オーデマ ピゲ ロイヤル オークの歴史は1972年まで遡るが、ロイヤル オーク オフショアが初めて世に送り出されたのは、その21年後である1993年であった。42mmサイズのオフショアのデザインを考案したのは、エマニュエル・ギュエであった。オーデマ ピゲのマネージャーで後にオメガのCEOとなるステファン・ウルクハートが、ギュエにロイヤル オークの20周年記念に特別な時計の考案を依頼したことで作られたと言われている。
ロイヤル オーク オフショアの大胆で大型なデザインにだれもが満足していたわけではなかったが、それは最終的に1993年に発表された。多くのロイヤル オークファンはこの思い切った新デザインにショックを受けた一方、それがオーデマ ピゲにまったく新しいタイプのファン層をもたらすことにもなった。この時計は控えめでひょっとしたら少し古くさいロイヤル オークよりも、より独創的な時計を誇示したい人々を魅了した。
同じでありながらも異なる
2004年は、ウブロがロイヤル オークの勢いに便乗した年であると言えるかもしれない。オーデマ ピゲの大型スポーツウォッチの名声と評判が高まるにつれて、その需要に対応していくことはマニュファクチュールにとって難しくなっていった。ウブロはこれをチャンスと捉え、同ブランドのコレクションに新たな刺激を与えるためにビッグ・バンを発表した。それは、オーデマ ピゲのロイヤル オークが登場してから11年後であった。そして、ジェンタのロイヤル オークとギュエのオフショアに明らかなインスピレーションを受けたビッグ・バンは、大きなセンセーションを巻き起こした。
ウブロはそのデザインと素材の使い方を次のレベルに引き上げ、派手な色と珍しい素材を使用し、各モデルをすべて限定エディションで提供した。そして、その試みは成功し、ウブロ ビッグ・バンはサッカー選手やラッパー、不動産ブローカーなど、新たに財産を築き上げた多くの人々に支持された。
何はともあれ、ウブロとオーデマ ピゲは互いのコレクションとうまい関係を作り上げているように思われる。むしろ、この2つのコレクションは両ブランドにとってなくてはならない存在であると言えるかもしれない。興味深いことに、ロイヤル オーク オフショアはビッグ バンが発表されてからより大胆でカラフルになった。ある意味、両者は互いを刺激し合っているように見える。ウブロファンはロイヤル オーク オフショアを少々退屈であると言う一方、オーデマ ピゲファンはウブロをファッションウォッチであると非難している。
端的に言って、ロイヤル オーク オフショアとビッグ・バンは、BMWとAudiやAppleとWindowsのようなライバルなのである。どちらか一方を支持するか、両者ともに支持しないかのどちらかなのだ。
いずれにせよ、オーデマ ピゲはここ数年ロイヤル オーク オフショアモデルによって大胆な一手を打ってきた。と同時に、ウブロはウニコムーブメントと興味深い素材の使い方によって時計製造技術の腕前を証明した。
両ブランドともに、クロノグラフ、永久カレンダー、トゥールビヨンを含む数多くのコンプリケーションを持つ時計を有している。そして、その中でもクロノグラフモデルは最も需要が高い。興味深いことに、例えば42mmの多くのロイヤル オーク オフショア クロノグラフは、44mmのビッグ・バン クロノグラフよりも大胆な外観を持っている。
それでは、この両モデルを見てみよう。
ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ42
ロイヤル オーク オフショアにはステンレスとゴールドモデルがあり、ダイヤモンド装飾付き・なしで提供されている。また、6時、9時、12時位置にサブダイヤルと3時位置に日付表示を持つクロノグラフも用意されている。ロイヤル オーク オフショアは逆サイクロップレンズを備え、それがベースムーブメント上の日付表示の近くに置かれ、クロノグラフモジュールが追加されている。
この記事が公開される時点で、オーデマ ピゲはオーデマ・ピゲ オフショアのための自社製クロノグラフムーブメントを開発していない。これは同ブランドのコレクターおよびファンにとっていささか混乱すべきことである。理論的に考えて、オーデマ ピゲのようなブランドにとって、この時計専用のクロノグラフムーブメントを開発することは難しいことではないはずだ。オーデマ ピゲは時計の生産を年間4万本に限定することで高い需要を保っている。
ビッグ・バン クロノグラフ44
ビッグ・バン クロノグラフも様々な素材と色で提供されているが、その色味はよりトーンダウンしている。この時計はダークブルーまたはブラックの文字盤と、それに調和するラバーまたはアリゲーターレザー製のストラップで提供されており、ゴールドおよびダイヤモンドがちりばめられたモデルもある。ウブロ ビッグ・バン44はよりクラシックなクロノグラフレイアウトで、3時、6時、9時位置にサブダイヤルを備えている。
この時計には自社製ウニコムーブメントではなく、ETAの2892-A2にクロノグラフモジュールを追加したキャリバーHUB4100が搭載されている。オーデマ ピゲが42mmのオフショア クロノグラフのベゼルにだけセラミックを使用している一方、ウブロはカーボンファイバーダイヤルとラバーストラップを備えた完全なセラミックモデルを実現している。
最後に、このオーデマ ピゲとウブロの両モデルは類似していると言って間違いない。これが偶然あなたのスタイルであれば、それは幸運と言えるだろう。なぜなら、各ブランドは広範なモデルを提供しているからだ。時計の選択に正しい答えも間違った答えもない。あなたがどのブランドと時計の外観が一番好きかというだけのことなのだ。オーデマ ピゲはよりオート オルロジュリーと機械工学で知られており、ウブロの時計は着用する人を必ず注目の的にしてくれる。「どっちが先か?」という問いを投げかけるのは、ほんの一握りの時計マニアだけなのだ。