリップスやクリスティのようなオークションハウスもあります。一般的に、アメリカは年若くて可能性のあるマーケットで、急成長の見込みもあると思います。

 

全てがデジタル化されている時代において、プリントメディアが担う役割はなんだと思いますか?早いペースのプロダクションが重要視されていおり、雑誌などの存在は後退しているように見えますが。 

私たちがやっていることは、絶えず変化しています。ジャーナリズムは一般的に難しいと思うのであれば、アメリカを一度ご覧ください。売店のニューススタンドで購入できる時計雑誌は、今では弊社のものが最後です。毎月4万部印刷されている弊社の雑誌は、JFKインターナショナルターミナルでご入手いただけます。多くの読者はニューヨーク在住の方ではなく、この街を飛行機で通過していく方々です。要するに、私たちは現時点の状況に満足しています。ホテルでしか入手できない雑誌などといったビジネスモデルも存在しますが、これは私たちが目指すモデルではありません。私たちは読者に焦点を当てています。時計業界は変化し、ジャーナリズムも変化し、そしてメディアの消費方法も変化していっている。このような環境にいる私たちは、細心の注意を払い集中を途切らすことなく活動しています。

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記者紹介

Balazs Ferenczi

時計にはもうずっと前から興味を持っています。時計は男性が身に付けられる唯一のアクセサリーである、といつも思っていました。時計は身に付ける人の個性を表現します。何年もの間、私は …

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