2019年09月18日
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時計業界の重要人物:キャメロン・ワイス

Jorg Weppelink
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時計業界の重要人物:キャメロン・ワイス

この「時計業界の重要人物」シリーズでは、現代の時計業界で最も影響力を持つ有名な時計技師を取り上げてきた。そして今回は、キャメロン・ワイスを取り上げる。ワイスは、新世代の先駆的な時計技師の一人である。時計技師として確立したいなら誰もが選ぶであろうスイスの国で自身の技術を高めている際、ワイスはアメリカに戻ることを選択し、ロサンゼルスにショップを立ち上げた。ワイスは、古き良きアメリカの時計作りを復興させることを目標としているが、実は彼はそれをすでに成し遂げているのだ。

他の時計技師と同様、ワイスの時計に対する深い関心には長い歴史がある。子供の頃、彼は機械式時計を分解することを遊びとしていた。彼は、集結した小さな部品たちが連携して時間を示しているということに対して畏怖の念を抱いていた。当時の彼には、全ての部品が人間の手によって組み立てられているという発想がなかった。

時計技師という専門職があることをワイスが知るのは、それから何年も先のことだった。時計コレクターから時計作りの重大さと名声について知ったワイスは、アメリカの時計業界で最も有名な一人になる道を志した。

Cameron Weiss, Photo: Weiss Watch Company
キャメロン・ワイス, 写真: ワイス ウォッチ カンパニー

スイスの伝統から培った土台

2010年、ワイスはマイアミのニコラス・G・ハイエックス時計製造学校で、世界最大規模の時計技術者育成プログラムのWOSTEP (Watchmakers of Switzerland Training and Education Program) コースを受講した。ヌーシャテルに拠点を置くWOSTEP財団は、スイス時計の高い技術水準を教えるため、独自のマスターウォッチメーカーをアメリカに派遣している。

卒業後、ワイスはスイスのル・ブラッシュにあるオーデマ・ピゲ に雇われた。ここで彼は技術を磨き、自分のタイムピースを製造したいという意志を得た。ワイスはアメリカへ戻り、ニューヨークのオーデマ・ピゲで働いた後に、ビバリーヒルズにあるヴァシュロン・コンスタンタン に転職した。その頃彼は、自身の作品をなんとなく作り始めていた。新たなブランドを立ち上げるのであれば、彼はスイスに定住したいと常に考えていた。しかし、時計業界がもはやスイスに新ブランドガ増えることを望んでいないことを知り、母国に留まることでより大きなインパクトを与えることができる、と最終的に自覚することとなった。

ワイス ウォッチ カンパニーを設立

 

Cameron Weiss, Photo: Weiss Watch Company
キャメロン・ワイス, 写真: ワイス ウォッチ カンパニー

 

ワイスには、母国に留まる理由がいくつかあった。アメリカで活動することは、彼にとってより自然に感じられ、部品サプライヤーが少ないことからアメリカ独自の時計が作れると確信した。彼はアメリカ産の小さなデニムブランドのポップアップイベントに参加した際、真のクラフトマンシップに焦点を当てたアメリカ育ちの会社へ注がれる情熱を感じ取った。さらに、彼の時計は良い反応を受け、それが彼が選んだ道を進んでいく励みとなった。

彼は、多くの人が機械式時計に魅力を感じているものの、その膨大な価格を知った際に意欲を失ってしまうことを学ぶ。ほとんどの人にとって、有名なスイス時計に何十万円に費やす余裕はない。そんな情報を武器に、ワイスは自身が挑むべきことを見つけ出した:お手頃価格の高精度機械式時計を作り出すこと。ワイスと妻のホイットニーは、2013年にワイス ウォッチ カンパニーをサンフランシスコで正式に設立した。

彼らの努力はすぐに報われた。初めの10本は、会社設立から1ヶ月も経たぬうちに完売した。二人はすぐさまビバリーヒルズの小さなアパートに引っ越し、2016年には現在も本拠を構えるカリフォルニア州トーランスへ移った。設立当初に直面した最大の課題は、おそらく時計を製造するための原材料を供給するサプライヤーを見つけることだったのではないか。

写真: ワイス ウォッチ カンパニー

設立と同時に、彼らはグラント・ヒューストンをチームに加え、彼に生産構成の監修を任せた。夫が製造に専念する間、ホイットニーは会社の全てのマーケティング活動に勤しんだ。努力が実を結び、バーニーズやミスターポルテといった名門店の棚に自身の時計を並ばせることに成功した。そしてワイス ウォッチ カンパニーは、機械式時計をお手頃価格で提供するという当初の目標を忠実に守り続けいった。

ワイス ウォッチ カンパニーが象徴すること

 

ワイス ウォッチ カンパニーは、アメリカの創意性を象徴している。時計のデザインは、特に1950年代の古いダイビング用具やヴィンテージな航空機器から大きな影響を受けている。

このカンパニーのカタログには、3つのコレクションが存在する。一つ目は、ステンレスケースに自動巻きワイスキャリバー1005を搭載するワイス38mm スタンダード イッシュー フィールドウォッチ(Standard Issue Field Watch) がある。文字盤はブラック、ホワイト、ラテ、ブルー、またはグリーンから選ぶことができる。ブラックとホワイトのモデルはキャンバスストラップで提供されており、価格は約12万円。ラテ、ブルー、グリーンのモデルは、ホーウィンレザーストラップで提供されており、価格は約14万円。

2つ目のコレクションは、38mm オートマチック イッシュー フィールドウォッチ(Automatic Issue Field Watch。カタログを見る限りでは、このコレクションには一種類の時計しかない。これはスタンダード イッシューとよく似ているが、オートマチックキャリバーを搭載していることと、レイルウェイミニッツスケールがあることが違いだ。最もわかりやすい違いは、スモールセコンドの位置である。スタンダード イッシューの方は6時位置にあるのに対し、オートマチックの方は9時位置に施されている。オートマチック イッシュー フィールドウォッチは、20万円で購入できる。

White Standard Issue Field Watch 38mm, Photo: Weiss Watch Company
White Standard Issue Field Watch 38mm, 写真: ワイス ウォッチ カンパニー

最後のシリーズは、ワイス42mm アメリカン イッシュー フィールドウォッチ(American Issue Field Watch)。このタイムピースは、イエローゴールドまたはステンレスケースで提供されている。内蔵されているのは、自社製自動巻きキャリバー1003。イエローゴールドのモデルは、ブラックまたはホワイトの文字盤で提供されており、ブラックレザーストラップが付属されている。これはワイスウォッチの中で最も高く、97万円の価格で販売されている。ステンレスモデルではブラック、ブルー(限定版)、ラテ、ホワイト、そしてグリーンの文字盤で提供されている。付属されているストラップによって、価格は約26万または27万円で提供されている。

Weiss 42mm American Issue Field Watch Latte Dial, Photo: Weiss Watch Company
Weiss 42mm American Issue Field Watch Latte Dial, 写真: ワイス ウォッチ カンパニー

3つのコレクションの他にも、リミテッドエディションで自社製キャリバー1003を搭載する42mm ゲージ シリーズ(Gauge Series) が存在する。これは、ワイスがロサンゼルスからサウスカロライナ州チャールストンへランドローバーでロードトリップをした際に思いつき、製造した時計である。この限定版は、ライトグリーンまたはブラックの文字盤の2種類で提供されている。ライトグリーンは21本、ブラックは50本の限定本数で製造されている。合計71本という数は、ワイスのトラックが製造された年の数から来ている。ブラックの文字盤で提供されているこの時計には、約27万円の価格が付けられる。

総合的に見ると、ワイス ウォッチ カンパニーは時計業界の中でユニークなポジションを占めている。結果、ワイスはアメリカの創意性とスイスのクラフトマンシップの関連性を探求する自由を持っている。個人的には、この若いブランドが今後どう展開していくのかとても楽しみにしている!

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こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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