グリーン志向であることは、かつてないほどに最前線のことである。ゴミのリサイクル、電気自動車、あるいはただゴミを出さない生活をする、そのような方法でエコロジカル・フットプリントをなんとか減らそうとみんなが努力している。幸いにも、より多くの時計メーカーがその運動に加わってきている。賢いマーケティング戦略か?それとも真摯な行動か?それは誰にもわからないが、私たちは後者だと考えている。そこで今回、Chrono24ではいくつかの目立った時計メーカーと彼らの取り組みについて取り上げたい。特に海や河川にフォーカスしたものについて見ていこう。
1. ブランパン フィフティ ファゾムス バチスカーフ ズュルトエディション
ブランパンの本領はダイバーズウォッチである。この伝説的なスイスの時計工房は、主にその海洋探査と関連のあるタイムピースで知られている。そのため、同社は世界の海とその周辺環境にまつわる問題を強調している。わずか数ヶ月前、ブランパンはフィフティ ファゾムス バチスカーフ ズュルトエディションをリリースした。これは、ドイツのズュルト島にある同社の小売店とのコラボによって、わずか25本のみ生産されたタイムピースである。主にドイツの上流社会の人気リゾート地として知られるこの島は、多くの渡り鳥の生息地でもあるのだ。こういった種類の渡り鳥たちは、毎年、何万キロメートルもの旅をする。ズュルト島のラントゥンベッケン自然保護区はそういった鳥たちの休息および交配の場である。したがってこの自然保護区は彼らの未来にとって非常に重要な場所なのだ。非営利団体aquatilとヨルドサント協会がこの区域を保護し、これらの渡り鳥の生息地を作るために協力している。ブランパンはこの素晴らしい運動の認知度を高めるとともに、経済的な支援を行っている。
2. モーリス・ラクロア アイコン #tide
モーリス・ラクロアはブランパンほど名の通ったブランドではないかもしれないが、同社の運動は同じように称賛に値するものだ。彼らのキャンペーンは海をきれいにし、海洋プラスチックを再利用しようというもの。と、ここまでは特に真新しいものではない。似たような行動を起こしているブランドは他にもある。そして海洋プラスチック再利用のスペシャリスト企業、#tideは、業界内他社と何年も協力してきたものの、このモーリス・ラクロアのキャンペーンは異なっている。
始めに、彼らは時計のボックスやナイロンストラップを作るために再生プラスチックゴミを使っているのではない。代わりに、モーリス・ラクロア アイコン #tideのケース本体とストラップにこの素材が使われているのだ。この時計のパッケージもまたうまくできている。アイコン #tideは再生プラスチックでできたコーヒーカップに入れられ、それもまた携帯電話や財布を入れて使える小さな#tideバッグに入っている。外箱には再生紙を使用。この時計には取扱説明書もなく、代わりに時計ホルダーについているQRコードを読み取り、そこから確認することで紙を節約している。
3. オリス アクイス ニューヨークハーバー リミテッドエディション
オリス抜きに、環境に優しいブランドのリストを完了することはできない。このスイスの時計メーカーはここ何十年もの間、この分野におけるキープレーヤーであり業界他社への手本であり続けている。オリスはサンゴ礁の保護活動から (オリス アクイス カリスフォートリーフ リミテッドエディション) 、海洋プラスチックゴミ問題 (オリス アクイス クリーンオーシャン リミテッドエディション) まで、数多くのプロジェクトやチャリティーをサポートしている。しかし、中でも私たちのお気に入りプロジェクトのひとつが、オリス アクイス ニューヨークハーバー リミテッドエディションである。非営利団体ビリオン・オイスター・プロジェクトとのコラボレーションで、2035年までにニューヨーク港の牡蠣の数を10億個まで回復させるというもの。牡蠣は天然の浄水器であり、よって健康な牡蠣のリーフ (礁) を持つことは水中の生物の多様性を助け、高潮から沿岸を保護する役目も果たすのだ。オリス アクイス ニューヨークハーバーは2000本限定生産のコレクションであり、ビリオン・オイスター・プロジェクトの認知度を高め、資金を集めるために作られた。それはこの地球をよりクリーンに、願わくばより良い場所へと変えるのを手助けする、オリスによる数多くの時計のひとつにすぎない。
ありがたいことに、時計業界には他にも多くの素晴らしいこの種の取り組みがある。時計ブランドの歴史を思い出し、限定版をもってその遺産に敬意を表するのも確かに重要ではあるが、今日の世界が抱える社会的あるいは環境的な問題への認識を高めようとすることも、同じように重要だ。将来、時計ブランド各社によって、より多くの似たようなプロジェクトが行われることを期待したい。