ほとんどの時計ファンがセイコーを知っているだろう。セイコーと言えば、最も有名な日本の時計ブランドであり、時計業界における数々の発明で知られる。どの発明のことかと聞かれれば、世界初のクオーツ式時計、あるいは機械式とクオーツ式時計の技術を組み合わせたスプリングドライブムーブメント、それにセイコーのキネティックウォッチ、GPSソーラーウォッチのアストロンモデルなどが挙げられる。しかし、この一連の発明はセイコーが最高峰レベルの時計作りを目指す上で成し遂げた一部に過ぎない。セイコーは何十年もかけて、高精度で高品質な腕時計を作り出すために鍛錬を重ねてきたからだ。
セイコーJDMモデルとは?
セイコーがこれまで、相当な数の日本市場限定のモデルを作り出してきたことを知っているだろうか?これらは海外ではJDMモデルと呼ばれ、JDMとは「Japan Domestic Market (日本国内市場向け)」を意味する。セイコーJDMモデルにはスタンダードシリーズ、リミテッドエディション、どちらもあるが、ともに日本市場限定である。そのため、希少な限定モデルの場合、海外のコレクターたちの間で人気となっている。JDMモデルかどうかは、日付ホイールの漢字が目印とされることがよくある。
セイコーJDMモデルの購入について
筆者のように日本国外に在住している時計ファンが、日本市場向けモデルを手に入れるのは簡単ではない。日本に住んでいない、または日本に知り合いがいない場合は、購入することはできないだろう。日本のオンラインショップで売られているなら、日本語を解読しなければならない。これは外国人にとっては口で言うほど簡単なことではない。しかしそんな時はChrono24に頼ることも可能だ。海外にいながら日本のものを購入する場合に気を付けたいのは、ほとんどの場合で輸入消費税と関税を支払わなければならないということ。しかし特別な時計を狙っているのであれば、その価値は十分にあるだろう。そしてもしかしたら、欲しかった時計を既に誰かが輸入していて、簡単に買えるかもしれない。
Chrono24おすすめのセイコーJDMモデル
セイコーJDMモデルには何百というさまざまな種類の時計が存在するが、その全てが注目モデルというわけではない。そこで、Chrono24がリサーチした中から、おすすめモデルトップ5モデルを紹介したい。もちろん、この5モデルはChrono24マーケットプレイスで見つけることができる。
セイコー SARB033
黒文字盤のセイコー SARB033は時計ファンの間で伝説的存在だ。他にも白文字盤のSARB035、ピンク文字盤のSARB037がある。同じようなセイコーモデルと比べると、品質の高さと仕上がりの良さから、高い評価を得ている3本だ。また、シャープなドルフィン針、アプライドのアワーマーカー、オイスター風のブレスレットを備えたデザインで、 “ベイビー・グランドセイコー” というニックネームで呼ばれている。
セイコー SARB033は2008年から2018年まで販売されており、当時の定価は約5万円。この時計が持つ定価以上の価値に世界中の時計ファンたちが注目し、かなりのヒットとなった。直径38mm、厚み11mmの滑らかなケース、100mの防水性を誇るスタイリッシュな時計が手に入るのだ。サファイアクリスタルに守られたケース内部には、セイコーの高精度自社製キャリバー6R15が駆動する。セイコー SARB033の現在の価格は、およそ8万円〜19万円となっており、その人気の高さを証明している。

セイコー マリーンマスター SBDX012
次に紹介するのは、時計コミュニティで有名なもう1つのJDMモデルである。セイコーのダイバーズウォッチの歴史を知っているなら、マリーンマスター SBDX012のデザインに見覚えがあるだろう。これはあの有名な1968年に発表されたセイコー 6159-7001 ダイバーズの現代版と言える。この時計は、2015年にセイコーが国産ダイバーズウオッチ誕生50周年を記念して発売したものだ。
マリーンマスターはセイコーのダイバーズウォッチの最上位機種であり、2000年に同じくJDMモデルであるマリーンマスター SBDX001からスタートしたものだ。セイコーは50周年を記念するこの特別なSBDX012を、ブラックの文字盤、ゴールドの文字、アワーマーカー、針で飾った。ベゼル上の数字もゴールドで統一され、ケースサイズ44mm径のこの時計は非常に美しく仕上げられている。ケース内部にはグランドセイコーキャリバー 9S55の進化形であるセイコーキャリバー 8L35が搭載されている。1000本限定で発売され、すぐさま完売となったが、状態によっては約40万円〜100万円で見つけることができる。

セイコー アルピニスト SARB017
セイコーの歴史に興味があるなら、アルピニストについてぜひ読んでみてほしい。アルピニストが誕生したのは1959年。ほとんどの人が知っていると思うが、セイコーは自社の時計の識別にリファレンスナンバーを使い、ファンはニックネームを使う。しかしアルピニストはコレクションに長いこと存在してきた公式の名前である。グリーンの文字盤を持つSARB017は、2006年に発表されたJDMモデルだ。クリームの文字盤を持つSARB013、ブラックの文字盤を持つSARB015と合わせてリリースされた。
先代モデルのアルピニスト(こちらもJDMモデル)が持つデザインを受け継いだSARB017は高い人気を誇るものとなった。ケースサイズは39.5mm径で、サファイアクリスタルを使用し自社製キャリバー 6R15を備えている。ゴールドカラーをアクセントにしたサンバースト仕上げのグリーンの文字盤は、ヴィンテージの雰囲気を醸し出し、カテドラル針と組み合わせたことで、この時計はセイコーの美しき定番モデルとなった。約10万円から購入が可能で、新品同様の場合、その価格は約20万円にも上る。

セイコー x ナノ・ユニバース SZSJ005
セイコーは日本国内の小売店やブランドとのコラボ時計を作ることで知られている。アパレルブランドのナノ・ユニバースとのコラボによって生まれた時計は目を見張る出来栄えと言える。そのうちの2つがセイコー SZSJ005とSZSJ006である。ロレックス デイトナのデザインが好きな人は、この2つのセイコーのクロノグラフをチェックしてみてほしい。
筆者のお気に入りは有名なロレックス デイトナ ポール・ニューマンに似たSZSJ005である。この時計は直径39.8mm、厚み11.7mmのステンレススチール製ケースで、防水性は100m。オイスター風ブレスレットと、ブラックにホワイトのインダイヤル、そしてレッドの文字というデイトナの有名な文字盤配色が採用されている。見ての通り、インダイヤルのレイアウトは6、9、12時位置と若干異なっている。この時計はセイコー 8T67 メカ・クオーツムーブメントを搭載しており、もともとは4万円ほどで販売されていた。現在ではその価格は約9万5000円〜16万円になっている。
セイコー プレザージュ SARX055
最後に紹介する時計は、よりフォーマルな時計である。SARB033と同じように、これも “ベイビー・グランドセイコー” と呼ばれてきたが、このモデルはSARB033よりも高価だ。そして文字盤は、あの有名なグランドセイコー SBGA011と似ている。しかしこれはセイコーであるがために、グランドセイコーよりもずっと手頃な価格がついている。SARX055は直径41mm、厚み11.5mmのチタン製ケースに、同じくチタン製の美しいブレスレットを備えている。そのため、多くのステンレススチール製モデルに比べてずっと軽量だ。
シースルーケースバックからはセイコーキャリバー 6R15を眺めることができる。SARX055は細部の仕上がりまで並外れたレベルと言える。文字盤はそのテクスチャーから深みある素晴らしいもので、その上に設置された針とインデックスもこの上に美しい仕上がりとなっている。そして、最も印象的なのは、ARコーティングが施されたサファイアクリスタルで、まるで風防がないかのように感じさせる。SARX055は、状態によって約10万円~23万円で購入が可能だ。

自分だけのセイコーJDMモデルを見つける
今回は、日本国内市場向けに販売されたJDMモデルからおすすめ5モデルを紹介した。しかし、ぜひとも今後もリサーチをしてセイコーのJDMモデルの世界に足を踏み入れてほしい。情報がたくさんある中で、もしかしたら思ってもみなかった希少なモデルに出会えるかもしれない。実際に手に入れられるかどうかはわからないが、日本にお住いの皆さんならチャンスはきっとあるはずだ。海外コレクターがうらやむような特別な1本を時計が持つストーリーと共に手にしてみてはどうだろうか。