時計ファンの多くは軽量な時計のメリットをよく理解している。軽い時計は付け心地がとても良く、長時間の着用にも最適だ。その軽さから、洗練された時計を好みながらも、手首で煩わしさを感じさせない時計を好む人に特にぴったりだと言える。また、その時計が頑丈であれば、アウトドアやスポーツなどのアクティビティの場でも使用できる。
軽量な時計の場合、大幅な軽量化を実現するため、チタンやカーボンといった軽量な素材が使用されることが多い。スチールや貴金属製の時計の場合、ムーブメントやケースを薄型にすることで、素材の使用量を減らし、軽量化を実現している。超薄型で軽量な高級時計の最も有名な例は、おそらくリシャール・ミル RM UP-01 フェラーリだろう。この時計は厚さがわずか1.75mm、重さはストラップを含めても30g以下で、2022年に世界最薄の時計として記録された。
一つの例として時計業界の中でも高価格帯に位置するリシャール・ミルを挙げたが、今回は、日常生活で着用でき、二次流通市場で購入できる特に軽量な3本のモデルを紹介したい。
ノモス タンジェント 35(Ref. 188)
最初に紹介したいデイリーユースに最適な薄く軽量な時計は、ドイツ、グラスヒュッテ発のブランド、ノモスの時計だ。Ref. 188は、タンジェントコレクションのモデルで、1992年からノモスのラインアップに登場している。
ノモス タンジェント(Ref. 188)は、直径35mm、厚さわずか6.7mmのステンレス製ケースを持ち、その軽さと薄さが魅力だ。また、ラグトゥラグが43mmのため、ユニセックスウォッチとしてもぴったりだ。重さは約40g。防水性については、30m(3気圧)のため、水しぶき程度なら耐えうる。亜鉛メッキ加工が施されたプラチナグレーの文字盤には、アラビア数字とバーインデックスが採用されている。時刻は中央の時針と分針、そして6時位置のスモールセコンドで表示される。
内部には、43時間のパワーリザーブを備えた自動巻きのノモスネオマティックキャリバー DUW 3001が搭載されている。厚さはわずか3.2mmで、インカブロック、Nivarox社のヒゲゼンマイ、そして青焼きねじを備えている。また、サファイアクリスタルケースバックからはキャリバーの動きを眺めることができる。
ノモスはタンジェント 35(Ref. 188)のストラップに、ホーウィン社のホースレザー製のブラックのシェルコードバンストラップを使用しており、時計全体のバランスを引き立てている。
ノモス タンジェントは未使用品の場合、約33万円で購入可能だ。

A.ランゲ&ゾーネ サクソニア・フラッハ
2本目に紹介するのは、同じくドイツ、グラスヒュッテ発のブランド、A.ランゲ&ゾーネのものだ。サクソニア・フラッハは、1994年のブランド復活時に発表されたサクソニアコレクションに属している。
A.ランゲ&ゾーネはサクソニア・フラッハ(Ref. 201.027)を2011年に発表。37mm径のケースは厚さ5.9mmで、現在ブランドで最も薄い時計となっている。ケース素材は高品質な18Kホワイトゴールドが使用されている。重さは約60g。前述のノモス タンジェントと同様、サクソニア・フラッハも防水性は30m(3気圧)となっている。
文字盤はシルバー無垢製で、非常にスリムなバーインデックスを採用したとてもシンプルなデザインをしている。機能面については、この時計の場合は本質にフォーカスしていることから、時分表示のみの2針時計となっている。
ムーブメントには、手巻きの自社製キャリバーL093.1が採用され、厚みはわずか2.9mmと、伝統あるブランドとしての優れた技術が駆使されたものだ。ムーブメントには、ニッケルシルバー製の4分の3プレート、受石の固定にゴールドシャトン、手彫りのテンプ受けが採用されている。また、サファイアクリスタルケースバックからエレガントなキャリバーの動きを垣間見ることができる。
A.ランゲ&ゾーネ サクソニア・フラッハには、ホワイトゴールドのバックルを搭載したアリゲーターレザーのブラックのストラップが付いている。
二次流通市場では、未使用品場合、価格が約420万円。サクソニア・フラッハはローズゴールドのケースもあり、こちらの価格は約340万円。

オメガ シーマスター アクアテラ 150M ウルトラライト
シーマスター アクアテラ 150M ウルトラライト(Ref. 220.92.41.21.06.002)で、オメガはファブリックストラップ付の重量わずか55gの時計を発表した。直径41mm、厚さ13.5mmにもかかわらず、だ。その軽さを実現しているのは、アルミニウム含有率がおよそ50%のガンマチタンと呼ばれる素材だ。文字盤もチタン製だが、こちらはより一般的な合金素材のグレード5チタンとなっている。また、ベゼルはセラミック製だ。
文字盤は、シーマスター アクアテラシリーズの典型的なデザインで、台形のアプライドのインデックスには蓄光塗料が施され、暗い場所でも時刻を読み取ることができる。バリエーションに応じて、ミニッツスケールにブルー、レッドまたはグリーンのカラーアクセントが施され、秒針にも同じカラーが採用され、魅力的な色彩のコントラストを生み出している。このモデルでは、ねじ込み式ではなく、ケースの内部に収まる伸縮型のリューズで操作、調整する。防水性はアクアテラコレクションのモデルに一般的な150m(15気圧)となっている。
また、アクアテラ ウルトラライトでは、そのキャリバーにも注目したい。自社製キャリバー8928 TIは、オメガで初めて地板、テンワ、ブリッジにチタンを採用したものとなっている。コーアクシャル脱進機を備え、METAS認定済み。パワーリザーブは72時間となっている。
オメガ シーマスター アクアテラ 150M ウルトラライトの価格については、ブルーとグリーンのバージョンの平均価格は約750万円で、今回紹介する超軽量な時計の中で最も高価だ。レッドのモデルは約730万円。

今回紹介した軽量モデルの中で、皆さんはどのモデルが気に入っただろうか。