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見過ごされているスピードマスター ムーンウォッチ

Chrono24 著
2025年1月15日 | 更新日: 2025/01/15
7 分
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見過ごされているスピードマスター ムーンウォッチ

オメガ スピードマスター ムーンウォッチは、時計愛好家のコレクションに欠かせない時計であり、それだけの価値のある実績を持つ究極のツールウォッチだ。1969年、バズ・オルドリンが人類史上初となる月面歩行を行った時、スピードマスターは月に降り立った最初の腕時計となった。さらにその1年後には、アポロ13号の乗組員を無事地球に帰還させる上で重要な役割を果たした。このような素晴らしいストーリーは、スピードマスターが究極のツールウォッチであり、あらゆるコレクションにおいて重要な位置を占めるに値することを証明している。

スピードマスターコレクションの最新モデル

スピードマスター コレクションに加わった興味深い新作、スピードマスター パイロット
スピードマスター コレクションに加わった興味深い新作、スピードマスター パイロット

2024年、スピードマスターには素晴らしいモデルが複数リリースされ、どれもファンから絶賛された。1本目は、ムーンウォッチのホワイトダイヤルバージョンで、スピードマスターに明るいダイアルを好む人々から長い間待ち望まれていたモデルだ。次の注目すべきリリースは、スピードマスター第2世代の復刻版となる「ファースト オメガ イン スペース」だ。このモデルはムーンウォッチ以前のモデルに基づいているため、ムーンウォッチ コレクションではないが、それでもスピードマスターと1960年代のNASAの偉大な宇宙探査と結びついている。そして最後に発表されたのが、スピードマスター パイロット スペシャルエディションだ。繰り返しになるが、これはムーンウォッチではない。しかし、このパイロット クロノグラフは、ムーンウォッチの重要なストーリーと深く関連している。 

3つの希少なスピードマスター ムーンウォッチ

上記で紹介した新しい3モデルはこの数か月間で大きな注目を集めてきたが、数あるスピードマスター ムーンウォッチの中には、それほど話題になっていないものもある。そこで、スピードマスターファンやコレクターなら知っているかもしれないが、一般的にはあまり知られていない3本のモデルを紹介したい。これら3本に共通するのは、スピードマスターの豊かな歴史と直接紐づいたストーリーを語っているということだ。では、順番に見ていこう。

スピードマスター プロフェッショナル アラスカプロジェクト Ref. 311.32.42.30.04.001

オメガ スピードマスター アラスカプロジェクト 限定モデル
スピードマスター アラスカプロジェクト 限定モデル

1本目は、コレクターの間で非常に人気の高い2008年の限定版だ。コレクターの間では切望されるアイテムである一方、この風変わりなスピーディーの物語は一般の人々にはあまり知られていない。スピードマスター アラスカプロジェクトは、オメガが1969年と1970年に開発したプロトタイプの復刻版だ。アラスカプロジェクトは、NASAが行っていた宇宙飛行士の装備品の開発を目的とした調査に付けられた名前で、このプロジェクトに、オメガは太陽光と熱をよりよく反射する明るいホワイトの文字盤を備えた2つのチタン製プロトタイプを開発した。2つのクロノグラフカウンター用の黒いスペースカプセル型の針と、中央の赤いクロノグラフ針が特徴だ。加えて、時計にはシールドの役割を果たす赤いアルマイト加工の外装ケースが付属し、このケースは月面や宇宙空間での-148度~260度の極端な温度から時計を保護することができる。2008年、オメガはこれらのプロトタイプに敬意を表し、スピードマスター プロフェッショナル アラスカ プロジェクトを1970本の限定生産で発表した。これは、2つのプロトタイプのうちの2番目に基づいており、ホワイトの文字盤と特徴的な小さな針を備えた通常のスピードマスターのように見える。しかし、付属の専用ボックスに入っている赤い耐熱シールドと長細いホワイトのベルクロストラップは、そのストーリーを物語っている。この風変わりで素晴らしいスピードマスターは人気の限定版で、約250~400万円で取引されている。

スピードマスター アポロ11号 45周年記念限定モデル Ref. 311.62.42.30.06.001

スピードマスター アポロ11号 45周年記念限定モデル
スピードマスター アポロ11号 45周年記念限定モデル

ファンの間でもあまり注目されないスピードマスターは、スピードマスター アポロ11号 45周年記念限定モデルだ。オメガは、1969年の月面着陸を記念して、5年ごとにアポロ11号記念モデルを発売している。2014年、オメガはスピードマスターをムーンウォッチとしたバズ・オルドリンの月面着陸45周年を記念して、スピードマスターの特別版をリリース。このモデルは、ムーンウォッチとして初めてチタン製ケースを採用した特別なモデルだ。軽量なケースには、オメガ独自のローズゴールド合金であるセドナゴールドベゼルが組み合わされている。チタンカラーと、ブラックセラミック製のベゼルインサートを備えたローズゴールドのベゼルとの組み合わせは、この時計をひと目でそれとわかるものにしている。そして、スタイリッシュな外観をさらに引き立てているのは、特別なレーザーカットが施されたPVD仕上げのブラックダイヤルだ。見てわかるとおり、一枚の生地から作られており、モダンでありながらシックで、非常にスタイリッシュなダークグレーの外観となっている。オメガは、月面着陸の年に合わせてこのモデルを1969本限定で発売したが、興味深いことに、発売後すぐに完売とはならなかった。その大きな理由は、色と素材のユニークな組み合わせにあり、この45周年記念モデルは他のスピードマスターと全く違う見た目になっている。時が経つにつれ、この特別なスピードマスター ムーンウォッチを愛するコレクターが増えたが、最も人気のあるモデルとは言えない。それにもかかわらず、Chrono24では約150~220万円の価格が付けられている。

スピードマスター 1957トリロジー 60周年記念 Ref. 311.10.39.30.01.001

スピードマスター 1957トリロジー 60周年記念
スピードマスター 1957トリロジー 60周年記念

3番目で最後のスピードマスターはムーンウォッチではない。すべての偉大な伝統には必ず始まりがある。スピードマスターのストーリーは、1957年から綴られている。その年、オメガはシーマスター 300、レイルマスター、スピードマスターを発表。3つ目の時計が月に降り立った初の時計となり、歴史に名を残すことになるとは、当時オメガは知る由もなかった。2017年、この3モデルの60周年を記念し、1957 トリロジーコレクションを発表した。これらは、1957年に発売されたオリジナルモデルを忠実に再現している。そのため、スピードマスターには、ムーンウォッチで知られている竪琴ラグ付きの42mm径ケースではなく、直線的なラグ付きのより小さな38.6mm径ケースが採用されている。この時計はスピードマスターに似ているが、ブロードアローの針がムーンウォッチの針と異なることにすぐ気が付くだろう。2017年に復刻された初代スピードマスターは、オメガがオリジナルのスピードマスターを忠実に再現したため、高い評価を受けた。オメガは、スピードマスター 60周年記念モデルを個別販売用に3557本製造し、さらに3本のモデルすべてを収録した特別なトリロジーボックスセット用に557本製造した。3557本は大きい数字だが、このモデルは飛ぶように売れた。これらの時計は、すべての始まりとなった時計に敬意を表した完璧な作品であるため、驚くことではない。しかし、次々と新しい時計が発表される中で、これらの時計は忘れられてしまうことがある。だからこそ、初代スピードマスター CK2915-1へのオマージュを紹介したいと考えた。この歴史的な作品は約100~160万円で購入できる。 

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