2022年08月22日
 8 分

過小評価されている時計3選

Jorg Weppelink
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自分の時計に対する愛を、決まり切った枠の外へ一歩踏み出してみる気はないだろうか。あなたのお気に入りがロレックス デイトナであれ、サブマリーナであれ、GMTマスターであれ、ほとんど全ての時計ファンがこういったお気に入りモデルについて知っている。そしてほとんど全ての人は、ジェラルド・ジェンタが手がけたオーデマ・ピゲ ロイヤルオークとパテック フィリップ ノーチラスが、最もアイコニックなモダンラグスポウォッチであることを知っているだろう。だがあなたには、あまり話題にのぼらないお気に入り時計のリストはあるだろうか。 

著者は以前、時計コミュニティで過小評価されている時計ブランドについての記事を書いた。今回はもう一歩踏み込んで、ビッグネームモデルのようにもっと注目されるべき特定のモデルを取り上げたい。経験豊富な時計ファンはおそらくすでにこれらのモデルについてご存知だろうが、多くの時計愛好家たちはこれらの隠れた名品に気付いていないかもしれない。では、私たちが過小評価されていると感じる3つの時計を見ていこう。 

1. ゼニス クロノマスター エル・プリメロ A384 リバイバル

まずは時計愛好家たちの間で非常によく知られているブランド、ゼニスによる過小評価されている時計からリストをスタートしよう。多くの本格的なコレクターたちのコレクションには、おそらく1本はゼニス エル・プリメロ クロノグラフがあるはずだ。ゼニスは1969年、世界初の3つの自動巻クロノグラフムーブメントのひとつであるエル・プリメロ ムーブメントの発表をもって、名を上げた。エル・プリメロを発表した際、ブランドはそれを搭載したA384、A385、A386という3つのモデルも発表した。不運なことに、これらのモデルはクォーツ危機のために長くは製造されなかった。ゼニスの時計技師シャルル・ベルモが、社命に背いて密かにエル・プリメロを救い、そのおかげで1980年代になって、同ブランドが輝かしい伝説のタイムピースを復活させることができた有名な話を知っているかもしれない。 

それから40年たち、ゼニス エル・プリメロムーブメントは時計作りの権威とみなされている。同ブランドは有名なエル・プリメロ3部作を、ゼニス エル・プリメロ クロノマスター コレクションの一部として復活させた。この3つの中で常に最も高い人気を誇ってきたのは、即座に見分けがつく、美しいケースとアイコニックな3色のサブダイヤルを持つA386である。しかし、私がより興味深いと思うのはゼニス クロノマスター エル・プリメロ A384だ。この時計のケースは素晴らしく独特で、目を見張るようなさまざまなデザインの完璧な土台となることが証明された。A385、A3817、A3818 “カバーガール” は、全てがA384をベースにしたゼニスを代表するモデルである。A384のモダンバージョンであるクロノマスター エル・プリメロ A384 リバイバルは、2019年にリリースされた。ゼニスはそのサイズをオリジナルに忠実に設計し、1969年のものと同じ象徴的なエル・プリメロ ムーブメントの現代版と、同じく象徴的な “ラダー” ブレスレットを備えている。このアイコンが格好良く復活を遂げたことは非常に喜ばしく、ゼニスがとった方法は相当のリスペクトを受けるべきである。定価は103万4000円となっているが、Chrono24マーケットプレイスではこのアイコンがそれよりもずっと低い価格で売買されている。 

The Zenith Chronomaster El Primero A384
ゼニス クロノマスター エル・プリメロ A384

2. オメガ スピードマスター “レジェンド” Ref.3559.32.00

オメガ スピードマスター シューマッハ レジェンドのストーリーは、F1レース界のレジェンド、ミハエル・シューマッハと、彼とオメガのパートナーシップのストーリーである。シューマッハとオメガは1996年に初めてタッグを組んだ。その年、シューマッハのフェラーリでの初めての年を記念して、レッド&イエローのオメガ スピードマスターの2モデルがリリースされた。その後、オメガは一連の異なるスピードマスターのシューマッハコラボモデルをリリースする。これらのうちで最も代表的なものは、パートナーシップ開始から7年後、2003年にこのドイツ人レーサーの6回目のF1ワールドチャンピオンを祝ってリリースされた、オメガのアイコニックなスピードマスター “レジェンド” Ref.3559.32.00である。このロレックス デイトナ ポール・ニューマンスタイルの文字盤デザインとステンレススチール製ベゼルを持つ象徴的なモデルは、時計コレクターたちの間で愛されている。このデザインは、オメガ スピードマスターがどんなに素晴らしい時計であるかをまさに示してくれているのだ。 

オメガはそれぞれにシリアルナンバーが刻まれた “レジェンド” を合計6000本生産した。長い時間はたっても、このモデルの素晴らしさは一切失われておらず、デザインはこれまでと同じように見事だ。2005年、オメガは新しい3つのシューマッハのスピマスをリリース。うち1つは、いくつかの違いはあるものの、2004年版を連想させるものだ。これらの3つのタイムピースは通常モデルで、2009年まで製造された。しかし、2004年の見事なRef.3559.32.00に戻ろう。これにはスタンダードな42mmサイズのスピードマスターケース、ステンレススチールのベゼル、ステンレススチールのブレスレットが備わる。オメガはこの時計に、6時位置に日付窓の付いたクロノメーター認定の自社製自動巻キャリバー3301を搭載。このモデルの全てが素晴らしいが、この時計の裏蓋には、ミハエル・シューマッハの名前も刻まれているのだ。徐々にこのモデルの価格は上昇してきている。これは世の中に存在するムーンウォッチではないスピードマスターモデルの中で、最高のもののひとつであり続けてきた。そしてその収集可能性と価値はおそらくこれからも上昇するだろう。 

The Omega Speedmaster Schumacher Legend
オメガ スピードマスター シューマッハ レジェンド

3. IWC パイロットウォッチ マーク XVIII “トリビュート トゥ マーク XI”

時計にハマってからしばらくたっている人であれば、間違いなくIWCのマークシリーズについて知っているはず。このパイロットウォッチの伝説的なシリーズは、その起源を時計コレクターの間で「ダーティー・ダース」として知られる、第2次世界大戦時に生産されたミリタリーウォッチにさかのぼる。イギリス国防省(MoD)は軍に支給するためのマーク Xという時計の独自のスペックを設定した。12の時計メーカーがマーク Xの名前を採用し、その製造に取りかかった。1944年までにMoDはビューレン、シーマ、エテルナ、グラナ、ジャガー・ルクルト、レマニア、ロンジン、IWC、オメガ、レコード、ティモール、バーテックスによる時計を軍に支給していた。IWC マーク Xはイギリス空軍のパイロットとナビゲーターたちによって使用され、今では世界有数のアイコニックなパイロットウォッチなのである。 

しかし、今日私たちが知るところのシリーズの火付け役となったのは、後継のIWC マーク XIだった。このマーク Xの後継機は1948年に発表され、コレクターたちからは史上最も優れたミリタリーウォッチのひとつだと考えられている。36mmサイズのケース、ブラックの文字盤、3針、日付表示なし、大型の夜光塗料を施したマーカー、そして大きな数字という、効果的かつ特徴的なデザインを備えている。ケース内部には伝説の手巻式キャリバー89が搭載され、そのためにパイロットやナビゲーターたちにとって信頼のおけるタイムピースなのだ。 

IWCは1993年、マーク XIIをもってマークシリーズを復活させることを決定する。これはスイスの時計作りを称賛する第二次世界大戦中の伝説の軍用時計への賛辞であり、軍用パイロットウォッチへのオマージュである。このシリーズは時と共に進化を遂げ、復刻以来、新しいバージョンが出る度にマークの名前を変えながら、IWCのコレクションの一角を占め続けてきた。2017年、IWCはマーク XVIIIの特別版をもってオリジナルのマーク XIを記念することとした。この時計のサイズは、今ではオリジナルの36mmからより現代的な40mmへと変わっている。また、IWCは日付窓を加え、モダンな自動巻ムーブメントである自社製キャリバー35111を搭載した。このタイムピースももちろん、現代の生産品質による恩恵を受けている。できあがったものは、レトロな文字盤デザインと四角い時針が特徴のアイコニックな針を持つ、マーク XIの素晴らしいスピリットである。一部レザー装飾の付いたオリーブ色のNATOストラップが、この時計のルックスを素晴らしいものにしている。このモダンなバージョンは手首に見事に映える。もし象徴的な時計シリーズを記念したものを探しているのなら、これはまさに最高のチョイスだろう。IWCはマーク XIが発表された年にちなんで、パイロットウォッチ マーク XVIII “トリビュート トゥ マーク XI” を1948本生産した。公式定価である4150ドルをわずかに下回る金額で入手できる。これはここまで素晴らしい限定版にしては最高の価格である。 

The IWC Pilot Mark XI
IWC パイロット マーク XI

というわけで、過小評価されている、あるいはそれぞれのブランド内でも最人気のモデルではない、優れた3つの時計をご紹介した。これは言うまでもなく、大多数の人にはあまり知られていない時計のほんのわずかなセレクションにすぎない。時計ワールドにおけるその他の隠れた名作を紹介する記事を、これからもお楽しみに。   


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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