2022年07月25日
 6 分

腕時計収集 vs. 腕時計投資:どちらが良いのか?

Jorg Weppelink
Collecting-vs.-investing-Magazin-2-1

腕時計投資は注目の話題だ。もしここ3〜5年の間に時計の世界に興味を持っている方であれば、多くの時計の価格が上昇し続けていることをご存じだろう。ロレックスオーデマ・ピゲパテック フィリップヴァシュロン・コンスタンタンオメガなど、これらすべてのブランドによる多くのモデルの価格が上昇している。ロレックスとなると、この上昇傾向はほぼすべてのモデルに該当する。しかし、今年の4月からは、一部のモデルの価格が少しずつ下がり始めている。価格高騰のバブルは崩壊を迎えたのだろうか?もちろん、これが大きな価格の下落の始まりなのか、または一時的な時計価格の停滞なのかを判断するまではもう少し待つ必要がある。しかし、投資利益を上げることを期待して腕時計を購入しようと検討している購入者に、このことがどのような影響を与えるのかを観察するのは、興味深いものになるだろう。 

腕時計投資は大儲けを意味するのか?

過去10年ほどの間に、時計への投資は大ブームとなった。その始まりはアンティーク時計である。時計コレクターがアンティーク時計に投資するのは、これらのモデルにまつわるストーリーや技術的な素晴らしさに興味があることが理由なのではなく、アンティーク時計は年に10%以上のリターンが期待できる安全な投資対象であることがわかったからなのだ。結果として、アイコニックなアンティーク時計がオークションで驚きの価格で落札されて所有者を変えるということが何度も起こった。最も有名なのは、間違いなく1780万ドルで取引されたロレックス デイトナである。しかし、大手オークション会社が競り落とす芸術品やワインのような投資価値のあるアンティーク作品だけにはとどまらなかった。多くの人が価格上昇の可能性を感じ、利益を得ようと飛びついたのだ。しかし、それは何でもいいからアンティーク時計やロレックスを購入して、少したったら大きな利益を乗せて売却できるという簡単なことではなかった。時計に投資してリターンを得るには、ロレックスのようなブランドであっても、時計に関するきちんとした知識が必要だ。価格が徐々に下落している今、投資市場はそれほど魅力的ではなくなってきている。  

The Rolex Submariner "Hulk": a good investment?
ロレックス サブマリーナ “ハルク” は、優良な投資品なのか?

腕時計投資家になるべきなのか?

では、次は何をすべきなのか?時計への愛は過去のものとなるのだろうか? 腕時計への投資はここ5〜10年間にかけて間違いなく影響を及ぼしてきたが、腕時計収集はそれよりもずっと前から本格的な趣味として存在してきた。時計の金銭的な価値を超えて見てみると、それは魔法のような技術や魅力的なストーリー、そして素晴らしいブランドなど、所有することによって価格以上の価値が得られる世界である。もし時間と労力をかけられるのであれば、時計を所有し、着用することはとても充実した経験になり、多くの愛好家が知っているように、魅惑的な奇跡に出会えるものである。異なるメーカーや伝説的なモデルについて学習し、自分のお気に入りを見つけるのも、冒険の一部だ。そして、興味のあるタイムピースが見つかったら、それをコレクションに加えて実際に身に着けることはさらに大きな喜びとなる。これであなたは、より大きな歴史の節目につながる可能性を秘めた時計史の一部を身につけることになるのだ。スピードマスター “ムーンウォッチ”、オメガ シーマスター ボンド、そしてそのレガシーがサー・エドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイのエベレスト登頂にまつわるロレックス エクスプローラーなどはその一例である。  

時代を超えたストーリーを持つ伝説的なタイムピース

そして、さまざまな時計に関連づけられる有名人の名前にも終わりがない。マイルス・デイビスとブライトリング ナビタイマー、ジャンニ・アニェッリとオメガ シーマスター プロプロフ、アンディ・ウォーホルとカルティエ タンク、ラファエル・ナダルとリシャール・ミル、ジョン・メイヤーとロレックス デイトナ、カニエ・ウェストとカルティエ クラッシュなどなど、リストは続く。最後に、時計は家族の中で一人の所有者から次の所有者へと引き継がれる個人的なストーリーももちろんある。両親や祖父母から時計を譲り受けていないなら、次世代のために自分自身のコレクションを始めてみてはいかがだろうか?自分の人生が進み、さまざまな経験を積むにつれて、よりカラフルにそして色濃くなる時計のストーリーを始めることができるのだ。次世代に時計を譲るときがやってきたら、その時計にまつわるストーリーは、あなたと同じように、子供たちにとっても大切なものになると願いたい。しかしこれを実現するには、時計を安全な場所に保管して価値が上昇するのを待つのではなく、実際に身に着けて使用することが必要なのだ。  

Omega knows how to sell the story of the Speedmaster.
オメガは、スピードマスターにまつわるストーリーの売り方を知っている。

投資と収集の違い

投資と収集の違いに関して言うと、時計を身につけるというこの側面は特に興味深いものだ。腕時計投資について一つ奇妙なことを挙げるとすれば、それは投資家が自ら進んで時計の価値が上がるまでは手を触れず、安全な場所で保管しようという意欲を持っていることである。時計は厳しい環境と日々の使用による消耗に耐える実用的な道具だ。それがまさに時計が作られる理由であり、その時計を貴重なコレクションとして取り置いておくことは、その機能的な本質と矛盾することになる。さらに、その時計とその価値をさらに高める素晴らしいストーリーとを結びつけることができなくなってしまう。それは金銭的な価値ではなく、感情的な価値のことだ。多くの人気の時計の価格が下がり始めていることを考慮すると、金銭的な価値の先を見て、そもそもの時計の良さを実感するために、実際に時計を着用し始める価値があると言える。時計の収集を始めたくなるような、”時計のバグ” を誘発するきっかけにさえなるかもしれない。 

コレクターは価格の下落によって利益を得る

そうなった場合には、多くの時計の価格がゆっくりと下がっていることが嬉しいと思うことになるかもしれない。結局のところ、コレクターは価格の高騰よりもむしろ下落によって利益を得ている。あなたのお気に入りの時計もお手頃価格で入手できるかもしれない。これは誰にも予測できない。時間の経過につれてコレクションが増えて、そのうちの一部を他の時計と交換することを検討すると、最後には望んでいた利益獲得を達成できる可能性がある。利益という考えにはとらわれず時計の世界に深く潜り込もうとすれば、きっと時計の歴史、デザイン、そして素晴らしいストーリーをめぐる素晴らしい冒険の旅を体験できるだろう。もし、投資に対するリターンが得られないことが心配なのであれば、代わりに時計を身に着けて、コレクターになることを考えてみてほしい。腕時計全体に対する新しい観点が生まれるかもしれない。  


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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