今回のトップ10では、超究極の時計を紹介する。他の惑星でデザインされたような時計から、伝統的な時計がものすごく複雑に製造されているものまで、素晴らしいルックスを持つ究極の時計トップ10をアルファベット順でリストアップした。早速見てみよう！
デ・べトゥーン DB 28 「カインド・オブ・ブルー」トゥールビヨン
デ・べトゥーンは、近未来的なデザインと魅力的な深いブルーの配色で有名だ。デ・べトゥーン DB 28 「カインド・オブ・ブルー」トゥールビヨンも例外ではない。基本的に青で統一されたこの時計に使用されている金属のパーツは少なく、ネジ、針、そしてムーブメント内いくつかの部品に限られている。この時計では鍛錬されたプレートもブルーに配色されており、ストライプまたはペルラージュ仕上げが施されている。ケースサイズ43mmのこの時計は、チタン製で非常に軽い。デ・べトゥーンによるとその重さは0.2グラムで、これは世界一軽量なトゥールビヨンだ。また、ステンレスとパラジウムから成るムーンフェイズ表示が6時位置にあることも知っておくべき要素だ。この魅力的な時計はたった5本に限定されており、小売価格は25万ユーロ(約3200万円)だ。
F.P. ジュルヌ トゥールビヨン スヴラン
F.P. ジュルヌ トゥールビヨン スヴランは、一見ごく普通のクラシックな時計に見える。だが、見た目は事実を欺くことがある。このタイムピースは、非常に特異な時計製造技術をもって作られているのだ。F.P. ジュルヌ トゥールビヨン スヴランは、他と何も変わらないトゥールビヨン(そんなものが実在するのであれば)に見えるが、この時計にはルモントワールとデッドビートセコンド機構が搭載されている。ルモントワールでは、重力によって一定の動力が作り出され、それが時計の精度を高くする。デッドビートセコンドは、秒針がスムーズに文字盤の上を回るのではなく、毎秒次の秒へとジャンプする機構である。この複雑機構搭載の直径40mmサイズの時計は、プラチナまたはレッドゴールドで提供されている。
グルーベル・フォルセイ インベンション・ピース 1
グルーベル・フォルセイ インベンション・ピース 1は、究極に製造された時計の中でも特にレベルが高い。ダブルトゥールビヨンであるこの時計は少なくとも388個の部品によって製造されており、その複雑性において数々の賞を受賞してきた。直径43.5mmのプラチナケースが、この時計の外見をクラシックに見せる。だが時計内部では、まさに特別な世界を垣間見ることができる。時計を上から眺めると、時と分表示がダブルトゥールビヨンを囲んでいるのが見える。時と分の両ダイヤルにはそれぞれ2本の針が設置されており、そのコンビネーションで常に正確な時刻を表示できる。そして一番上に搭載されているのは、スモールセコンドの文字盤とパワーリザーブ表示。また、グルーベル・フォルセイ時計の特徴的な詳細とされるメッセージの刻印が、ケースバックに見られる。
HYT H1 チタニウム
グルーベル・フォルセイはレトログラードディスプレイが搭載されているように見えるが、HYT H1には実際にレトログラードディスプレイが搭載されている。このタイムピースを卓越したものとしているのは液体表示だ。HYTは2012年に創立され、時刻の表示に液体を使用する唯一の時計メーカーだ。それぞれ異なる液体が含まれた2本のベロー(ふいご)が、表裏の両面から鮮明に見える。この2つの液体が触れ合う場所が、現在時刻になっている。おおよその時刻はこの液体表示のみで分かるが、12時位置に小さな分表示も備えている。パワーリザーブ表示と補助の秒表示が、この時計の機能性をさらに高めている。このチタニウム時計は48.8mmサイズで、小型とは言えない。筆者はこのタイムピース一度試着した経験があるが、大型なサイズにも関わらずその付け心地は良いものだった。
MB&F HM 4 サンダーボルト
超究極の時計デザインと聞いて、多くの人がまず頭に浮かべるのがブランドMB&Fだ。HM4 サンダーボルトにおいては、標準的と呼べる要素はどこにもない。航空機に触発されたデザインのこのタイムピースは、ジェットエンジンに似ている。この時計はグレード5のチタン合金で製造されており、54mm x 52mm x 24mmの体積をもつ。これは簡単に袖に入る時計ではない。そもそも袖に入れられるようにデザインされてもいない。時刻は右側、パワーリザーブは左側と、両表示とも時計の横に設置されている。時計の設定と巻機に用いられるリュウズは、時計全体と一体化している。サファイアガラスが用いられているため、どんな角度からでも完璧なムーブメントを見ることができる。
レッセンス タイプ3
レッセンス タイプ3も、液体で満たされた機械式時計である。だが、時刻を表示するために液体が扱われているのではない。回転するディスクが液体の中で浮かんでおり、それがこの時計に世界で唯一無二の外観を与えている。タイプ3が時刻を表示する方法は、革命的なほど特異と言える。ディスクが時計の中心で回転するため、ルック&フィール(外観と操作感)が常に流動的だ。タイプ3はリュウズが付いておらず、その見た目は時計業界に存在する他のモデルとかけ離れている。時計の設定と巻きは、ケースバックを用いて行われる。プリントされた針が回転し、その周りを囲むリングは静止したままの状態でいる。この時計について言葉でもっと説明することもできるが、それより動画を見てもらった方がわかりやすいと思う。
リチャード・ミル RM 027 トゥールビヨン ラファエル・ナダル
リチャード・ミルは、「普通」と言う言葉を知らない。RM 027 トゥールビヨン 「ラファエル・ナダル」エディションは、テニスコートでの長時間の揺れや衝撃にも耐えるように設計されている。この時計は、主に複合材料とチタンで製造されており、特殊な複合ガラスが付属されている。49mm x 39.7mmの大きさにも関わらず、RM027の重さは、20グラムもない。これは驚異的な軽さだ。この時計は手巻きトゥールビヨンで、時と分しか表示しないが結局時計にはそれだけあれば十分だ。
サルパネヴァ コロナ K3
フィンランドが生み出す時計には、サルパネヴァ コロナ K3がある。時計技師であるステファンが生産する全ての時計には、唯一無二のケースと針のデザインが施されている。ムーンフェイズ表示を備えたモデルでは文字盤上に顔が見られるが、その顔のモデルとなったのは、この風変わりな時計技師自身なのだ。彼のデザインは常に際立ち、簡単に認識できる。コロナ K3には多数のエディションが存在するが、それぞれにスケルトンの時間インデックスと、2箇所に顔を表示したムーンフェイズが同じく備えられている。この時計のケース直径は44mmで、ケースバックにはサファイアクリスタルが使用されている。これによって内蔵されたムーブメントと、月の顔が装飾されたグリッド状のローターを眺めることが可能だ。
ウアヴェルク UR-210
ウアヴェルクと言うブランドについて説明するのは難しい。映画に出てくるプレデターに似ていたり、または未来から届けられたような時計もあるが、一つだけ確かなことがある。それは、ウアヴェルク UR-210がとても風変わりなモデルであるということだ。このチタンまたはステンレス時計には、回転するサテライトコンプリケーションと3Dレトログラードの秒針が備えられている。言葉にするのは至難だが、UR-210には3つのアーム(またはサテライト)があり、その各アームにて4時間が表示される。針は、レトログラードスケールの分を指し、その枠内には同時に時表示が含まれている。毎1時間の終わりには、針が最初の位置へと戻るようになっている。この時計は、小さなローターでバレルを巻くタイプの自動巻きムーブメントを搭載している。
ヴィアネイ・ハルター アンティクア
今回のトップ10リストの最後を飾る時計は、ヴィアネイ・ハルター アンティクアだ。ユニークでスチームパンク的な見た目を持つこの時計は、このリストの中で最も特異なモデルかもしれない。ケースサイズは46.5mm x 42.5mmと大型で、長い時間の経過に伴い、様々な貴金属で作られてきた。この時計は自動巻きムーブメントと35時間のパワーリザーブを備える。複数の文字盤には時刻、そして日時、曜日、月、そして閏年のインジケーターを備える永久カレンダーが搭載されている。興味深いディテールとしてはリベットを使用していることで、これがヴィアネイ・ハルター アンティクアに独特な舷窓風の感じを与えている。「ミステリアス・マス」ローターはケースバックを介して眺められ、中央のローターから離れているように見える。
